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常磐橋と常盤橋

 「ときわばし」を訪ねたのだが、現在はこの橋の近くで、2028年3月竣工を目指し東京トーチタワーが建設中。そのためもあって、橋をとりまく環境は落ち着きがないように感じた。ところで「ときわばし」は2本ある。2本の橋はいずれも、日本橋川を挟んで、千代田区と中央区とを結んでいる。
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 まず一つ目の「ときわばし」は、明治10年1877年に小石川橋門の石垣を使い建造された石橋である。明治の始まりのころ、江戸時代の木橋を、要らなくなった石垣を用いて石橋に代える工事が盛んに行われた、その一例であり貴重な残存例である(長さ31.6m 幅10.8m)。
 その後、関東大震災後の大正15年1926年に自動車などが通れる鉄筋コンクリート製の「常盤橋」が石橋から70mほど下流に整備された。これに伴い旧「ときわばし」は「常磐橋」と表記することが意識されるようになった。ただ耳で聞いただけではいずれも「ときわばし」で区別できない。加えて「常磐橋」「常盤橋」いずれも2連のアーチ橋である。そのため両者の説明や写真の取り違えが散見される。こうした混乱を避けようと「常磐橋」を「きゅうときわばし」と呼ぶ場合がある(この表記を旧常磐橋とするものがあるが、それでは常磐橋が存在しなくなってしまう。日本語上は新・旧で区別せず「常磐橋」「常盤橋」と書き分ける方が混乱が少ない)。
 なお常磐橋は関東大震災で大きな被害を受けた。常盤橋完成により廃橋にならず、生き延びたのは、渋沢栄一の尽力により、修復されたからだとのこと。そのおかげで、この橋は奇跡的に残存できたのである。
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 他方、大正15年1926年築造の「常盤橋」の方は、デザイン性が評価され、令和2年度(2020年度)土木学会選奨土木遺産に認定された。ただ橋の材質の違いのためか、同じ選奨土木遺産の「清州橋」や「蔵前橋」が輝いているのに、長年排気ガスを浴びた常盤橋は表面が変色し少しなさけない。トーチタワー竣工までに一度クリーニングしてあげてはどうだろうか(長さ38.8m 幅27m)。
   東京の橋クラブ 常盤橋
 なお「常盤橋」はかなりポピュラーな橋の名前で全国各地に同名の橋がある。またさきほども述べたが、この日本銀行そばの「常磐橋」と「常盤橋」については、両者の写真や説明を取り違えるなどの混乱が観光案内、公的な組織のパンフにまで散見される。
 アクセス 地下鉄半蔵門線三越前下車。日本銀行側改札口に向かい常盤橋方面出口を探す。「常盤橋」のたもとに出れる。「常盤橋」から上流を望むと石造の「常磐橋」がみえる。

常磐橋
常磐橋 日本銀行本店が見える
常磐橋    写真左上に「Torch TOWER」工事現場が少し見える
常盤橋
常盤橋



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