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SPLYZA Team を使っての試合考察~(明治安田生命J1リーグ 第31節 清水エスパルスvs湘南ベルマーレの後半)

SPLYZA Team を使っての明治安田生命J1リーグ 第31節 清水エスパルスvs湘南ベルマーレの考察、後半です(前半はこちら)。

清水の2トップを消しつつ不用意なカウンターを受けないよう地上戦に持ち込む。前半の集計結果からは、そのような湘南の戦い方が浮かび上がってきました。

かたや、湘南の戦略にはめ込まれ攻守に上手く機能しなかった清水。後半開始から右サイドハーフの金子に代えて村田を投入します。右のハーフスペースからゴール前が主なプレーエリアの金子とは特徴が違い、村田はサイドを主戦場とするプレーヤーです。

この辺りの采配と数値の変化にも注目です。早速集計結果を見ていきましょう。

【局面と切り替えの分析】

前半の傾向と大きな変化無く、湘南のインプレーでの奪取が多い。

清水の攻撃局面が63回、守備局面が76回でした。切り替え局面に繋がるインプレーでの奪取は前半と大きな変化はありません。

しかしアウトオブプレーや反則により、相手ボールになる機会が増えて、清水の守備局面が増えています。前半以上に清水は押し込まれていたと見ることができます。

【奪取エリア】

清水はほぼ自陣寄りでの奪取、湘南は半分以上をミドルサードで奪っている(これも前半と同じ)。

両チームとも前半と同様の結果。清水はディフェンシブサード、湘南はミドルゾーンでの奪取が多くなっています。しかもその傾向は前半より強くなっています。やはり清水は押し込まれていたと見ることができそうです。

【攻撃のルート】

清水、湘南ともに前半に比べて使用レーンが分散している。

前半は中央に偏っていた清水の攻撃ルートですが、後半は分散しています。

前半の集計でもわかるように、左のDF大野がドウグラスを見ていました。すると村田が右サイドに張れば、湘南の左ウィングバック高山と1対1。右サイドからの攻撃が増えていたのは、村田のドリブル突破、または村田が高山を引っ張りハーフスペースを広げるなど、この1対1を利用できていたからだと思われます(右アウトサイドと右ハーフスペースを合わせると40.74%)。

「クロス」の回数も計測したところ前半が5回、後半が10回でした。村田を投入して、サイド攻撃からクロスという狙いが読み取れます。

湘南の使用レーンも分散しています。これは以下の奪取後のスタイルとその理由が関係してるのではないかと推測します。

【奪った後のスタイル】

前半に比べ、清水は遅攻の割合が増え、湘南は速攻の割合が増えている。

清水は速攻が多いのは前半同様。しかし、その割合は前半68.18%→後半57.14%となっており速攻一辺倒ではなくなっています。映像で見る限りでは、ドウグラスのポストから河井、竹内に落とし左右に配球するようなボランチのボールタッチが増えていると感じました。

一方、湘南は明らかに速攻が増えています。清水の中盤の選手が攻撃に絡み始め奪った時、前にスペースができたからだと思われます。保持して清水の守備の動かしできたスペースを突いていく前半と違い、奪った時にできているスペースを突いていたため使用レーンが分散したのではないかと考えられます。

前半に比べて、後半はややオープンな展開になっていたと言えそうです。

清水の中盤のボールタッチや湘南の奪取者などもタグ付けできれば良かったのですが時間の関係で映像での確認のみになってしまいました。

【奪取後攻撃の成功率】

両チームともにチャンスを作り出す回数を増やしているが、湘南の方がより多くチャンスを作り出す回数を増やしている。しかし後半16分までに限っては清水の攻撃成功率の方が高かった。

清水はNICEとGREATの合計が33.33%。奪取して攻撃に繋げた回数は前半と変化がないものの成功率は上げることが出来ています(前半の成功率28.2%)。しかし湘南も前半が44.19%に対して後半57.77%。清水以上に成功率が上がっています。この集計結果からも後半がオープンな展開になっていたのがわかります。

さらに詳細に調べると清水は後半の時間帯によって数値に大きな偏りがあります。境目になっているのは、左WBを高山から杉岡に交代した後半の16分。後半開始から16分までのNICEとGREATの合計が64.29%。かなり高い確率でアタッキングサードまでボールを運べています。しかし16分以降は17.86%です。

清水は村田の投入で攻撃に関しては修正を施すことができましたが、湘南の選手交代により再び抑え込まれてしまったと言えそうです。

後半の考察

清水は前半、中央に偏り過ぎた攻撃を修正するため右サイドを縦に突破できる村田を投入。サイド攻撃という選択肢が増えたことで相手の守備を横に広げ分散することができました。それにより中央のポストプレーの精度も高まりボランチの河井、竹内への落としから左右に展開。チャンスに繋げる回数を増やします。

しかし湘南は清水の修正に即座に対応。16分に高山から杉岡への交代で村田を抑え込みます。後半攻撃のキーマンだった村田を抑え込まれると清水は逆に守備力の低下を突かれて再び湘南に押し込まれました。ボランチが攻撃に絡みだしたデメリットである奪取された時に生まれるスペース。そこを埋めきれず湘南得意のショートカウンターを食らいます。

清水は監督退場の影響もあったのか、そこから立て直す出来ません。再び湘南に押し込まれます。清水は終了間際になって石毛、テセを投入し力技で殴りにいくも、そのまま試合終了でした。

コンディション的には不利な湘南でしたが、戦略とその遂行力、相手の戦術変更への対応とチームの完成度の差を清水に見せつけた形です。

清水はプランがはまれば強力な攻撃力を発揮するが、抑えられるとなかなか修正できない、右サイドの守備が弱いなど、この時点での弱味が表れてしまいました。それは集計結果からも読み取れます。

逆に考えれば、これだけチーム力で押されても何とか勝ち点1を取ることができたのは成長といえるかもしれません。課題は明白なので改善して更なるチームのレベルアップを期待したいと思います。

最後のまとめ

この記事はSPLYZA Teamを使って自分の好きな清水エスパルスの試合を楽しんでみましたというのが主題です。だからタイトルも分析ではなく考察です(感想文でも良かったのですが、それだと小学生みたいなので...)。

SPLYZA Teamを使うことでそれまでぼんやり見えていたものが数値での集計という形になりました。そこから想像が確信になったり、気づかなかったことが見えてきました。

試合を掘り下げて見る、そしてそれについて考えるという行為はとても楽しいことです。この記事を読んだ方も「この試合はこういう見方もできるんだな」とか、「この集計からは違う見方ができるのではないか」とか、何でもいいのでSPLYZA Teamを通した試合の観察から「楽しそう」を感じて頂ければ幸いです。

お礼の言葉

SPLYZA Teamに参加させてもらい、清水エスパルスの試合をこれまでとは違う方法で見つめるという最高に楽しい体験をさせてもらいました。そして最終的には今回noteに記事をまとめることもできました。

またチーム内にアップされている動画のタグ付け、コメントを読むだけでも勉強になり、新たな気付きを与えてもらいました。

test Teamの管理人であり、質問するたびに温かいお言葉をかけて頂いたfukuharaさん始め、参加者の全ての皆様に心よりお礼と感謝を申し上げます。


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