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趙紫陽 指令性計画から指導性計画へ 1984/09/09

 党の十二大報告作成にむけて趙紫陽が中央政治局常務委員に1984年9月9日出した書簡と、各委員(胡耀邦 鄧小平 李先念 陳雲)の返答が盧躍剛《趙紫陽傳》に記録されている(盧躍剛《趙紫陽傳下卷》INK印刻文学2019年pp.897-903)。大変興味深いので紹介したい。写真は1985年10月24日の趙紫陽(場所は国連総会会議場と推定)。《趙紫陽傳上卷》INK印刻文学2019年p.010より転載。

 書簡は我が国の経済体制をどのように概括するかという問題を提起している。そこで中国は計画経済であると言い切ったうえで、計画経済には指令性計画のほか指導性計画が含まれ、我々の方針は指令性計画を縮小し指導性改革を拡大することにある。計画経済も価値規律を通して実現されるべきで、指令性計画もまた価値規律の作用を考慮すべきである。そこで「計画経済第一、価値規律第二」という標語は今後使わないようにする。社会主義経済は公有制を基礎とする計画のある商品経済である。ーと述べている。
 これに対して鄧小平(9月10日)、陳雲(9月13日)、李先念(9月15日)がそれぞれ賛成の手紙を返している。興味深いのは胡耀邦の反応である。回答の日付けは9月30日と遅く、加えて趙紫陽が提起した問題には直接、賛成反対の意見を示さず、中央が物価について何を管理するかをはっきりさせて、それを遵守すべきだと返している。これは趙紫陽が提起している問題の重要性を、胡耀邦が十分理解していないことを示すものかもしれない。



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