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F1 70周年グランプリの感想

8月9日にイギリス、シルバーストーンサーキットで行われたF1 70周年グランプリですが、レッドブルホンダのマックス・フェルスタッペンが見事に優勝。

今年、絶対的な優位を築いていたメルセデスに一矢を報いる形になりました。

メルセデスとレッドブル、お互いのメリット、デメリットがはっきりしたレース展開となり、観ていて久々に楽しいレースでした。

■露呈したメルセデスの弱点

昨年のメルセデスは、悪天候、路面温度が低い、サーキットが高い場所にある、という条件だと苦戦を強いられることが多かったので、今年のマシンはこれらの弱点克服を重点的に開発を進めてきたのではないかと思います。

事実、開幕のオーストリア2連戦は高所、ハンガリーは悪天候と、昨年なら苦戦する条件でしたが、他を寄せ付けない圧倒的な力を示しました。(開幕戦のフェルスタッペン、アルボンは惜しかったけど)

その流れはイギリスグランプリでも続いていた訳です。

50周目までは。

50周目にボッタス、ファイナルラップの52周目にハミルトンが、どちらも左フロントタイヤをバーストさせました。

素人目線ですが、メルセデスは弱点克服のため、タイヤを早く発熱させてグリップを得られるようにしているように思えます。

タイヤを早くグリップさせることができるが、その分、負荷が大きい。

ハミルトン、ボッタス以外ではサインツもバーストしましたが、同じマシンがほぼ同じタイミングでバーストするのは、そういうマシン特性だということなんでしょう。

死角がない今年のメルセデスに、大きな弱点が露呈したレースでもありました。

タイヤがもたないなら、正常に動作している間に安全圏まで逃げてしまえばよいが、それができないとどうなるか。

マシン特性は簡単には変わりませんから、今後もこの問題はつきまとうことになりそうです。

■重量が軽いと挙動が不安定なレッドブル

対してレッドブルのマシンですが、今年は一貫して予選の速さがありません。フェルスタッペン、アルボンとも、ナーバスな挙動のマシンに悪戦苦闘しています。

特にアルボンはその煽りをモロにうけているのか、姉妹チームのアルファタウリに予選順位を食われることが多くなっています。

しかし、この2台、決勝レースでは良い走りをするんですよね。

レースの中盤から終盤にかけて、毎回鬼神の如く追い上げてくるアルボンを見るのが、レースの楽しみのひとつになっています。

しかし、予選で遅いと後方からのスタートになりますから、レースでは不利になります。

ナーバスな挙動を改善しようとレッドブルのスタッフも取り組んでいますが、これもマシン特性なので簡単には変わらないでしょう。(テスト禁止の現行ルールだと難しいでしょうね)

なので、現時点では速さに勝るメルセデスが圧倒的に有利になっています。

■正攻法でダメなら頭を使え

F1 70周年グランプリは前戦イギリスから連戦となり、コースも同じシルバーストーン。

ピレリが用意したタイヤは前戦よりも1段階柔らかくなって、タイヤに厳しいメルセデスには不利な条件でした。

対するレッドブルは、フェルスタッペンが予選Q2でハードタイヤを使うという奇策にでます。

ハードとミディアムは1周0.7秒差がつきます。

周りはみんなミディアムタイヤを使っていますから、タイムが悪ければ予選Q2敗退となりますが、Q3に進出できれば、タイヤ使用義務のレギュレーションから、Q2で使用したハードタイヤで決勝をスタートすることができるので、上位の誰よりも耐久力の高いタイヤでレースをスタートできる大きなメリットを得られます。

レッドブルはレースペースが良くて、タイヤに優しい。

強みを活かし、相手の弱点をつくならここだとばかりに予選で勝負に出ました。

挙動が不安定という弱点があるが、リスクをとってもフェルスタッペンならばイケる。

同じ作戦をアルボンがとっていないことをみても、かなりリスキーだったことがうかがえます。

フェルスタッペンは期待に応えてQ2は7番手、Q3も4番手でした。

ヒュルケンベルグに上にいかれたのは誤算でしたが、決勝レースの1周目で早々に3位にあがってメルセデス追撃体制を作ります。

いつもなら、驚速ペースで逃げるメルセデスのペースが上がらない上に、タイヤの磨耗が酷くブリスターが発生して、ペース、タイヤの状況ともフェルスタッペンに分がある状況になります。

ハミルトンはタイヤ交換を遅らせて粘りましたが、最後のタイヤ交換でルクレールの後ろになってしまったのが運のツキ。

周回遅れのマシンも何台かいたので、この時点で勝負あり、でした。

■今後の展開

メルセデス圧倒的優位の中、奇策で一矢を報いたレッドブルですが、今後もメルセデスが強いことは変わらないと思います。

弱点が明確になったメルセデスですが、それでもマシンの速さは圧倒的です。

予選で不安定なレッドブルでは、メルセデスを追撃するのは難しいでしょう。

今回みたいなレース展開が増えても、フェルスタッペン1人では厳しいでしょう。

アルボン、ルクレールが予選で上位に食い込んでこれるようになれば、もっと面白くなるんですけど。

今後、どんなレースが繰り広げられるのか、楽しみに観戦したいと思います。

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