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可愛いが世界をよくする、かな?

愛知県豊田市。クルマの街として知られている。40年前にはトヨタ自動車くらいしかなかった。ところが名鉄豊田市駅の近くにコンサート・ホールができた。わたしはできたばかりのホールで友人とコンサートを見に行った。満員で熱気に包まれていた。あの歌手、松田聖子さんのコンサートだった。コンサートが終わると観客が一斉に外に出た。そこで見たのは聖子・命というガウンをきたやたら人相の悪そうなグループだった。

あれからいろいろと可愛いということが世間でささやかれるようになった。松田聖子さんの髪型を真似た女子学生をよく見かけた。わたしもいくつかポスターを買って部屋に飾っていた。そんなところから私の中には可愛い文化というものがはじまっていった。しかし今日まで可愛いことの何がそんなにいいのかということにはそれほど考えたことがなかった。

可愛いということがひょっとしたら世界をよくするかもしれない。

今週号の英紙エコノミストにちっぽけだけどパワーを持ったイメージ。可愛いことという記事があった。要旨はこうである。

可愛いというのは愛らしい。けど、ちょっと女々しい。このキュートというのがまじな学問としてとりあげられてきている。科学的な解明をして学術論文にまでも登場している。ある作家は最近可愛いを取り上げて本を書いた。

どうして可愛いを話題にするのか。以下の3点である。

ひとつはオーストリアの動物学者の証言がある。人は赤ん坊の大きな目に惹かれるという。そうするとあやしてあげたいという感情が芽生える。大きな目をした犬や猫にも同じ感情をいだく。

次にオックスフォード大学の神経学者の研究がある。博士の研究によると試験者に猫の動画をSNSで見てもらった。すると動画を見た後で試験者は前向きになり悲しいという感情が和らいだという。

日本では可愛い文化は江戸時代からあった。アニメや漫画に登場をしている。インターネットの普及により瞬く間に世界に広がった。可愛い動物を使った標識があると道路での乱暴な運転が減る傾向があるという。ところによってはくずかごにウミガメやイルカの絵をそえる。するとごみを散らかす件数が減る効果があるという。ほんとうだろうか。

どうやら可愛い文化というのは世界をいい方向に変えるかもしれない。

わたしの意見はこうである。上記の3点について同じような感情と効果があることは認める。またそういったことを学者が証明しているのであればそれは実証済みの事実としてうけとる。おそらく可愛いというのは怒りや乱暴になる気持ちを抑制する。抑える効果があるのではないか。

ちょっとしたことで怒りが爆発しそうになる。また乱暴な行為に走ってしまいそうなときがある。そんなときに可愛いイメージが頭にあるとそれを踏みとどまらせる抑止作用があるのではないか。

だれも泣いている赤ちゃんを見たくはない。また犬や猫もうれしそうにしているところを見たいであろう。

40年の時を経て可愛いということとその効果について少し考えてみた。ただあの松田聖子さんのコンサートに来ていたバイクに乗った連中。ガウンには聖子・命と書いてあった。ああなるとコンサートのあとにまたどこかであばれたのではないか。一時的な効果はあるにせよ、どこまで持続性があるのだろうか。