伝説の歌手カルーソーと、出したい音への執念。

東京で作詞作曲プロデュース、ボイトレ、ボーカルコーチなどやっております吉田博と申します。いつもはこちらでブログを書いてます。

さて今日はボーカルコーチとしてとても考えさせられるある一人の伝説的大歌手の話を紹介したいと思います。

この話は、僕が数あるボイストレーニング理論の中でとても影響を受けたフースラーの有名な著書"うたうこと"の付録として語られてた話。


カルーソーはこちらの歌手。

で、ざっくり説明すると

カルーソーはほとんど独学で、独自の発声方法を確立し人気を博していたが、その無理な発声方法のせいでキャリアの割と早い段階ですでに喉の問題を抱えていた。

それをかばうようにさらなる反自然的な練習を続け、最後には発声器官の健全な機能を失ってしまっていた・・

というような話。


ここから何が言いたいか?

自分が強烈に出したい声があり、歌いたい歌があった。それは自然に考えれば無茶な方法であったが独自に追求しつづけて、それが世間に受け入れられた。

という事実。ここにボーカルコーチとしての大いなるジレンマがたくさん潜んでいるわけです。だからこそフースラーもこの話を取りあげたんでしょうね。

コーチがいなくても、結局大切なのはその理想の音への執念で、その思いこそが最後に誰かの心を動かすものだと。

でも結果としてカルーソーは喉を痛めてしまい、短命に終わった。さてあなたはどうしますか?と。

でも仮に、カルーソーが誰かにそんな無茶なやり方はやめろと言われていたら歌手として成功しなかった可能性もある。これは本当に指導者として永遠のテーマ。

圧倒的な意思があって、それをやり続ける執念があればいつか何らかのものになる。でもその過程で起こりうる障害を回避するためには遠回りしなければいけないところもある。それによって歌手生命が長くなれば、もっと大きくなれる可能性もあったかもしれない。

現状僕の中での答えは、歌手生命は長い方がライフスパンで見たら幸せになることが多いと思っているし、そういう方向で指導しています。

それをどう説明し、どう納得して信じてもらうか??それもコーチの力量。そんなことを考えつつ、日々精進しております。


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