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勉強に100点はいらない

「先生の言うことをよく聞いて」
「宿題はきちんと出さないとだめだよ」
「テストでは100点目指すんだよ」

テストではできたことよりも、できなかったことにフォーカスされる。学力は偏差値という物差しで量られる。

我々が日本の学校で受けてきた一般的な教育の風景です。いわゆるスタンダードな日本の義務教育を受けてきた私たちの多くは、こうしてとにかく「間違えてはいけない!」がこびりついています。言われたことを責任感持ってきっちりやる人間の出来上がり。管理する側からすると都合がいいわけです。

こうして、私たちの多くは学校で「完璧主義」というマインドが強化されてきました。国民性もあるんだと思います。学生時代イタリアでバックパックしていたころ出会った人たちからは、完璧主義のかけらも感じませんでしたから笑

この完璧主義というマインドはすべてが悪いわけじゃないんですが、なかなか厄介なマインドです。特に今のように、忙しく、変化の速度が増している時代には。社会人には学生の頃のような時間はありません。殊に資格勉強や語学学習においては、完璧主義でいると厳しくなるので、「自分はわりと完璧主義かなー」という人には、完璧主義からの脱却を意識することをおすすめします。

完璧主義自体が悪いわけじゃないが、失う代償が大きい

完璧主義自体が悪いわけではないです。完璧な成果を出すことにコミットすることが良いことにつながる局面もあるでしょう。

しかし、社会人が勉強するシチュエーションにおいて、完璧主義のままでいるとその代償として失うものが大きいように感じます。どんな代償があるかを下に挙げます。

1.理想が高すぎて挫折しやすい

完璧主義の人は、自分ができるからなのですが自分に対しての理想も高く、その分目標を高く設定しがちです。目標を高く持つことは悪いことではないのですが、それだけだと、到達できないと感じた時に勉強を止めてしまったり、逆にいつまでも止められず固執し続けたりといったことになりがちです。目標設定の際は、段階的な小さな目標を併せて持つことが大事です(ベイビーステップといいます。)

2.自己評価と、周囲からの評価が結びつかない

完璧主義の人からよく聞く「私、完璧主義なので」という言葉。(私はそういう性格なので気にしないで)ということだったりするのだと思いますが、その完璧主義はあくまで主観。自分が自分のことを完璧主義者だと認識するのは自由ですが、客観的に捉えてみるとどうでしょうか。

その完璧を求めているのはあなただけでは?
周りの人もあなたにその完璧を求めているでしょうか?

例えばスポーツ選手やアーティスト、高度技術者といった人たちは、一点集中して究極を目指し続ける職業だと思いますが、あなたの仕事がそれらでなければ、今の世の中で100点満点を常に求められる機会はあまり多くありません。インフラや医療などは常に安全が求められる職種だと思いますが、それであっても、難しい仕事の一部を現代では機械が補っているわけなので、常に気を張り続けなければならないかというとそうではないでしょう。

多くの人が従事している仕事では、100点満点を求められる機会はあまりないはずです。それよりもスピードの方が重要です。経営をしていると、完璧を求めて着手が遅れるよりも、他社よりもいち早く着手してすばやくPDCAを回すことの方がはるかに大事です。完璧主義の人がメンバーにいると進む仕事も進まなくなってしまいます。

3.行動に移せない

そしてこれが一番大きな代償だと思うのですが、完璧主義では、自然と失敗を恐れるようになってしまいます。そして、とるべき行動をとれなくなってしまいます。自分の中で納得できない限りは、一歩を踏み出すことができないからです。

たとえば、僕は勉強カフェという大人のための勉強場所を展開しているのですが、メンバーになると、インプットに加えて、アウトプットもできる仕組みになっています。例えば自分が学んでいる勉強を「勉強会」という形式で、同じ勉強をしている人を募り、教え合ったり、一緒に勉強したりできます。その立ち上げをコミュニティマネジャーがお手伝いしています。

・・とまぁそんなことをやっているのですが、日本人は謙虚な国民性というのもあり、皆さんいいものを持っているのに、

「いや、自分はプロじゃないので・・」
「自分よりできるひとがいるので・・」

という感じになることがよくあって、すごく勿体無いなと思うんですよね。

繰り返しますが、メンバーの皆さんから話を聞くと、皆さんそれぞれアウトプット材料を持っているんですよ。勉強に関することじゃなくても、趣味でもスポーツでもなんでもいいのですが、アウトプットを意識することは重要です。騙されたと思ってやってみると、世界が広がります。

実際主催してみたらグダグダで、厳しいフィードバックが返ってくるかもしれません。でもそれも含めて学びですよね。会社で自分の役目の仕事だけしていたら遭遇することのない経験です。アウトプットは非常に大きな学びになります。ぜひ勇気を持ってやってみてください。


脱・完璧主義を意識しよう

完璧主義のデメリットがわかったところで、フォーカスするところを変えてみましょう。

1.目的にフォーカスする
完璧に一言一句覚えようとする。一冊の参考書を最後まで終えるまで過去問は解かない。読書は最初から最後まで順番に全部読まないと気がすまない。今その勉強をしているのは本来何のためだったっけ?と考えることで目的を再確認するのがおすすめです。

2.合格点にフォーカスする
試験の合格を目指して勉強している場合は、たいてい合格点が設定されているはずです。その場合100点を目指す必要性は元々ありません。社会人は特に限られた時間内で勉強する必要があるので、今している勉強がニッチな深みに嵌っていないか確認するといいですね。

3.力の入れどころを変えよう
完璧じゃなくてもだいたいのことは大丈夫です。死ななきゃOK。今は完璧を目指しているうちに周囲の状況のほうが変わってしまうような世の中です。完璧を目指すよりも、先に進めていくことのほうに優先順位をおいてみましょう。


完璧主義の傾向が強いひとは、頑張ること自体が喜びになりがちです。細かいことまで頑張ることが報酬になっている状態です。それに対して、力の抜きどころを知っているひとは、頑張らないで結果が出ることに喜びを感じます。脱完璧主義は、生産性を上げることにも繋がりますね。