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「ゲゲゲの女房」はプロジェクトXか?

BS12 で再放送中の「ゲゲゲの女房」を観ています。
本放送の時は見逃してしまっていて、映画「ゲゲゲの謎」の公開に併せたかのような(なのか?)再放送決定が嬉しい。

BS12って「え、これやるの1?」と思うようなレアな番組を放送してくれるんですが、いったいどういう放送局なのか……。

ところで NHKで「プロジェクトX」の新シリーズが始まったそうですね。見てないけど。
元祖「プロジェクトX~挑戦者たち~」は2000年~2004年にNHKで放送されたドキュメンタリー仕立ての番組で、とくに人気だったのは商品開発系。
高度成長期の日本、メーカ一勤務の名もなき市井の技術者が努力のすえ素晴らしい製品の開発に成功し、世界にその名を知らしめる、みたいな展開のやつ。
マツダのロータリーエンジン、ソニーのトランジスタラジオ、シャープの液晶ディスプレイ…

私もよく見てました。好きだった。
わかりやすい起承転結、最後は必ず成功する大団円、裏切られることのない安心感。
ワクワクして観てました、当時は。


しかしあれを今観たら、画面に向かって突っ込みまくると思います。

「挑戦者」はほぼ男性ばかり。
みなさん専業主婦の妻がいて、家庭のことや子どものことはすべて妻に丸投げ。
家事も育児もなにもやらず、なんなら会社に泊まり込んでたまに家に帰れば美味しいご飯と洗濯した衣類があるんでしょ?
仕事や研究だけに没頭できるんだからいいよなあ。
女だってその仕事をやりたかった人もいるのに。

放送当時も「なぜ女性を取り上げないのか」という批判があって、女性回もあったんですが明らかに盛り上がりに欠けたし「やっばり「挑戦者』は男じやなきゃ」みたいな要求がありました。
当然私の中にもあった。
私も若かったしね。

それが20年経過した今では、この番組を見て
「なぜこの世界は男が有利なように構成されているのか?」
「男の、男による、男のための政治を打破するためにはクォーター制を導入するしかないのでは?」
という感想になるんだから、歳をとらないと見えないものってあるんです。
当時の自分に「もっと広い視野を持てよ。俯瞰しろ」と言いたいけど、言われてもわからなかっただろうなあ。


さて、「ゲゲゲの女房」を見て「ゲゲさん、いいよなあ。専業主婦の奥さんが家事も育児も金策もべタ塗りもやってくれて、貧乏にも文旬言わず支えてくれて、真夜中に夜食作ってくれてさあ……」と思っています。
これはもはやプロジェクトXなのでは。

とくに男性漫画家にはこういうエピソードが多いですね。
奥さんが全て支えてくれるやつ。
でも漫画家って男性だけじゃない。
当然女性だっているわけで。

彼女たちは漫画のほかに家事やって、なんなら出産育児やりながら連載やってたりするわけで凄すぎない?
昔は少女漫画雑誌だって週刊誌が何誌もあったけど、ただでさえ過酷な週刊連載を家事育児と並行してやるなんて…ありえねえ〜昭和の女性漫画家、凄すぎる〜

駆け出し漫画家だったころは夫が協力して励ましてくれたけど、ヒット作出したらヒモになって浮気した、なんてあるあるだしな。
なぜ女だけが「仕事」が「家庭」かを選ばなきゃならないのか。


ああ、でも水木先生が天性の漫画家だということはよっくわかってます。
あの方は、支えてくれる妻がいなくても、たとえ誰の助けがなくても、なんなら読んでくれる人が一人もいなくても、ひたすらに黙々と漫画を描き続けて、夥しい数の作品を残したことでしょう。
私は水木作品は戦記物しか読んでいないのですが、描かずにはいられない、今これを描かなくては死んでしまうのだ、とでもいうような凄まじい熱を感じる。

「ゲゲゲの謎」のヒットで、若いお嬢さん方が「総員玉砕せよ!」を読んでいるとか、実に喜ばしい。

ドラマ「ゲゲゲの女房」も折り返し。
後半楽しみにしてます。
「ゲゲゲの謎」の配信も始まるよ!




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