香川県讃岐高松の海苔製造・販売「地濱水産」、人の顔が魅える“デザイン事例と背景ストーリー”


“一年で最も美味しい海苔を 多くの人に食べてもらいたい”

------------

◎ デザイン解説のようなストーリー

「瀬戸内国際芸術祭」は、美しい瀬戸内海の島々を舞台に、三年に一度開催される現代アートの祭典。

芸術祭内の企画、「名産品リデザインプロジェクト」は、名産品パッケージデザインを、メーカー・デザイナーが協働でリデザインすることで、日本全国に発信していくプロジェクト。これに、本商品が選ばれていた。リデザインプロジェクトは、指名コンペだった。

---

私が提案した、「讃岐高松 ちはま 味のり・焼のり」。この海苔は、一年で最も美味しい収穫時期の一番摘みと二番摘みのみを使用している。かじると、口の中に瀬戸内海の旨味が広がるのだ。

一年の中で、最もおいしく育った“のり”。それを、タイポグラフィックで堂々と伝えた。味のり・焼のり、2つ並ぶと読める“のりのり”は、海苔・乗り(旨味・気分が乗っていること)を表現している。

「味」は、豊かな味の広がりを円形で、「焼」は、焼かれる香ばしさを曲線で。赤色箔押しを使用し、キラリと光る名産品を印象づけた。そして、ラベル・箱ともに、「きぬもみ」という和紙を使用。やさしく細かなテクスチャは、瀬戸内の海、波を表しているのだ。

---

本商品は美味しさの評判から、ホテルや旅館、寿司屋さんでも提供されている。元から愛する人、これから愛する人。すべてひっくるめて、普遍的につなげたい。

指名コンペの特別審査員は、“ロングライフデザイン”(流行に左右されない環境・デザイン)を提唱されているナガオカケンメイさん。その琴線にふれたこと。心の中で静かにガッツポーズ。デザインの立ち位置を考えながら、これからも拡げていく。

------------

◎ デザインから派生したエッセイ

「名産品リデザインプロジェクト」。キーワードとして「地域活性」がある。ここでいう「地域」とは、瀬戸内海周辺を指す。クライアントである「地濱水産」の盛り上げももちろんだけど、それだけではなく、販売するお店や、地元の印刷会社の盛り上げも同時に考える。

で、このパッケージ。ラベルは東京の河内屋、箱は香川県内の印刷会社と、異なる場所で行っている。同じ地元同士で発注・製作を行うことで、今後の増刷時も見据え、双方がより良く盛り上がってくれれば、という想いを込めた。……が。

---

香川の印刷会社に入れた入稿データ。校正印刷前、「印刷進行しやすく、一部データを差し替えました」との連絡。添付ファイルを見て愕然。念入りに検証や調整を進めた、書体やサイズ感、レイアウトがすべて変えられている。うおー! と叫びつつ、メールを送る。

「このプロジェクトには『地域活性』という“ゴール”がある」
「すべてのデザイン要素には、“ゴール”につなげる意図がある」
「“魂”が籠もっているんです」

---

結果、元データのまま、がんばって進行いただいた(本当に感謝……)。相手は人間である。お願いしてダメだったから、とすぐあきらめるのではなく。熱意をもって、真摯に接する。

「力の底上げ」には熱量が必要で、熱量は「動く人の意志の密度・大きさ」を指す。変化は、いつでも、自分から。「自分からしか」できないからこそ、自分がやる意味がある。しょーゆーこと◎

------------

・クライアント:海苔製造・販売 地濱美保
・デザインと文章:永井弘人

◎ 次の人、「革靴製作ブランド『delightful tool(デライトフルツール)』、人の顔が魅える“デザイン事例と背景ストーリー”」へ。
はじめての方へ。「人の顔が魅える『デザイン事例・背景ストーリー』」とは?


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

いつも読んでいただき、本当にありがとうございます。いただいたサポートは私のモットーである、「“デザイナーではない人”にデザインを伝える活動費」に使わせていただきます。日々、コツコツと拡げていきます!

これからも、日常とデザインを拡げてまいりまする。感謝、申し上げまする!
44

◎ クライアントの声、ロゴと想いのストーリー。

ロゴデザイン・ブランディングによって、“個の人”が、こうなったらいいな、と思うことを形にする。目的達成の後押しとなる。屋号である「アトオシ」は、私の理念です。 「“クライアント”の声が聞こえ、デザインへの想いを書いたnote記事」を本マガジンにまとめました。 デザイン依...
1つのマガジンに含まれています

コメント1件

本パッケージデザイン裏話。「ラベル紙素材にこだわったのはいいけど、一体、誰が貼るんだ編」ってのは、こちらのインタビューにてお話ししました!→ http://portfolios.jp/contents/?id=17090853
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。