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藤井風『満ちてゆく』ボーカルレビュー

藤井風の新曲『満ちてゆく』のMVを拝見しました。

この曲は、3月22日に公開の映画「四月になれば彼女は」の主題歌で、彼が書き下ろしたものですね。
原作は、川村元気の小説「四月になれば彼女は」です。
このタイトルの意味は、小説の中に隠されていますが、ネタバレになるので、書かないでおきます。
そんなロマンティックなタイトルの物語に彼が作った楽曲は、『満ちてゆく』でした。
簡単に第一印象としてのレビューを書かせて頂きました。
簡単なレビューですので、どなたでも読めるように無料で公開します。
もし、記事の内容に共感頂けましたら、記事の拡散や好きマークで応援して頂けると、筆者は非常に喜びます 笑
よろしくお願い致します。




初見の印象

初見の印象としては、相変わらずのスケールの大きさでした。
藤井風というアーティストの印象を語るとき、このスケール感というものを外しては語れない部分があります。
このスケール感は、彼独特のものであり、仕事柄、多くのアーティストを拝見しますが、”圧倒的”、”別格” という印象が否めません。

今回の楽曲もそうですが、楽曲全体のスケールの大きさが、彼の音楽の特徴とも言えます。
独特のグルーヴが音楽全体の揺れを感じさせ、その揺れを強調するのが、彼の歌声、ということになります。
バリトンの歌声は、ハイトーンボイス全盛の現代のJ-POP界に於いて、それだけで特別な存在であり、歌手藤井風の強烈な武器の1つと言えるでしょう。
今回の楽曲全体を覆う気怠さの大きな要因に彼の歌声があることは確かなことだと思います。
これが、別の歌手の歌声だったら、これほどの気怠さもスケールも感じさせないと予想できるからです。

今回のMVは、いつもにも増して、ストーリー仕立てになっています。
映像で見せるだけの一切の説明もセリフもないものですが、それだけに流れてくる彼の歌声とことばが、各シーン、各シーンで視聴者の想像を掻き立て、各々が勝手に脳裏にストーリーを組み立てていきます。
ゆったりとした音楽とことばの流れは、視聴者に想像させるだけの時間と余裕を十分に与えるのです。

この開放感と自由さ。
観客の手に委ねる奔放さ。
これが、藤井風の楽曲のスケールの大きさに繋がっていると感じます。
視聴者が想像する隙間を与える。
ストーリーの最後の決定権を視聴者に委ねる。
決して、イメージを固定化しない、押しつけない。
この手法は、藤井風の他のMVにも共通する特徴とも言えます。

ゆったりとした音楽の流れ。
それは、そのままゆったりとした人生の時の流れを想像させ、リスナーを空想の世界へと導いていくのです。

現代のJ-POPの特徴的とも言える、ハイスピード感やことばの羅列にも似た言葉数の多さとは、全く真逆の音楽の作り。
これが、藤井風の音楽の特徴の1つであり、その独特のスピード感によって、自身の音楽の世界を確立していること。
これが、藤井風の魅力であり、強みだと感じます。

映画「四月になれば彼女は」は、過去の恋愛の感情のもつれを回顧する物語とも言えますが、過去を回顧する時間の流れが、記憶の中でゆったりとしていること。
思い出は、ゆったりと感情の中を流れていくこと。
それがそのまま音楽に反映されているような楽曲だと感じました。


兼ねてより、藤井さんに関しては、歌声が彼の音楽の大きな魅力の要因の1つと考えています。
彼の歌声に関しての深掘り記事を後日、配信する予定ですので、そちらも配信されましたら、興味を持って頂けると嬉しく思います。

※藤井風に関しては、下記の記事を公開しています。
興味のある方は、下記から。(有料と無料があります)


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