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20代ゲイ。元カレのことを諦めたくなかった #58

今回の記事は、以前の記事に書いた元カレと僕が交際関係をやめてから友人としての関係になっていくまでの話をまとています。


大学4年生の僕は、ゲイマッチングアプリで知り合った年上の彼と付き合って
約2年の交際期間を経て別れました。

僕は彼のことが大好きでした。
その大好きな彼氏が、日に日に僕に対してそっけなくなっていき
僕に対して興味が薄れていっていることを実感せざるを得ない日々は
当時の僕には耐え難いことでした。

僕は大好きな彼氏にもう一度好きになってもらいたかったけど
どんなに頑張っても空回りしてしまって、僕と彼の気持ちはどんどんズレていくような感じがして
気づいたときには、僕と彼の間には埋めようがない溝ができていたような
そんな感覚がありました。

これ以上、一緒にいると本当に彼に嫌われてしまいそうだと思ったし
僕自身も大好きな彼のことを嫌いになってしまうかもしれないと思いました。

そして、僕は彼との関係を諦めました。


諦めたつもりでした。


だけど実際に別れ話をすると、一気にこれまでの楽しかったこと嬉しかったこと幸せだった時間が
僕の中から溢れてしまって
どうにかその時間をまた取り戻したいと思ってしまいました。


だけどそれは叶わなくて、僕と彼の恋人としての時間は終わりました。



その彼と別れて、僕はすぐに新しい彼氏を作りました。
とにかく寂しかった。
このぽっかり空いた穴を何かで埋めずにはいられなかった。


新しい彼との交際関係がはじまってから数ヶ月がたったころ
ふいに大好きだった元カレから連絡がありました。

僕は元カレと別れてからも友人としての関係は続けていきたいと思っていました。
しかし、元カレは違ったようで僕から何度か連絡をしても返信がくることはありませんでした。


そんな連絡がとれなくなった元カレからの思いがけない連絡はとても嬉しかったです。



「久しぶり!元気にしてる?」


短いメッセージでした。
僕たちはそのあと数通のやりとりをして、会うことになりました。


「忙しくてなかなか連絡できなくてごめんね。実はさ、ひろトと別れてからすぐに彼氏ができたんだけどもう別れちゃったんだよね。」


元カレと会うのは別れてからはじめてで、約4ヶ月ぶりでした。
4ヶ月間の近況報告の中で、そんなことを元カレは話していました。


だけど僕は知っていました。
元カレの言う“彼氏”は僕と別れてからできた彼氏じゃなくて
僕と付き合っている間にできた彼氏だったことを。


彼の嘘を知りつつも、当時の僕にとってその嘘は些細なことでしかありませんでした。


それよりも元カレが交際相手と別れて僕に真っ先に連絡をくれたことが嬉しかったです。
僕のところに戻ってきてくれたんだと錯覚してしまいました。


僕は元カレとよりを戻したい。
大好きな元カレともう一度やり直したい。

元カレと再会したことで、今まで無理やり塞いでいた気持ちが溢れてしまいました。


そして僕は、元カレに嘘をつきました。
僕は付き合って4ヶ月目になる彼氏がいましたがそのことをとっさに隠してしまいました。


僕は彼氏との交際を続けながらも元カレと定期的に会うようになりました。


そんな時間が3ヶ月ほど続き、僕と元カレは一泊二日の旅行に行きました。
本当に楽しかったし、嬉しかった。
またやり直せるかもしれないと元カレとの未来に期待していました。


僕は旅行の帰りに元カレにもう一度、彼氏になってほしいと伝えました。


伝えたあとに長い沈黙がありました。


そして、元カレの返答は僕が期待していたものではありませんでした。




悔しかった。

全部が悔しかった。

悲しかった。

辛かった。

虚しかった。



それ以降、元カレからは連絡が来なくなりました。
僕から連絡をしても返信も来なくなりました。



僕は彼氏に、これまでのことを正直に話しました。
この三ヶ月間、嘘をついて元カレと会っていたこと。
元カレに告白をしてフラレたこと。
僕はまだ元カレのことが好きだということ。

そして別れてほしいと、伝えました。


彼は泣いていました。


僕は最低です。


僕は、彼氏がいるのに
元カレへの未練を断ち切れずにその人を追いかけて
僕も、彼氏も、元カレも誰にとっても幸せな選択ではなかったし
嘘だらけでした。



だけど一つ確かなことに気づきました。
こんな状況になっても、やっぱり僕は元カレのことが大好きなんだと気付かされました。


僕は元カレのことを諦めたくなかった。


こんなに大好きだった人ともう二度と会えなくなるなんて嫌だと思ったし
会えないことを受け入れてしまうことは、彼と過ごした時間を否定しているような気がして
それだけは絶対に嫌だと思いました。


またやり直せるかもしれないなんて淡い希望を抱いてしまったけれど
復縁なんて彼は望んでいないということもわかりました。


僕はただ、一人の対人間として彼との関係を続けたい。



だけど、そのときの僕には彼との関係を再構築するための手立ては残されていませんでした。



悔しいけど、この先彼に連絡をしてもきっと返事はないだろうし
今のままでは僕と会いたいとは思ってくれない。
無理に会おうとしてアクションを起こしたとしても、かえってその行動のせいで彼と僕との距離を遠ざけてしまうかもしれない。




じゃあ、僕がとるべき行動は




ちゃんと幸せになること。それしかないと思いました。


僕が彼の立場なら、僕に新しい恋愛をはじめて
ちゃんと幸せになってほしいと思ってくれているんじゃないかと思いました。

僕は大好きな彼の願いを叶えてあげたい。
僕の想像だけど、きっと彼は僕の幸せを願ってくれている。

僕は僕を幸せにしてあげることで、彼の願いを叶えたいと思いました。

正直、自信はありませんでした。

彼以外の他の誰かのことを大好きだと思えるのか。

誰かに僕のことを好きになってもらえるのか。

不安しかなかったけど、だけど僕はもう一度彼に会いたい。

だから絶対にもっと幸せになって

魅力的になって

そうすれば、きっともう一度彼と会える。


それが遠回りのようで、一番の近道だと思いました。


僕はもう一度、彼と会うために幸せになることを決意しました。




それから半年後に僕は、東京に住んでいる人と出会いました。
僕は西日本の田舎に住んでいて、東京に住む彼に会うためには空港まで車で片道2時間の道のりと飛行機で片道2時間の計4時間の距離がありました。
こんな遠い距離で恋愛なんてできるのかとも思ったけど
距離を障害だと感じないくらいに、とても安心感をくれる素敵な彼と僕は付き合うことができました。

喧嘩もたくさんしました。
お互いに傷つけあった時間もあったけど、彼はどんな状況でも僕の一番の味方でいてくれるようなそんな彼でした。
僕は彼との交際を経て、特別な一人を信頼するための自信や無条件に誰かのことを大好きでいていいのだということを学びました。





そして元カレと最後に会ってから約三年の月日が流れました。
12月某日、僕は彼氏とデートをしていました。




「久しぶり?元気にしてる?さっき〇〇の交差点でひろトっぽい人見かけて懐かしくなって連絡してみた」




それは、元カレからの連絡でした。



不意に届いた元カレからのメッセージが本当に嬉しかった。




待っててよかった。




そして元カレが交差点で見かけた人は、紛れもなく僕でした。



「やっぱり!男同士でめっちゃ距離近くて、ゲイカップルかなって思って見たらひろトっぽくてそうかなって思った。あんな風にしてたらゲイバレするから気をつけないかんよー」




彼氏と二人で歩いているところをたまたま目撃されたようで赤面しました。





そして、このやりとりがきっかけで僕と元カレは再会しました。
それからは年に一回程度は会うようになりお互いの近況報告をし会える仲になり
今ではいい友人としてお付き合いさせてもらえています。



幸せそうにしている元カレの姿を見て僕は嬉しくなるし、元カレもきっと同じ気持ちなのだと思う。
僕たちは恋人同士としてはうまく付き合っていけなかったけど、お互いがお互いの幸せをちゃんと応援し合えていたという答え合わせができたような感じがします。



僕は、元カレにちゃんと感謝の気持ちを伝えることができていません。

僕の彼氏になってくれて、僕にたくさんのはじめてを経験させてくれてありがとうと
いつかちゃんと伝えたい。


それを今僕が胸をはって元カレに伝えられないのは、僕自信が今この瞬間一番幸せだと言えるタイミングではないからだと思います。


僕はちゃんと幸せになりたい。


ちゃんと幸せになれたと思えた日が来たら、僕は元カレにちゃんと感謝の気持ちを伝えようと思っています。

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