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調香師が感じる素朴な疑問〜実は高度な疑問

嗅覚研究者ではないのでくわしいメカニズムはわかりませんが、ヒトにある嗅覚受容体が嗅神経細胞に発現します。
嗅神経細胞は一千万個あります。それぞれひとつに、ひとつの嗅覚受容体が発現します。
ヒトが持つ嗅覚受容体は約350種類以上(文献により396種類)です。
一千万個の嗅神経細胞に各嗅覚受容体が発現します。

ここで疑問ですが、
においを嗅いでいて、今までわかりにくかったにおいが、あるとき急にはっきりとわかるようになるメカニズムについて。

ある特定のにおい成分を嗅いでいると嗅神経細胞に発現する嗅覚受容体が選択的に発現しやすくなるのでは?と思っています。

つまり、意図的にできるだけ多くのにおい成分を嗅ぐトレーニングをすると、そのにおい成分に関連する嗅覚受容体が嗅神経細胞に発現しやすくなる、又は刺激されて発現するのではないかと嗅覚研究者ではないですが、調香師として経験から思うのです。

どの嗅覚受容体と、どのにおい成分が関連しているのかわかっているものがあります。そのわかっているものに対して、意図的に特定の嗅覚受容体を発現させるために、関連するにおい成分を嗅ぐことで、嗅覚受容体の発現をコントロールできるのでは?

経験上、ある特定のにおい成分を集中的に嗅いでいると、そのにおい成分に対してにおいを感じる感度が高くなります。少しでもそのにおい成分があるとその成分にフォーカスできるのです。無意識でも「あ、あのにおい成分がある」とわかるのです。

たくさんの話し声の中から、ひとりの話し声を特定して聴くことができるのと似ています。

ひょっとすると、脳で聞き分けているのかもしれません。
同様に、においも脳で選択的に嗅ぎ分けるのかもしれません。

また気になる現象として、「嫌いなものを食べるとすぐわかる現象」(勝手にネーミング)。
セロリが嫌いな人は、セロリのにおいが料理からするとあっという間に気がついて食べません。
気にしていると感じやすい、フォーカスしやすいのはなぜ?

この仮説が正しいかもしれない事になれば、次のことが必要になるのかと思います。

嫌いなにおいを避けるのは、においを感じることに対してよくないのではないか。
つまり、いいにおいばかり嗅いでいるとそのにおいだけ感じるようになっていってしまうのでは?
そうすると、たくさんのにおいを感じることができなくなってくるのでは?
イヤなにおい、嫌いなにおいも、嗅覚感度を高めるためには必要なのでは?

個人的には、イヤなにおい、嫌いなにおいは感覚的には避けたいと思うのですが、生きる上では必要なのではないかと思っています。
とくにクサいと感じるにおいはできるだけ避けたいですが、嗅ぐ事も必要なのではないかと思っています。

嗅覚って不思議です。

嗅覚研究者ではないのでそのメカニズムについて勉強不足ですが、経験上感じることは、嗅覚研究者とタッグを組むとおもしろそうです。
というより、疑問をぶつけたいですね。そして教えていただきたいです。

そんな疑問に思うことがたくさんあるのでした。

そして・・・
ネットで調べる限り、嗅細胞・嗅覚神経細胞・嗅神経細胞・・・いろんな呼び方があり同じものなのかわかりにくい状況でした。それぞれ研究している機関が使っていますが統一されていないのでしょうかね・・・。それとも意味が違うのでしょうかね?
勉強不足ですいません。

研究者からすると、邪道と思われるかもしれませんが、高度な嗅覚の研究成果をできるだけ一般化してわかりやすくシェアしたいと思っています。

#エッセイ #コラム #研究  #嗅覚 #調香師 #不思議  

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