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横断研究と縦断研究

veryshortな備忘録代わりのメモ.
今回は「横断研究と縦断研究」について.

調査的研究は時系列によって横断研究と縦断研究に分類される.また,調査的研究は疫学研究デザインの分類に基づくと,観察的研究の分析疫学に分類される生態学的研究,横断研究,症例対照研究,コホート研究などが該当する. 

1.横断研究(横断的調査.Cross-sectional study.Prevalence study)
横断研究は現在の状態を調べる方法であり,国勢調査,街角アンケートなどが該当するのでわかりやすいと思う.
一時点において,対象集団の疾病・健康関連特性と関心がある他の変数との間の関連を調べる研究など,メディカル・ヘルスケア領域では良く使用される研究デザインである.

横断研究は,研究期間が短く,調査が容易で多くの対象者を対象として,多要因に関する調査が可能である利点がある.一方,時間的な前後関係が不明なため因果関係の推測は困難である問題点がある.

2.縦断研究(縦断的調査.Longitudinal study)
縦断研究は,現在から過去に遡ったり(後ろ向き調査),現在から将来へ向かって調べる(前向き調査)方法である.メディカル・ヘルスケア領域の研究では,カルテなどを手がかりとして患者・対象者の状態を過去に遡って調べたり(ケース・コントロール研究),現在から未来に向かって追跡して調べていく(コホート研究)ことも多い.

縦断研究に該当するケース・コントロール研究とコホート研究についてそれぞれ要約しておく.

1)コホート研究(Cohort study)
縦断研究であるコホート研究は,追跡研究(follow-up study),前向き研究(prospective study)とも呼ばれる.疾病あるいは障害などの発生に影響を与えると仮定された因子に対して,暴露を受けているかいないか,あるいは将来暴露を受けるか受けないか,また暴露の程度別に区分した一定集団を設定し,長期間にわたって観察し,区分したグループ間における罹患率などを比較する.

「ある要因に暴露された群と暴露されない群を比べた場合」とは,「ある要因にさらされた群とさらされない群を比べた場合」つまり,「ある要因があった群となかった群を比べた場合」という意味である.

例えば,喫煙しているグループとしていないグループを何年間か追跡し,病気にかかった割合を比較したりするような研究である.

コホート研究はバイアスが少なく,曝露と結果の時間的な関連を明らかにでき,曝露に関する質の高い情報を得られるという利点がある.一方で,費用と時間がかかること,まれな疾病や長い潜伏期間を持つ疾病には不向きという欠点もある.また,コホート研究は前向き研究と捉えられているが,後ろ向きコホート研究(Retrospective cohort study)というデザインもある.

2)ケース・コントロール研究(症例対照研究.case-control study)
もう一つの縦断研究であるケース・コントロール研究は症例対照研究とも呼ばれる.研究対象とする疾病(障害)を持つ人の群と持たない対照群とを用いて,原因の曝露の有無を後ろ向きに比較する研究デザインである.

症例対照研究は,潜伏期間の長い・稀な疾患に有効とされ,コホート研究や介入研究と比較すると費用や時間がかからないという利点を持つ.一方,後ろ向きの研究であるため,曝露の情報が不確かでバイアスが多く,曝露と疾病の時間的関係を推察するのが困難という欠点もある.

以下の記事もご覧くださいませ.
↓↓
ひさのメモ①研究法の基本
https://note.com/hisanpan/n/n73440b049333

ひさのメモ②文献レビュー
https://note.com/hisanpan/n/nd0a2ededd080

ひさのメモ③研究に必要な統計学の基礎
https://note.com/hisanpan/n/nfb2155ab938b

ひさのメモ④観察研究(調査的研究)の基本的方法論
https://note.com/hisanpan/n/nc23d87420257

ひさのメモ⑤介入研究(実験的研究)の基本的方法論
https://note.com/hisanpan/n/n482fcde9ecbb

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