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M3 2023秋 参加報告

10/29 東京流通センターでの即売会イベント「M3 2023秋」のサークル参加報告です。


M3とは

1998年から春・秋の年2回開催されている音楽や音声ドラマなど「音系作品」オンリーの即売会です。コミケを除けば、同人音楽系列の即売会としては国内最大規模の即売会です。

「音」をテーマにしているだけあって、音楽やボイドラ、果ては電子楽器や音声ケーブルといったものまで様々なサークルが参加します。音楽もゲームやアニメ、小説劇伴といった二次創作から、vTuberやインディーズ系のオリジナル作品まで幅広く、ジャンル数だけでもかなりの数に上ります。

ボカロ系は年に何回も即売会がありますが、それ以外のジャンルでの即売会は基本的にオールジャンルが中心で、音楽目当てとなるとM3やコミケしか選択肢がないのが実情です。そのため、多くのサークルがこのイベントにかなりの力を入れて参加します。

僕は即売会での活動を始めた2017年より、年1〜2回の参加を続けています。メタルにジャンルを変えて迎えた最初の即売会がM3で、コロナ禍が始まったばかりの人が閑散とした会場で、ひっそりとv_flowerの初めてのアルバム頒布を行ったことを覚えています(ツイート参照)。

参加にあたり

実は多くのボカロPはM3と非常に相性が悪いです。一時期は「ボカロPにとってのアウェイ」と呼ばれていたほどです。

理由は色々予想されます。以前のボカロ音楽はキャラ主体のジャンルであったため、純粋に音楽目当ての即売会の来場者層とミスマッチを起こしていたのだと思います。ボカロ音楽がそれほどボカロキャラを前面に押し出さなくなった現在でも、そういった印象がボカロP・来場者の双方にある可能性は否めなせん。

今年夏の新譜である「Wish and Endings」は前作「Bouquet」と比較しても、非常にパワフルなロック・メタル作品となりました。今回は、ハードさを高めたロック・メタル音楽としての一面を打ち出すように、お品書きを作ってみました。

ジャンルをわかりやすく、また試聴の参考になるように曲の案内も目立たせています。

前作「Bouquet」は今月上旬のEach of Voice.で完売となったため、昨年このアルバムとWリリースとなった紲星あかりのポップアルバム「流星到来!」の2作品のみの頒布となりました。

当日の様子

M3は会場が流通センター敷地内の2つの建物、3つの会場に分かれて開催されます。会場の分け方には混雑状況を考慮してある程度の法則性があるようですが、開催ごとに会場はローテーションとなります。

ボカロ音楽のエリアは今回第一展示場の2階の中央部辺りとなりました。感覚的には30〜40サークルくらいでしょうか。頒布物がボカロ音楽でも、他ジャンルのエリアに配置されているサークルもあるので、総数は分かりません。

Google Earthより流通センター敷地全景。上側の建物にある第二展示場は1〜2階が会場、中央の建物の第一展示場は建物右半分が会場です。ボーマスなどでは、第一展示場の建物左半分が使用されることが多いです。

即売会は10時半開場でしたが、大体11時過ぎには完売のサークルが出始め、12時台には会場が落ち着いてきます。ボカロエリアは他に比べると人通りが少なく、ボカロ即売会とはまた異なる印象を受けます。

僕のブースですが、のんびりした時間を過ごしていました。人が立ち止まるサークルと立ち止まらないサークル、どちらかといえば僕のサークルは後者です。今回は試聴希望の方もおりませんでした。ボカロ系の即売会にはあまり行かないフォロワーさんを中心に訪ねてきてくれた印象です。ボカロ・ボイロの即売会に比べると、かなり控えめな実績で1日を終えました。

以前に比べると寂しくなったブース。こうして見てみると華がなく、人目を惹かないブースですね。

振り返りとアクション

暇を持て余していたので会場で色々考えていたのですが、M3で勝てない原因の要点をまとめてみました。

  1. 僕自身が、M3のことを多分分かっていない

  2. 他サークルがどう準備してこの日を迎えたのか、どのようにアピールしているのかを見ていない

  3. 他サークルの客層がどんなで、何を求めてブースに来ているのかを知らない

要は「努力する前に、観察不足・研究不足だろ」という話です。「M3はボカロにとってアウェイだから」という言い訳も思い付くのですが、実際にはボカロ音楽でもちゃんとM3で通用しているサークルもあります。なのでそれは本当に思考停止な言い訳に過ぎません。

ということもあり、時間を確保して特に人気サークルの多い会場に向かいました。14時頃の落ち着いた状況下でも、まだ人が並んでいるサークルの様子をいくつも見てきました。

全体的には、サークルの活動や魅力を知ってもらおうと、ぱっと見で的確に伝えることを努力しているサークルが強い印象を受けました。

もちろん、場を盛り上げるための仕掛けも色々ありました。ですが、「伝えること」を頑張っているサークルは、きっと普段のオンライン上の広報活動でも一貫した姿勢でメッセージを送り続けているのではないか、という気もします。そうした活動で認知を高めたからこそ、本番で戦えているのではないだろうか。「M3のような大規模なイベントは、本番前日までで勝負がついてしまう」というのが、イベントに人が戻ってきたこの1〜2年で僕が抱いた印象です。

分析は後日また深めていこうと思います。具体的に何をするのか、その場で浮かんだ案もありますが、まずこの半年でゆっくりと着実に形にしていきたいと思います。

次回の新作アルバムへ向けて

さて、もう一つご報告があります。今年7月に新譜をリリースして、そこから数えて今回のM3で7回目の即売会となります。前作「Bouquet」は1年半かけて完売しましたが、新譜「Wish and Endings」はM3時点で、前作の総販売部数を超しました。

一番即売会で売れていなかった数年前はで20部も売れなかったくらいなので、正直今年のこのハイペースを読めていませんでした。

前作「Bouquet」が好調だったこともあり、今回は頒布開始時に多めに部数を用意してました。それでも、9月の時点で一度増産することになりました。その増産分も、おそらく来月のボーナスで無くなってしまうだろう部数しか残っていない状態です。何度も増産をするのは手数料や作業費などで費用が嵩むため、次回で最後かなと思いながら本日増産の発注をしたところです。

こうなると早めに次回作を制作する必要があるように感じます。

「いや、今のアルバムを売り続ければいいじゃないか」という考えもありますが、実際に僕のCDを買う層の数は多分それほど多くない筈です。ニコニコの視聴層分析を見てて思うのですが、僕のリスナーさんは若年層が多いのです。

ニコニコ動画でのこの半年の視聴者層分析。10歳台後半〜30歳台前半までが半数以上を占めています。

この層は多分、一番推しの有名Pのアルバムを買ったらもう僕のアルバムを買うお金は残っっていない気がします。ボーマス等は推しのPに会いに行くイベントですし、彼ら・彼女らにはちゃんと滅多に会えない憧れのPに会って作品を手に取ってもらいたいのが本音です。なので彼ら・彼女らに向けては、即売会会場でもサブスク配信を案内することが多くなっています。

そう考えると、継続して購入して聴きたいと思ってくれる方の購買行動に合わせて次作を提供していくアプローチもありなのかもしれません。

M3は僕の中では、昔も今も未来でもきっと一番頭を悩ませるイベントであり続けると思います。ままならない相手だからこそ、これからもたくさん悩んでいこうと思います。

今後の即売会参加予定

  • 2023/11/19 THE VOC@LOID M@STER 53(ボーマス) 東京・大田区産業プラザPiO

  • 2024/1/21 (募集開始前)THE VOC@LOID M@STER 54(ボーマス) - 会場未確定

  • 2023/3/3 (申込中)VOCALOID STREET 08 - 名古屋国際会議場

  • 2023/5/3 声音の宴 3次会 - 大田区産業プラザPiO

アルバムの紹介

最新アルバム「Wish and Endings」の紹介動画とサブスク配信先一覧です。

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