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サブスク配信代行業者を乗り換えを検討している話

VOCALOID曲を制作して発表している、「みるくかふぇ」といいます。

ボカロオリジナルアルバムをApple MusicやSpotifyなどの配信サービスから配信していますが、現在利用している配信代行業者が毎年の更新手数料のかかるタイプの業者のため、更新手数料が不要なタイプの業者への乗り換えを検討しています。


現状と要件

現在の業者での支出負担

現在利用している配信代行業者の年間登録料及び更新料は、1タイトルあたり次の料金です。

  • シングル(1曲のみ): 1,551/年(税込)

  • アルバム(2曲以上): 5,225/年(税込)

現在、2曲以上のタイトルを10作品配信しているため、年間5万円以上の支出が発生しています。

現在配信中のタイトル

古くからサブスク配信を行っていますが、始めた当初の登録は2作品だったので支出の負担はあまりありませんでした。また当時は配信代行業者の選択肢が少なかったこともあります。ここ2〜3年はEPサイズのタイトルを頻発してリリースしていたため、現状で支出に売り上げが追いつかない状態になりました。

同人活動者がなぜサブスク配信をしているの?

そもそも同人ミュージシャンである僕がサブスク配信をしていた目的なのですが、下記の理由からでした。

  • 同人即売会に来れない方へ、PCやスマホで聴ける手段を提供をする

  • 学生など自由にできるお金が少ない方への訴求

前者の対象は主に地方在住者、及び海外在住者です。Twitterのフォロワーさんを見るとボカロリスナーでも地方の方もかなり多く、僕が即売会で回る東京・名古屋・京都ではカバーできないエリアがたくさんありました。また以前からSound CloudでのアナライズやBand Campでの売上などで、海外リスナーの割合が目に見える程度には大きいことを把握していました。

後者の学生ですが、せっかく即売会に参加したのですから、まずは有名なボカロPやお目当てのボカロPの作品を買いたいですよね。大学生はともかく中高生は交通費を払った上で、CDなら1〜2枚買うのがやっとだと思います。僕の作品が気になったものの、優先度的に僕のアルバムに手を出す余裕がない例が結構あったのが配信をするきっかけにもなっています(親が配信サービスの家族プランに入っていることも多いでしょうし)。

アルバムを買えない人に、配信URLとQRコードを印刷した名刺を渡しています。配信業者を変更したら、URLもQRコードも書き換える必要があるのですが💧

配信代行業者の選定条件

僕の場合は、最優先の活動がアルバム制作です。アルバム作品を広く聴いてもらえる展開作りが必須です。趣味の同人は赤字がほぼ前提とは言え、極端に支出入の偏りがあると継続的な活動が困難になります。即売会やサブスクの収入及び手持ちのお金から工面できる予算額と、支出額をできる限り近づける必要があります。

そこで半年ほど前から、更新手数料が不要なサービスを探していました。探すに当たっては、いくつか条件を決めました。

  1. 更新手数料が不要(必須)

  2. 現在の配信代行業者に近いレベルの配信先を確保していること(優先度高)。特にTikTok及び中国国内への配信が可能であること

  3. 配信先のまとめページがあること(優先度高)

  4. 配信先にハイレゾ対応サービスが含まれていること(優先度低)

1の更新手数料は乗り換えのそもそもの目的です。

2の配信先は、リスナーの不便を強いないためです。今まで聴いていた曲が突然聴けなくなったら困りますよね。現在はサブスク配信の再生の半数弱が中国国内、またTikTokで3桁レベルのショート動画への採用実績(採用動画の累計再生数は現在65万回程度)があるため、配信先からは外せませんでした。

3はとても便利なものです。Twitterで案内する際に、まとめページのURLを貼り付ければ、色々なサービスの利用者に一括して配信タイトルの案内ができます。

現在の業者のまとめページの例。ここから各配信サービスのタイトルのページに移動できる。

4のハイレゾ対応は、まああればいいかなというところです。実際にBOOTHやBandcampでダウンロードでハイレゾファイルを販売しているので。ただ、今後はストリーミングでもハイレゾ対応が一般的になってくるので対応しているに越したことはないと考えました。

乗り換えにあたっての懸念点とアクションプラン

最終候補の業者と条件への適合度

いくつかの配信代行業者のサイトを見つつ、不明点をサポートに問い合わせするなどして業者の方はほぼ絞り切れました。気になる価格は以下の通りでした。

僕のタイトルはEPサイズ(2曲以上5曲以下)が6点、フルアルバムが4点あります。最終候補の業者の登録料は、EPで2,980円、フルアルバムで4,600円(どちらも還元率80%)の設定でした。これであれば、既存タイトルは最初の登録料として合計37,000円弱の支払いだけで、あとは今後新規にリリースするタイトルの登録料だけとなります。

条件については1〜4を十分に満たしていました。2の配信先は現在の業者の全てではないですが8割以上は含まれており、また中国国内及びTikTokも配信先として含まれていました。

懸念点を問い合わせてみた

異なる配信代行業者からリリース依頼をされた時に配信サービス側では次のようなことが起こるのではという懸念がありました。

  • 異なるアーティストまたはタイトルとして登録される可能性

  • その場合、元の配信代行業者からリリースされていた方のタイトルが消える。

  • 消えた場合、リスナーがスマホの音楽アプリやプレイリストに登録していた楽曲が消える

  • リスナーは新しい配信代行業者の方のタイトルをスマホに再度登録する必要がある

割と大きな問題です。この点について配信代行業者のサポートに質問を投げてみました。配信代行業者を乗り換える人は多いらしいのですが、配信代行業者側でその影響について登録ユーザーにヒアリングはしていないようです。

回答としていただいたのは、聞き齧り程度の話らしいのですが「サービスによっては同じ名前のアーティスト及びタイトルであれば同じものとして扱う所もある(これはサービス次第)」とのことでした。ただし、「各配信サービスが保証しているものではないので、原則的に別物として配信されると考えておいた方がいい」とのこと。

もし別のアーティストとして扱われた場合の対応を聞いたところ、レーベル側(この場合はみるくかふぇ自身)から配信代行業者に修正依頼をかけて、配信代行業者から配信サービスの方に紐付けの修正を依頼する対応を行うのが一般的だという回答でした。

依頼の際は配信サービス上の「2つのアーティストURLのどちらを正とするか」を連絡する形になるようです。タイトルが前と同じURLで扱えるかどうかについては言及がなかったので、その辺は状況やサービスによって可不可が別れそうです。

このようなリスクが懸念されるため、「乗り換えの際には慎重」にということなのだと思います。

アクションプラン

取り急ぎ僕の方では、1年かけて順々に新しい配信代行業者にタイトルを移行していくことにしました。直近の更新は3月にあるので、まずはそこからスタートになります。その際は前述のリスクを避けられない可能性があるため、次のことを確実に実施しようと思います。

  • 新しい配信代行業者でのタイトル登録の際は、アーティスト名、作品名、曲名、レーベル名を以前と同じ名前(半角全角や大文字小文字の区別も間違えないように)で行う。以前の配信業者で曲ごとに発行されたISRC番号も同じものを入力する(アルバムのJANコードを持っている人はそちらも登録した方が良さそう)

  • 新しい業者での配信が始まる際には、Twitterやnoteで告知と登録が消えた場合の案内ツイートを行う

  • noteのアルバム紹介記事や動画サイトの配信案内URLを書き換える

ISRCコードは録音成果物に対する国際的な識別番号。新しい配信業者側でも同じ番号を登録することで、配信サービス側で同じ楽曲と認識されることを期待しています。

以上、配信代行業者の乗り換えの検討に関するお話でした。

後日談です。

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