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香害の加害者は、なぜ加害者になるのか?

香害。
香りの製品が増えれば増えるほど、増加する事が簡単に予想される害。
そもそも、香害とは何なのか?
ネットで話題になっているのは「香水・フレグランス」の香りの強さ。
もうひとつは、最近増加している「衣料用柔軟剤の香り」の使いすぎによる強い香りの拡散性。
昔で言えば、香水。今はフレグランス。ここでは統一してフレグランスと呼びます。
フレグランスの香りについては昔から言われていることでした。とくに香りの強いフレグランスを使う女性を指して言われていました。
柔軟剤の香りは、ここ10年くらいでニュースに取り上げられるようになりました。

まずはじめに、柔軟剤の香りのメカニズムについて少し書きたいと思います。
柔軟剤の香りには、最新技術が使われています。香りのマイクロカプセル化による香りの持続性を引き出す技術です。
柔軟剤の香りは、過酷な条件に耐えなければいけないため様々な工夫がされています。
その過酷な条件と様々工夫とは、こんな感じです。
過酷な条件として、香り成分の苦手な水の中に入れられること。洗濯するときに水や温水に衣類と一緒に入れて使用されます。そして、最近では乾燥機にかけられても耐えなければいけない、温度の問題。香り成分は高い温度が苦手です。温度が高くなると香りは揮発してなくなってしまいます。外に洗濯物を干したとしても日光によって洗濯物の温度が上がります。さらに洗濯物が乾いたときの乾燥も苦手です。
この3つの過酷な条件に耐えるためにマイクロカプセル化という技術を使っています。
マイクロカプセル化技術については、特許出願数をひもとけば理解できます。香料のマイクロカプセル化についてたくさんの特許が出願されています。特許性のある特殊な技術です。
マイクロカプセル化をすることにより、水に溶けることなく、温度にも耐えることができるのです。衣類を軽く手で触ると香りが広がるのは、マイクロカプセルが壊れるからで、カプセルが壊れると香り成分が空気にそのときはじめてふれるためです。
簡単に言うと、カプセル自体に封じ込める香りと、封じ込めていない香りのダブル効果で香りは創られています。
洗濯物の洗いあがりのときは、封じ込めていない香り成分が香り、服を着ているときに香るのは、封じ込めていない香りプラス、カプセルが壊れたときに香りが出て香るという仕組み。
必然的に香りが強くなる仕組みで創られているのです。さらに広告宣伝で、香りを香らせて自分をいい香りに包みましょうというCMも「香りは強い方がいい」ということに影響しているように思います。
 
さて、香りの仕組みを簡単に説明しました。次に、香害について新しい視点で考察してみたいと思います。
香害で問題になるのはひと言で言うと「香りが強くて不快だ!」ということではないでしょうか。
香害には、香りを拡散させる人(加害者)がいます。そして、香りの問題について、人は言い出しにくいという問題があります。
「クサい」という言葉は、人に対して言いにくいのです。
しかし、自分に害があるので何とかしたいですよね。
クサいと言えない、クサいとどう伝えれば・・・・・・。
そう考えがちですが、私は別の問題が主な原因ではないかと考えています。

その主な原因とは・・・・・・。

香りを発散させている人の嗅覚、つまり、私がよく使う言葉、「嗅ぐ力」が弱くなっているのが原因ではないかと言うことです。

なぜこう考えるようになったのか、私の経験をご紹介します。
ある人がいい香りを付けていました。どんなフレグランスを使っているのか聞こうとしたところ、別の香りもすることに気がつきました。どうやら知っている柔軟剤の香りです。 
フレグランスはいい香りでいいなと思うのですが、明らかに柔軟剤の香りが強く邪魔をしています。
思わず、「香りのいいフレグランスを使っていますね」というのと一緒に、「柔軟剤の香りが強いですね」思わず言ってしまいました。
「せっかくいい香りのフレグランスを使っているのに、柔軟剤の香りが強すぎてもったいないです」そう続けました。
そしてその人は、「私、鼻が悪いんです」そう言うのです。
そのときはじめて気がついたこと。
意図的に香りが強いんじゃない、香りがわからないから強くしてしまうんだ!
そう思ったのです。
そのときは、柔軟剤の香りが強いから洗濯するとき少なめに使ってください。せっかくの香りがもったいないです。柔軟剤の量少なくても十分香りますから、とアドバイスしました。
そうです。強い香りを拡散している人は、責める相手ではないのです。助けるべき相手かもしれないのです。

嗅ぐ力が弱いから、柔軟剤の香りも自分ではよくわからない。自分で香りがわかるまで柔軟剤を使ってしまう。
フレグランスの場合、体に吹き付けるので量的にも目分量があると思います。柔軟剤はというと、洗剤を思い出してください。しっかり適量を守って投入していますか?目分量で投入していませんか?柔軟剤も洗い上がりの香りを基準にすると多めになる可能性があります。とくに嗅ぐ力が弱くなっている人にとっては、洗い上がりの香りが弱いと感じると、洗濯のときの投入量が増えてもおかしくありません。
そんな、ごく当たり前のサイクルで柔軟剤の香りを使っている人がいるのです。しかも、その人自体、嗅ぐ力が弱くなっていることに気がついていない。
気がついていないのに、急に「クサい」と言われると、どうなるでしょう。

ここで提案です。
香りが強い、この人は使いすぎと感じる人がいた場合、こう指摘してあげてください。

「ひょっとして、におい感じにくくないですか?鼻、大丈夫ですか?」

そう聞かれるとたぶん、何となく気がついている人なら、「そうなんです」という答えや、「どうしてわかるんですか?」という答えが返ってくると思います。
気がついていない人でも、「なんでそんなこと聞くんですか?」って返ってくると思います。
ここでのポイントは、あくまで「クサい」から指摘するのではなく、相手の嗅ぐ力を気遣って聞いてみた、という点。
そして、
「柔軟剤使う量多いみたいですよ。香り強めに出ているみたいです。においが感じにくいから強さがわからないのではないですか?」場合によっては、「今の量の半分以下で十分だと思いますよ」
これは、アドバイスになります。文句や批判と違いアドバイスは、その人に寄り添います。
ぜひ、試してみてください。

今回、noteをはじめてみて、気がついたことがあります。ネット上でハッシュタグとして、「香害」というワードがあったのです。別の記事の中で、汚部屋の話に触れましたが、「においがわからないから香害を引き起こす」ということは、フォーカスすべき内容ではないかと思い独立したトピックにしてみました。

嗅ぐ力の重要性。嗅ぐ力が弱くなると、急に食事もおいしくなくなったりするようです。
嗅ぐ力、実は大事。その嗅ぐ力にフォーカスした内容を少しずつあげていこうと思います。少しでも内容が役に立てば幸いです。
意外とフォーカスして取り上げる人もいないんですよね。嗅覚は沈黙の感覚といわれることもありますし。あまり気にされない。アリストテレスもフロイトも嗅覚を重要と考えていませんでした。 

海外でもこんなニュースがありました。2007年3月29日のAFP配信の記事です。
「バス運転手に乗車拒否された女性、理由は『香水』」 *1
記事の中の女性は2度目の乗車拒否をされたそうです。
日本でもこんな記事がありました。「お隣さんの柔軟剤のニオイが辛い」 *2
キーワードで「柔軟剤の香り ニュース」と検索するとたくさんの記事が出てきます。ある意味社会問題なっています。
しかし、クサい、においが強いことを責めるだけで、本人の嗅ぐ力を気にしてあげる切り口はありません。
香害の被害者として困っている人がいたら、ぜひこのトピックを紹介してあげてくださいね。少し役に立つ視点だと思います。

まだ、noteはじめたばかりで内容が少ないですが、これから少しずつ解決策や新しい視点をご紹介していきたいと思います。

*1 http://www.afpbb.com/articles/-/2203342 
*2  http://www.sankei.com/west/news/170824/wst1708240010-n1.html

#コラム


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