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"Less Show More Fighting"に惹かれる理由

ーLess Show More Fighting.

いつからだろう。この言葉が、このフレーズが頭の中から離れなくなったのは。

ACA(Absolute Championship Akhmat)という団体に私が心惹かれたのは、その競技性の高さや組織としての規模、という部分だけでなく、根底にはこの”Less Show More Fighting ”(直訳すると、「ショーは少なく、戦いを多く」)というコンセプトが頭から離れない事にあった。

それはいつだったか、私がACB(ACAの前身団体)のオフィシャルHPを眺めていた時に、その団体のプロフィール、企業概要欄を見ていた時に感じた事だ。

”Less Show More Fighting”のスローガンはこのように説明されている。

Our league is the only one in the Russian market supporting an opinion that mixed martial arts are primarily a sporting event, not a show. In today's MMA world, most promoting companies started to forget the true meaning of this kind of martial arts. The emphasis within the industry is increasingly shifting towards the notorious "show", and often to the detriment of the sports component. The ACB slogan "Less show, more fighting" demonstrates in the best way that sport will always come first for us, even if we'll have to sacrifice something for the sake of it.
引用元:https://www.aca-mma.com/en/idea

※ACA WEBサイトより、本文をそのまま引用しました。

咀嚼すると、”昨今、世界中のMMA団体は戦いの本質を忘れ、悪名高いショーに移行しつつある。我々のスローガン(Less Show More Fighting)はたとえ犠牲を払っても、それ(⇒戦いの本質、意義)を示し続ける。”

という事が書いてある。


この文章だけで、心奪われた。この文章の中で素晴らしいと感じたのは、表上の文面もさることながら、"notorious"という単語が記載されていることだ。

すなわち、

この悪名高いショー ⇒ UFCの象徴 

⇒ 西側世界 ⇒ 世界の中心

という連想を持たせることで、表上では、興行的な成功を追い求めるエンターテインメントを批判しつつも、ACAスタッフのUFCに対する嫉妬とリスペクト、それでも我々とは相いれないのだ、という様々な想いが見て取れる。


時は流れ、2021年。

2021年も既に第1四半期が終了し、ACAでは計6大会・4タイトルマッチが行われた。

ウェルター級タイトル戦

Murad Abdulaev vs Abubakar Vagaevは、レスリング力で勝る挑戦者Vagaevが王座を奪取。ロシア中量級のハイレベルな戦いを満天下に知らしめた。余談だが、この試合が行われた際の公式ポスターが素晴らしい。(個人的に携帯の待ち受けに使いたいほど、綺麗で秀逸)

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引用元: https://www.mma-core.com/photos/ACA_118_Poster_February_01_2021/234854

フェザー級タイトル戦

Felipe Froes vs Magomedrasul Khasbulaevは、王者Froesの調整ミスも響いてか、体格は劣るが機動力のある、Khasbulaevがチョークで一本勝ち。個人的にブラジルのFroesを応援していたので(大会数日前にFroesの奥さんがお子さんを出産されていた)、少々ショック。復活に期待したい。

バンタム級タイトル戦

Daniel Oliveira vs Magomed Bibulatovは、総合力で勝る挑戦者Bibulatovが判定勝利。ACAの総本山、Akhmat Fight Clubに5つ目のベルトをもたらした。結果として、ブラジル勢のベルトは全てロシア(チェチェン)が奪回。今後はブラジル勢の逆襲、また、スラブ系ロシアのブレイクスルーに注目したい。

ヘビー級タイトル戦

Tony Johnson Jr. vs Dmitry Poberezhets

王者Johnsonが、フィジカル差やナチュラルな強さを持つウクライナのPoberezhetsに面食らう場面はあったものの、レスリング&パウンドで王座防衛。Johnsonは古くからロシアで、Vitaly Minakov・Evgeny Goncharovと戦ってるためか、自身よりも身体が大きい選手との試合は、手慣れたもののように感じさせる頼もしさがあった。(何より、現UFC王者のフランシス・ガヌーのスパーリングパートナーを務めているのが大きいかもしれない)


そして、2021年第2四半期。

現代は、最悪の時代だといわれている。

孤独の時代、分断の時代ともいわれている。

世界はもう、コロナ禍以前のものには戻らない。

だがそれでも、人々が格闘技を求める気持ちは変わらない。


ーLess Show More Fighting.

もう説明はいらない。

Absolute Championship Akhmatの更なる飛躍に期待したい。




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