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防衛費を税金で捻出できるのか

サラリーマン生活を25年過ごした。その後大学講師として10年。やれるだけやってお金を稼いできた。サラリーマン時代はほとんど夜遅くまで働いて家に帰ってくるのは遅かった。始発・終電というほどではなかったけれども。毎日使っていた千代田線はいつも同じ駅から乗って同じ駅で降りた。途中駅で降りたことはなかった。

千葉県東葛地区を走る千代田線の駅から朝早く電車に乗った。かなり混み合う北千住駅と西日暮里駅をなんとかがまんして大手町へ向かう。霞が関、赤坂、表参道が最寄りの駅だった。帰りはほとんど座ることなく家の最寄りの駅につく。だいたい夜遅くだった。

こんなことをしながらも月1回の楽しみは給料が入ることだった。わたしはそれなりの会社に勤めてそれなりに働いたので結構いい給料をもらえるはずだと思い込んでいた。ところが毎月明細を見ると驚いた。税金がとても多くひかれており手取りがかなり減ってしまった。

所得税は8%。県民税・市民税がひかれる。健康組合と厚生年金がひかれる。組合費や年金は税金ではないものの給与天引きは痛かった。毎月可処分所得の中で家計をやりくりするのは簡単ではなかった。

さてこれから税金はどうなるのだろうか。

あるオンラインイベントで防衛費の増額に財政的にどう対処していくかという話題が予定されている。この話題を提供した記事の筋書きはこうである。

ロシアによるウクライナ侵攻と中国が4年後に台湾統一を狙っているといううわさがある。日本はどうするか。台湾が統一されれば次は尖閣諸島や沖縄がターゲットになる。中国は尖閣諸島が自分たちの領土だと主張している。そのためもし万が一侵攻があれば日本は守らなければならない。アメリカが出兵するかどうかはわからない。

そんなこともあり防衛費が増額された。2023年度は前年予算から1.3倍の大幅増額になり6兆8千2百億円となった。前年は5兆3千5百億円。この2022年予算から2027年までの5年間で1.7倍近くまで上昇するという。すると2027年は約9兆円まであがる。

これを税金でまかなえることができるのだろうか。

この疑問に答える前に日本の状況がとても深刻であることを知る必要があるだろう。それは2点ある。ひとつはこれまでの国の借金。もうひとつはコロナ対策のための緊急予算。

国の借金は先進国の中でもかなりある方でひとりあたり1千万円あるといわれる。これはコロナが始まる前にすでに借金としてあった。そこにコロナが襲ってきてワクチンを支給した。コロナ対策のために80兆円を予算化したのである。この80兆円というのはわたしが計算したところによれば国民一人当たり約70万円の借金になる。

3人家族であれば約200万円を税金で支払うことが要求される。そうしないと財政赤字が増す。これでさきほどの1千万円に加えて70万円。ひとりあたり1千70万円をいずれは税金でとられることになる。これから防衛費の負担増になることが決定している。

その額は5年後には約9兆円である。概算で負担額を計算すると国民ひとりあたり毎年8万円くらいの負担になる。5年間のため40万円程度の負担増になる。これを先ほどの借金に加えると1110万円となる。これをいまの税金でまかなえるのだろうか。

わたしはこれはかなり難しいと考える。そこでなにが起きるかというと増税しかない。ある識者によると消費税が15%になるのではないかという。所得税も15%まで上がる可能性がある。県民税や市民税はそのままにしてもサラリーマンへの税負担はかなり上がる。返済しなければ借金というのはなくならずふくらんだままで利子を支払うだけでもたいへんになる。

ここまで税率が上がるには理由がある。日本は人口減少が続き労働者人口が減ってきている。子供が生まれていない。ある統計によると日本の人口1億2千6百万人のうち労働人口は6千7百万人程度だという。しかもそのうち36%が非正規雇用である。彼らの仕事は安定していない。そこに税のメスをいれることはできない。それで正規社員の人に対して増税せざるをえなくなる。

東京であのサラリーマン生活をやるというのは相当つらいものがあった。しかも途中からバブルが2度崩壊して多くの従業員とともに市場に投げ出された。二度と経験したくない。なんとか仕事をつないできた。働いても働いても給与がそれほど上がらない時期もあった。そんなときに増税されたらたまらない。

大学生の読者の方々はどのようなことを考えているであろうか。将来増税はある。必ずあると考えていいだろう。これから防衛費は増額されていくからだ。就職をして少しでも備えをしておいた方がいいだろう。わたしはそれほどお金を使う方ではなかった。家族が堅実に暮らしてくれているも助かっている。