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鎌倉 歐林洞の想い出 -2015-  僕と音楽と⑴

 コロナ禍の2020年6月20日、鎌倉歐林洞が店を閉じた。
 鎌倉駅を降り、鶴岡八幡宮へ向かう小町通りは、さながら原宿竹下通りの様に変貌を遂げたが、八幡宮の西側を県立近代美術館別館の辺りまで来るとすっかり昔の面影になり、その右手向い側に歐林洞のシックな洋館はあった。
 もともと美術館を改装したという建物を入ると洋菓子の店舗、右手には、ケーキと紅茶などを楽しめる喫茶室があり、ユーミンの苗場でのSurf & Snowのお土産のお店としても知られていた。

 歐林洞が特別なのは、洋菓子売り場の右奥から周り階段が2階へと伸び、そこはサロン空間となっており、此処で度々、ライブが催されていたことである。
 ユーミンの苗場ライブなどを主催するキャピタルヴィレッジのイベントが多かったようだが、歐林洞主催も多かった。
 吉田美奈子は、此処でのクリスマス・ライブは19年続いたと言っていたけど、阪神の震災以降、終の住処を八王子に構えた僕には、鎌倉はちょっと遠かった。

 新入社員の頃、仕事納めと仕事始めはなるべく休むなと教えられ、これを作法としてきたが、2015年の年末は、週末明けは仕事納めの28日だけというカレンダーになり、初めて休みを取った。
 歐林洞では年末に、その年のオールスターキャストによる、Year end party!と銘打った忘年会ライブが催された。

 この年のメンバーは、keys.に中西康晴、g.に伝説の鈴木茂、ds.にシュガーベイブから馴染みの上原"ユカリ"裕、b.に小原礼、vo.にはその細君となった尾崎亜美、「DOWNTOWN」でデビューしたEPO、懐かしいブレッド&バターから岩澤幸矢、そしてあの小坂忠、そして吉田美奈子!
 100人ほども入るのだろうか?こじんまりとしたウッディな空間で、語り尽くせない面々がすぐ目の前で入れ替わり立ち替わり、なんと贅沢な忘年会だろう。
 「機関車」、「DOWNTOWN」、「マイ・ピュア・レディ」、「LIBERTY 」…
 そしてアンコールには勿論、名曲「ピンク・シャドウ」!

 通常は2部構成の合間の休憩時間に、階下の喫茶室で、紅茶とケーキが楽しめるのだが、この夜は、お開きになってから、ワインなども楽しめて、帰路に着いたのだった。

 一年後の2016年は、クリスマスが日曜日となった。僕は、吉田美奈子の歐林洞でのクリスマス・ライブを、16年目にして初めて聴くことが出来た。b.に井上陽介 、p.に森俊之。
 吉田美奈子の物語は、またの日に。

本日の一曲
ブレッド&バター「ピンク・シャドウ」

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