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『いい男、いい女になる秘訣』〜甘え上手なA先輩の最後のごろにゃん〜

とらねこさん主催
『文豪へのいざない』への参加作品です

テーマはズバリ
『いい男、いい女になる秘訣』
それではさっそくいってみよー(どこへ?)

1.いい男の定義

僕の思う″いい男″とは、
″甘え上手な男″だと思う

いい男の定義はひとそれぞれで、
単純に外見だったり、生き様だったり、
いろいろだと思う

僕が50年生きてきて、
実際にカッコいいな感じたのは、
65歳の若さで亡くなった僕の上司

ここでは″A先輩″と表記しますが、
20年同じ会社で働かせて頂いた、
尊敬する上司です

製造現場で油まみれでのし上がった、
いわゆる昭和の町工場のオッチャンで、
ふだんはいつもニコニコしていて、
くだらないじょうだんを言っては、
「ガッハッハー」と笑ってる方でした

でも仕事に対してはすごく情熱的で
作り上げた製品に一切妥協しない

そんな男でした

そんなA先輩ですが、おちゃめというか、
かわいこちゃんに弱いというか、
大きな体なのに、女の子の懐にごろにゃんと、
滑り込むのが上手な方でした

仕事の時の真剣な表情とうってかわった、
ギャップに、ヤラレるというか‥

とにかく、そのへんの切り返しが、
ネコのように柔軟で、ステキだなぁと、
思っていつも見ていました

そんな甘え上手なA先輩のエピソードを、
先輩のお葬式に、奥さんからおお聞きして、
先輩らしいなと思ったので紹介します

2.最後のごろにゃん

A先輩は課長→部長→事業部長→常務まで上り詰め、ご自分で会社を興し、65歳で定年退職

後は奥さんと悠々自適に海外旅行という矢先に、癌が見つかり、一年間の闘病生活の末に亡くなった

A先輩のお葬式には、ちょうど海外出張中で立ち会えず、一ヶ月ほど遅れて自宅にお邪魔し、お線香だけあげにいった

その時、奥さんと二人で、こんなことがあったよねと、わいわいと話をして

まったく、この人ったら、入院してるのに、ベッドにノートパソコンもってきて仕事してるし、ウクレレ持ってきて、演奏始めて、あわてて、病院から許可を得たり、もーたいへんだっんだからと

奥さんから、つぎつぎと、あんなことがあった、こんなことがあったと、思い出話があふれてきて‥

そうしたら、最後にこの人、夜に急に呼び出して、またまたなんのお願いかと、かけつけたら、なんて言ったと思う?

「いっしょに寝よう」だよ!

わらっちゃうよね、ここ病院だよ、ハズかしいよと、ワタシことわっちゃったんだよね

そしたら、そしたら、次の日にはもう‥

あー、ワタシなんてバカなんだろう、最後だってわかってたら‥、ちゃんといってくれたら、いっしょに寝てやるくらい、おちゃのこさいさいだったのに‥

あー、バカなことした

でも、最後はあの人らしいなと‥

その話をしながら、ぽろぽろと泣く奥さんを見て、いい男になる秘訣って、甘え上手になることなのかなあと、僕は思う。

3.ED曲

『光るとき』〜羊文学〜

命のはかなさと美しさを歌う名曲です

(おわり)

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