なっちゃんと過ごしたあの夏の暑い日々

    高校生や大学生の頃、社会人になってからも、たくさんの小説を書いてきた。素人の自己満足の物だから質のよいものではない。  大人になって大半を処分した。キラキラの明るい未来しかない主人公が直視できなかったから。けれど、一つだけ手元に残した。『なっちゃんとすごしたあの暑い日々』という大人しくて、気が弱くて、消極的な男の子が主人公の話し。好きな人ができた、彼女に告白して一緒に暮らすようになった、彼女が突然出ていった、彼女を追いかけるかどうかをコインに委ねる。なんていう話し。

    彼と彼女は私によく似ている。私がモデルになっているから当然だけど。

  何とかして世に出せないものか。彼の存在を闇に放り込みたくない。何とかして彼に光を当ててあげたい。