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billboard classics 玉置浩二 LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2024 "Pastorale"ライブレビュー

昨夜、大阪フェスティバルホールで行われた「billboard classics 玉置浩二 LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2024 "Pastorale"」を拝見しました。

この企画は、今年10年目とのこと。私が初めて拝見したのは、2019年6月でした。それから5年。コロナ禍を除いて、毎年、拝見しています。

初めて拝見した時には、その声の存在感に圧倒されたことを覚えています。
私は元々、クラシック畑出身なので、マイクを外して歌うことは当たり前の世界で生きてきました。
ですが、普通、J-POPではマイクを使うのが当たり前。アーティストによっては、舐めるようにマイクを使う人も少なくなく、J-POP歌手とマイクは切っても切れない関係と思っていました。
その概念を壊したのが、玉置浩二でした。

今では考えられませんが、チケットは幸運にも一般発売で取ったものでした。
私はその前年から、音楽評論を本格的に書き始めていて、松田聖子や氷川きよしなど、思い浮かんだ歌手のコンサートに行き始めたばかりでした。
ふと、玉置浩二の歌が聴きたいと思い、検索をかけてみると偶然にも大阪フェスティバルでのコンサートのチケット販売中でした。それで何の躊躇もなく、娘と2人分のチケットを購入したのです。それも人気の高いクラシックコンサートのチケットを、です。
その後、友人も行きたいと言って、検索をした時には、もう完売でしたから、本当にタイミングが良かったとしか言いようがありません。
そうやって、私は初めて彼のコンサートを拝見しました。
ですが、何の予習もなく、私の記憶に中にある彼の曲と言えば、『ワインレッドの心』と『夏の終わりのハーモニー』ぐらい。
有名な『田園』すら全く知らず、『メロディ』に至っては、記憶も曖昧…
そんな状態で出かけたのでした。

そして、体験した初のライブで、私は彼の歌声に圧倒されました。
初めて聴く曲ばかりの第1部から、聞き覚えのある楽曲の第2部。そして、アンコールの『田園』と『メロディ』まで。
私の耳は彼の歌声に釘付けになったのです。
マイクを外し、3階の後部座席(私達の席)まで響いてくる歌声に圧倒されたのです。

マイクを外して歌う。
私が知らないだけで、そんな歌手は、彼以外にもいるかもしれません。
ですが、彼の歌声の何が素晴らしいかといえば、いわゆるピアニッシモ、極々弱く小さな歌声。
その歌声でもマイクを外して聞こえて来たことです。
これに圧倒されました。
なぜなら、ピアニッシモの発声ほど難しいものはないからです。
ピアニッシモの歌声で、ホールの隅々までマイクなしで響かせるのは、クラシックの歌手でも非常に高度なテクニックを要求されます。
世界的にトップレベルの歌手でも難しい歌声を、J-POPのアーティストが出せること。
これに私は衝撃を受けた、と言うのが、正直なところです。
なぜなら、私の中の玉置浩二のイメージは、歌が上手い、という簡単な認識でしかなかったからです。
彼の歌声はそんな私の認識を一瞬で覆したのでした。

それからはスケジュールのつく限り、必ず、クラシックコンサートに参加しています。やはり、クラシック出身の私としては、フルオーケストラの音色に載っての歌声が魅力的だからです。
そして、アンコール曲の『田園』
このベートーヴェンの交響曲と、彼の『田園』のコラボを最初に考えついた人は誰なんだろう、と毎回思わずにはいられません。
ベートーヴェンの『田園』のメロディーから、徐々に玉置浩二の『田園』のメロディーが出現し、すっかり彼の『田園』へと塗り替えられていく様は、第9交響曲の『歓喜の歌』のメロディーが出てくるのと同じ高揚感に包まれるのは、私だけだろうか、と思いながら、毎回、聴いています。

この日のオケは京都市管弦楽団。
非常に若いコンマスで驚きましたが、それ以上に感じたのは、弦楽器の音色の美しさです。
管楽器も含めて、全体のバランスと音色の響きが美しく、今までの私の記憶の中では一番綺麗な澄んだ音色を奏でていました。
また、『JUNK LAND』の見事な歌唱の後、観客と共に、オケのメンバーが拍手をしていたのが、非常に印象的でした。
音色だけでなく、非常にアットホームな感じで、観客とアーティストとの一体感を大切にしているオーケストラという印象を持ちました。
玉置浩二の歌声の響きによくあった非常に質の高い音色を奏でていたと思います。
クラシックコンサートは、オーケストラと指揮者も重要なアイテムの1つになります。歌を含めて、全体に質の高いものを提供できるかどうかは、3者のバランスが整って初めて提供できると思うからです。
そういう点で今回のベテラン指揮者である湯浅卓雄が京都市管弦楽団の良い音色を引き出し、非常にいいチームワークだったと感じました。

最後に彼が必ず歌う『メロディ』
しんと静まり返った会場に響き渡る彼の歌声は、5年前の歌声と何の遜色もありません。
今年も変わらず歌声を拝聴し、来年もまた、同じ歌声に出会うことを願います。
とにかく健康で歌い続けて欲しい。
そして、聴けるうちに出来る限り聴いておきたい。
そう思いながら、会場を後にしました。


玉置浩二の記事は、連載中の青春出版社公式note『人生を変えるJ-POP』でも玉置浩二の音楽や歌の魅力についての記事を公開しています。
まだ読まれていない方は、下記から読めますので、どうぞ、お読み下さい。


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