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「おカネの教室」ができるまで⑨Kindleで行こう

異例の1万ダウンロード突破

今回から「できるまで」は第2部、Kindle個人出版編に入る。
まず、このコンテンツに読む価値があるのか、判断材料を提示したい。

上は2017年3月にリリースした「おカネの教室」Kindle版の累計ダウンロード数の月次グラフだ。発売から3か月足らずの5月には5000を突破し、半年強で1万の大台を突破している。
これは、Kindleの個人出版(Kindle Direct Publishing=KDP)としては異例のヒットだ。KDPでは、5日間限定で無料キャンペーンを打てる。「おカネの教室」はこれを利用して、無料部門の総合トップを取っている。

(画像が粗いが、右上が拙著のサムネイル)

これはかなりの偉業だと自負している。
Kindleの無料コンテンツの3大勢力、「エロ」「青空文庫の名作」「マンガ・ラノベ」を押しのけての達成だからだ。
これをご覧いただきたい。

(「A女優大全」は20シリーズほどが一気にリリースされ、すぐさまランキングを席巻した。男って、悲しい生き物ですね)

Kindle史上初(?)の2冠

偉そうに「偉業」などと書いたが、「おカネの教室」がトップの座にあったのはわずか3時間ほどのことだった。3日天下どころの儚さではない
我がデビュー作をトップから引きずり降ろしたのは、「A女優大全」シリーズの大軍だった。画像はトップを取って数時間後のスクショだ。
おそらく「AV」となっていれば、Amazonの検閲にひっかかったのではないかと思われるが、そこは「蛇の道は蛇」である。

今、ざっとKindle本の無料ランキングの上位50位を見ても、上記の三大勢力以外は商業出版のお試し版、防災マニュアルなど役所の無料配布文書ぐらいで、個人出版と思しきものはビジネス書・ノウハウ本の類いしかない。

KDPは個人に発表の場を提供する素晴らしいプラットフォームだが、無名の作家が書いた小説の居場所などない修羅の国なのだ。
たとえ「3時間天下」でも、奪首を偉業と誇るゆえんである。

ちなみに「おカネの教室」は、商業出版のKindle版でも半額キャンペーン時に有料部門トップを、これまた数時間だけ取った。
おそらく有料・無料の両方でトップを取ったコンテンツは空前絶後ではないかと思う。
書籍版は惜しくも最高2位にとどまっている。いつか3冠を取りたい。

「ポチっと」から「ペラっと」へ

自慢話はこれぐらいにして、Kindle市場の意外と知られていない構造にも軽く触れておこう。

冒頭に掲げたグラフには単に「ダウンロード数」と書いたが、実は、事はそう単純ではない。
Kindleには「Unlimited」という定額読み放題サービスがある。月額980円払えば、文字通り、数十万の対象コンテンツが無制限に読める。
KDPのコンテンツは、このUnlimitedの対象に加えるよう、強く誘導される。ロイヤリティー(印税のようなもの)が全然違うのだ。
読者が無料で読んでも、KDPの作者にはちゃんとおカネが入る。読まれたページ数に応じて、Amazonが分配金を支払うからだ。
つまりKDPの収入には2種類ある。

① 読者のコンテンツ購入代金の一定割合(ロイヤリティー)
② Unlimitedで読まれたページ数に応じた分配金

意外だったのは、実際の実入りでは圧倒的に②が多かったことだ。「おカネの教室」の場合、総収入の実に9割がUnlimitedの分配金だった。これは全く予想外で、「販売価格の設定に悩んだのは何だったのか」と苦笑してしまった。

この事実は、KDPのコンテンツの作り方において重要な意味を持つ。
端的に言えば、「エロい表紙で読者を釣っても銭にならん」のである。
購入型のサービスなら、「ポチっと」させれば、ひとまず儲かった。KDPではそれは通じない。読者が10ページで放り出せば、5円ほどしか作者には入ってこない。
面白いから、あるいは役に立つから、最後までページをめくってしまう。そういうコンテンツでなければ、収入に結び付かない。
「ポチっと」から「ペラっと」への革命である。

冒頭のダウンロード数に話を戻すと、上記のように読者の9割は読み放題なので、コンテンツをダウンロード(=購入)したかどうかは、作者にはわからない。
なので便宜上、既読ページ総数を作品のページ数で割った、「読了読者数」とでもいえる数字をダウンロード数としてカウントしている。途中で投げ出す人もいるだろうから、単純なダウンロード数より堅めの数字になるはずだ。
このベースで、「おカネの教室」KDP版は、前編・後編・統合版のシリーズ3作累計で1万1000超のダウンロードを獲得した。

ここまで読んで興味を持ってもらえた読者には、「できるまで」第2部は有益なシリーズになると思う。
相変わらず筆任せなので「予定」でしかないが、本シリーズでは、KDPに至るまでのリライトや経緯、KDPの実務、リリース後の予想外のヒットや、「一つ星レビュー」爆弾の威力などを紹介し、出版社に売り込んで商業出版が決まるまで、を取り上げる。
独立した読み物として書くつもりだが、先に第1部の総集編に目を通せば、より楽しんでももらえるだろう。

ベストセラー「おカネの教室」ができるまで 総集編1

乞うご期待!

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