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ペルソナを剥がす


ひとりの主婦(母)になって。

子どもを産んでからというもの、自分の名前でなく○○君のママと呼ばれるようになった。公園に遊びに行って紹介するのも子ども同士の名前のみがほとんど。

そんな風に「母」になれた事は一方では奇跡であり、また一方では寂しいものに思えたりもする。学生時代はもちろん、社会に出て会社や取引先から自分の名前で呼ばれ、覚えてもらえる事はどこか自分の努力が報われたり、信頼の結晶のようにも思えて、嬉しかったし、頑張ろうと思えた。

主婦とは、母とは、光と陰がある。崇高で我慢強く、節制して子や夫を支える。多くの主婦はわかりやすい形での評価はされない。会社に勤めていれば、給料日や就業時間といった区切りがあるが、主婦にはない。単純に子どもの目覚めから就寝までではなく、その前後にも片付けないといけない事が多くある。

そうすると毎日だらだらと時間、というか時刻が意味を成さなくなり、子どものグズグズに付き合っていたら2時間経っていた、、、なんて事がザラにある。

虚しかった。どんなに頑張っても終わりはないし、赤ちゃんからは当然お礼なんかない。夫婦の年齢にもよるが、子どもが生まれる時の多くは、夫が出世時期や働き盛りの時期に重なる。圧倒的な孤独。


自分にペルソナを。

毎日子育てをしていて、○○君のママをしていて、自分の「顔なし」のような感覚になっていた。

もちろん以前働いていた職場には復帰するために、籍は残しておいたけれど、保育園はダメだった。自宅で働こうと思って翻訳の仕事をしたが、産後のボーッとした頭で翻訳という仕事が捗るほどの英語力もなかった。単身で海外にも行ったことがあったが、ロジカルな翻訳とはまた言語処理の過程が少し違った。

仕事の事を考えながらも、子どもが寝た後に、ある時ふっと透明なスマホケースに装飾をしたら、なんとも言えない気持ちになった。既製品ほどの耐久性は無いのは承知でも、なんとも愛おしいなと。

その時に、ものづくりってすごく素敵なんだなと思って、色々調べたらタイミングよくCreemaというECサイトを見つけた。

自分に「お母さん」以外のペルソナがあったら、子育て以外の事を考えられたら、毎日が少し変わるんじゃないかと思った。

少し後にminneというサイトも知って、まずはminneで簡単なアクセサリーを販売、むずがゆいけれど「昼寝猫」と名乗ることとなった。

本格的には2016年から始動。

最初の2年は子どもが寝てから毎日製作した。365日中、風邪で寝込んだりした数日をのぞいて355日は製作していたと思う。家族が寝た0時から朝の5時まで。起床は8時頃。

その甲斐あってか、色々な場所に出展したり、一回だけだけど雑誌に掲載されたり、数年前には考えられないほどの経験を与えてもらった。

でも、相変わらず深夜にしか自由な時間がないので焦ったり、なかなか思うようには成長できていない。今度はその事が足かせになって悩んだりもする。


#私の仕事

結局、きっと私の仕事は「母」なのだ。まずはそれを第一にこなす。それを奇跡とするか呪いとするかは自分次第だが、数年アクセサリー製作をしてみて、フリーランスの厳しさや色々な世界を見る事が出来たのは、とんでもなく幸せな事なんだなと思える。

やってみなかったらわからなかった事だし、後悔だってたくさんあった。

自分のキャパシティの問題から、今は「昼寝猫」である事の転換期だなと思っている。ただ作ればいいわけじゃないし、儲かればいいわけでもない。

この数年間で私が疎かにしてしまった事は、昼寝猫の作品やペルソナばかりを前面に押し出して、言葉として「物語」を伝える事が少なかったなという事だ。

だから、これから必要な #私の仕事  は、私自身の言葉を発信して、私と昼寝猫をすり合わせていく事だと思った。ペルソナを剥がす作業をしていこうと思う。

時間はかかるけど、地道にやっていきたい。



#私の仕事


アクセサリー 製作や諸々のクリエイター活動に還元させて頂きます。応援よろしくお願い致します。新しいこと。新しいもの、勉強していきます。