鬼門のマドリードダービー ラ・リーガ23節

今シーズン、大激闘をしているレアルマドリーとアトレティコマドリー。マドリーにとって大事な連戦の一つ。

スタメン

レアルマドリー スタメン
ルニン
ルーカス、カルバハル、ナチョ、メンディ
バルベルデ、カマヴィンガ、クロース
ブラヒム、ベリンガム、ロドリゴ

クルトワ、ミリトン、アラバに加え、リュディガーが直前のヘタフェ戦で怪我、チュアメニが累積で出場停止。そして試合のウォーミングアップでヴィニが負傷し、ブラヒムがスタメンに。人材不足のCBにはカルバハルが入った。他ポジションとの兼ね合いとルーカスの好調さを見ると妥当な判断。

アトレティコ スタメン
オブラク
サヴィッチ、ヴィツェル、エルモソ
ジョレンテ、デパウル、コケ、サウール、リケルメ
グリーズマン、モラタ

ヒメネスは欠場、モラタは怪我明け。マドリー視点では苦手なリノがベンチスタートでリケルメがスタメン。

最近のマドリー

4312の時期や4222の時期があったが、最近は433気味に戻ってきている。ブラヒムとベリンガムの2トップ下システムである4222から、最近はチュアメニやカマヴィンガの復帰によってバルベルデが右に張り出すようになり、442気味。その時もベリンガムは保持局面で中央に君臨するので、シーズン序盤とニュアンスの違う4312のようになっていた。そしてホセルを起用するときには433を使うことが多い。これはヴィニの前残りを許可していた昨シーズンまでのやり方と似たもの。で、引いた相手には442を使うよりもホセルを入れた433のほうがうまく機能していたし、点が取れた。ので、433を使うことが多いフェーズ。

この日のマドリー

ベリンガムの0トップのような433でスタート。ビルドアップ時は2‐3(クロースの位置によって3‐2)の後方。それと割と自由だと思うが5枚が前ということにしておく。
押し込むにつれクロースよりカマヴィンガのほうが前に行く傾向がある。そしていつも通りボールサイドに人がいっぱい寄っていく。守備時は、ベリンガムに加え、クロースが前に出て424でプレスをかける。この時、ヴィツェルをフリーにし、他にはマンツーマン気味。この時、マドリーとして特に警戒するのはジョレンテ、グリーズマンに加えてシステムを壊しに来るエルモソか。

カルロは前プレをかけるとき、前に出ていく走力やスピードより後ろに残る選手の守備力を重視する傾向にあると感じている。僕は以前からモドリッチではなくバルベルデに前プレの先頭を行ってほしいと言っていた。今回もバルベルデとカマヴィンガは後ろに残り、クロースが前に出る。カバーエリアの広いほうを後ろに残すような選択。最近はカルロの考えのほうが正しい気がしている。

得点

いつものようにクロースがタクトを振る。彼はルーカスのことが大好きなので、ルーカスにボールを届けることが多くなる。愛人。まあ真面目なことを書くと、クロース自身が出し手になる左サイドより、右サイドのほうがボックス付近で数的優位。だから右サイドへの展開が多いだけ。このシーンはラッキーもあったが、数的優位なこのサイドを突破して先制点。緊急出場のブラヒムがゴールを決めた。

その後、23分台に2本のコーナーキックが大ピンチだったがセーフ。身長が低い選手が多いことのネガティブな面が出たシーン。その後10分間はどっちつかずの状態が続く。アトレティコが少しボールを持ち、マドリーがカウンターというような時間だった。ここでシメオネが変更をする。

リケルメの移動

10分少々でグリーズマンを左に落とす541に変更したシメオネだったが、また変更を加える。左のウイングバックだったリケルメを右サイドに移動させ、442に巻き戻った。一応5バックにもなれる人の配置であったが。


先ほどカルロは守備を重視するという話をした。それを象徴するのがブラヒムとロドリゴの位置を変更したこと。リケルメのポジション移動により、怖い存在であるジョレンテがSBになった。その対応をするためにブラヒムを左に持って行った。明確にストロングになっていたブラヒムを左にしたのは刺すより刺されることを恐れたから。この時点で基本的には1-0で。あわよくば2‐0にしたい、失点したくないという意思を受け取った。CBの状況を考えると分かる判断だけども、逆に失点のリスクを負いながら追加点を狙うという考えもあったはず。この時点の僕は、「どうせエルモソの対応で守備するんだから変えなくていいやん」と思っていた(実際、43分45秒くらいでロドリゴがエルモソに戻って付きに行くシーンがある)。まあカルロのなかではエルモソよりジョレンテのほうが怖いということなのだろうけど。

個人的にブラヒムとロドリゴの守備力は差を感じるほどではないと思っている。ロドリゴのほうがさぼり癖はあるけど。そこで、言うことを聞くブラヒムを指示が届きにくいサイドに持って行った。マドリー内の序列を感じる。

2点目を取れたらベストだったが、ほぼ完璧の前半。アトレティコはハーフタイムでリケルメ⇒モリ―ナ。ジョレンテがインサイドへ。
個人的にリケルメは押し込むときの+1要員だと思う。だから引くことが多い試合では途中出場で流れ変える切り札にしたほうがいいんじゃねと思っている。守備を学べば将来的に最高のウイングバックになれるということでシメオネの投資なのだろうか。少しジローナのヤンコウトとイメージが被る。

耐え

モリ―ナがサイドバックで外、ジョレンテが右サイドハーフ兼右の内側全部という、とりあえず色々やらしとけ感のある起用の仕方。明らかにマドリーとしては脅威になっていて、クロス本数が格段に増えた。しかし、ことごとく跳ね返したマドリー。オフサイド判定になった失点も含め、本当に耐えの時間が続く。

61分、攻勢を強めたいアトレティコはデパウル、サウール、モラタ⇒バリオス、リノ、メンフィス。3枚替え。

66分、カウンターでのロドリゴの決定機。カウンターで仕留めるしかなかったので決めたかった。決定力の部分はヴィニより上であり続けないと立場がなくなりかねないので、こういうのは決めてくれ。

68分、コケ⇒コレア。スクランブル気味。
69分、バルベルデの爆速カウンターからブラヒムの決定機。外してホセルと変わっていった。大丈夫か?感が増していく。ベリンガムが左ウイング。

75分、ロドリゴ⇒モドリッチ。直後にメンディのミスからグリーズマンの決定機。ルニンが止めてくれたけども、ボール保持率を高めて試合を終わらしに行こうとした矢先にこれ。怖かった。その後はホセルがポストプレーで時間を作りながら時計の針を進める。

87分、ベリンガム⇒セバージョス。守るにシフトしたカルロ。451のブロックで完全に引くようになった。が、耐えきれず93分に失点。ここ以外は本当に完璧だったので悔やまれる失点。ブロックを引くことに決めたので、相手のCBへのプレスはほぼ捨てることになってしまった。そして、そのCBのクロスがうまかった。メンフィスへは誰か競れよとは思いつつ、カバーを優先するナチョと普段SBのカルバハルのCBコンビだったので仕方ないかなと思いつつ。リュディガーが居たらなぁ。

偶然

正直マドリーは結果的に良い方向に進んだアクシデントがあった。それはヴィニの負傷。ヴィニではなくブラヒムをスタートで起用できたことによって、右サイドの攻撃が活性化し、守備の不安も減った。ヴィニがスタートだったらいくつかチャンスを作られていただろうし、もっと言うとオープンな展開になってシーソーゲームになっていた可能性すらあった。マドリーがこの試合を進めるにあたっては良い偶然だった。
もう一つタラレバがあるとするとヴィニの負傷と失点の時間。おそらく、後半開始早々のゴールが認められて膠着状態ならヴィニは出てきただろう。そしてカウンターで力を発揮してゲームを決めていただろう。本当にここは偶然でしかない。ほぼ完璧な試合を進めたマドリーにとって良かったのかどうなのかという感じではあるが、"偶然"だった。

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