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中国出張現金礼讃編

7月末の上海出張の話を書こうと思います。中国方面出張は昨年の香港出張以来。

出発前からどこで美味しい物を食べようかと酒徒さんのブログで上海のおいしそうなお店をチェックしてワクワクしていました。

中国出張の後は一旦上海から離れ、日本で2週間の夏休みも予定してあります。「ふるいちのぶっかけうどん」がおいらを待っているのです。

今回の上海出張(見本市でクライアントと会い新しい仕事のミーティング)が決まってから、偶然青島の会社からも仕事の引き合いメールが(しかも2社)来たのでそちらも上海から足を延ばしてミーティング出来るようセッティングし、準備万端でミラノを後にしました。

実はおいらの仕事場でかつてインターンをしていたイタリア人の若者が現在上海に住んでいるので、出来れば彼に会ってキャッシュレス決算の使い方を教えてもらおうかと思っていたのだけれど、ちょうどおいらが中国入りするタイミングでイタリア一時帰国するということで残念ながら今回はすれ違いでした。後から考えると、キャッシュレスでない中国滞在になる予兆だったのかも。

さてさて、無事上海に到着し、翌日のミーティングに向け、とりあえずホテルに地下鉄で向かいチェックインすることに。

ホテルに到着し、予約してあることを告げ(この出張中にあちこちで予約してあるホテルの中で唯一予約時に料金を払っていなかったのがこの最初のホテルだったため)カードで支払いを済ませようとしたらカードが通らない。

ここで背中に汗が流れます。

「いやいや、このカードは昨年の香港出張の際も全く問題なかったはずなんだけれど。」

別のカードはちょうど期限が切れていて、更新しないつもりでいたし、もう一枚のマスターカードはイタリア国内でバンコマットと呼ばれるカードで海外使用するときの暗証番号がいつもの番号と違ったりするため戦力外。

そう言えば昨年の香港出張の時は、(恒例の)香港から深圳を抜け东莞市まで行く出張でなく、香港の見本市でクライアントとミーティングしたので、このカードを使ったのは香港だけだったのかと思い当たりました。(こういうところは香港と中国内地は全く別の国)

ともかく、カードが使えないなら現金で払えばいいのだけれど、現金の持ち合わせが全然足りない(ユーロも元も)。

「なんてこった。このままじゃこの後の日程も全て不可能になるというか、ホテルにも泊まれない。日本にもイタリアにも帰れないではないか!」

とりあえずホテルには持ち合わせの現金からデポジットとして300元ほど払い、何とか部屋を確保。

部屋からイタリアの銀行へSOSのメッセージを送信。でもそれで解決するかどうかはまだ分からない状態。(時差の関係で返事が来るのは翌日以降)

夕飯には酒徒さんのブログで調べてあるお店に行くつもりがほとんどすっからかんで上海で初めての夜を迎えることに。

仕方なくホテル近くのコンビニで肉まんだけ購入。ドリンクは部屋備え付けのネスプレッソ。寝る前にコーヒーというのもアレだけれど。

せっかく上海に来る途中トランジット中のモスクワ空港でおいらのデザインしたエスプレッソの自動販売機を見付け。上がっていたテンションはただ下がりの一夜。

翌日は見本市へ出掛け、クライアントとミーティング。以前何度も仕事したことがある顔見知りの中国企業の人と会い、また新しいプロジェクトを一緒にやろうと言う話でまことに結構な展開。

「それではこのプロジェクトの費用と時間的な計画の見積もりを出してください」とお願いされました。

しかし、このままカードが使えなければ、仕事の見積もり出すどころかミラノに帰れない状況なため、無理を承知でクライアントに現金を貸してくださいとお願いすることに。

「何、ミーティングで会ったクライアントに現金を借りるだと!」

もちろん非常識なことは重々承知の上で頼んでいるのですが、もしこのままカードが使えない場合のことを考えると背に腹は代えられないからね。とりあえず、日頃は全人類の模範的人間であるおいらの人格(誇張した表現があります)をよく知っている人なので、快く無理なお願いを聞いてくれ、見本市内にあるATMで引き落とせる限度額(5000元)を貸してくれました。

これで何とか今後の旅程も生き延びれることになり、クライアントにはイタリア帰国次第すぐにお金は返す旨を伝え、お礼を言って別れました。

なんとかホテル代を払い、その後の旅程も現金でやりくりできる札束を握りしめ、「キャッシュレスがなんぼのもんじゃい!」と意気揚々ホテルへ向かいました。

するとホテルに戻る途中の地下鉄内でチェックしていたメールにイタリアの銀行から返信があり、「チャオ、ヒロシ。カードは今日から中国でも日本でもOKだよ。よい旅を!」と書いてあるではないですか。

「なんと、カードも使えるのか!もう無敵ではないか!」

ホテル到着後、ロビーでの支払いで「とりあえず昨日通らなかったこのカードで試してみてくれますか?」とカード決算してみると、あっけなく支払い完了。

あ、現金で払えばよかったと思ったのも後の祭り。気が付けば手元に現金が入って膨れ上がっている封筒が残っています。

「ムムム、これはできる限り中国での支払いは現金払いにしなければ。」

そんなわけで上海と青島滞在した約1週間はどこでも臆することなく現金で支払いを続けました。

日本の中国情報では「都市部では現金を出すと偽札だと思われて受け付けてくれないことも」なんて書いてあったりするけれど、コンビニでもホテルでも飲食店でも空港でもタクシーでも、いやな顔されたことは一度もありませんでしたよ。

しかしずっと現金払いをしていると、五角札なんてレアな物まで手に入ってしまったけれど、これが本物かどうかは知りません。

さて、上海から青島への移動日に空港へ向かうと、上海はそれほどひどい雨ではなかったのに、発着の案内モニターは「延滞、キャンセル」祭り状態。

ここでまた背中に汗が流れる展開。

その日の内に青島行きの便が飛ばなければ、翌朝金曜日に予定してあるミーティングは流れてしまうし、土曜日では仕事にならないし、支払い済みの青島のホテルでなく上海にホテルを急きょ確保しなければならなくなるし、3時間ほどハラハラタイムを味わうことに。

幸いおいらの乗る予定だった青島行きの便はキャンセルにならず、4、5時間遅れで青島へ飛びました。

空港からホテルへタクシーで直行し、何とか真夜中の12時にチェックイン。これも完全に日が代わってしまうとややこしいケース。

結局予定していた青島のちょっとだけ観光の時間もなくなってしまいました。

バタバタながら青島でも予定を終え、もう街中へ出る元気もなかったのでホテル近辺だけ散歩してたら「蘭州牛肉麺」のお店を発見し、英語の通じないお店なため勉強中の中国語でなんとか注文し、上海で食べそびれていた「To Do リスト」のメニューを一つ消化。

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青島のホテルは朝食が付いていないと言われ、値段を聞いたら200元のビュッフェだったので、朝食はホテル近くの食堂街へ出かけて地元の人の食べているローカル食を楽しんできました。

青島での用事を済ませ、一旦上海に戻り一泊後日本へ飛びました。関空でまだ大量に残っていた中国元から少し日本円に両替し、大阪→東京→山梨→倉敷→名古屋→倉敷→大阪と、2週間の夏休みを終えもう一度上海へ戻って一泊後ミラノへ戻って来ました。

日本での滞在記はまた気が向けば別で書きます。

時代に流されることなく、中国で現金礼讃してきた非常識者のお話でした。

Peace & Love



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