しんどいとき助けになる音楽(19)〜 ウィントン・マルサリス
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Wynton Marsalis / Standard Time Vol.3: The Resolution of Romance
ウィントン・マルサリスの『スタンダード・タイム』シリーズ。何作出たんでしたっけ?途中から興味をなくしてしまって買わなくなったのでした。でも最初のころのはマジでよかったといまでも思っています。なかでも好きだったのが1990年の『Vol.3: The Resolution of Romance』。
これ、Vol.3なのにVol.2の前年にリリースされたんですよね。当時のあのへんの事情はいまだまったく知りません。ともあれVol.3はきれいな音楽。これもとうぜんよく知られたスタンダードばかりで(基本は)、しかもこの作品が具合よく仕上がったのはピアノに父エリス・マルサリスを起用したことにあったと思います。ベースとドラムスはウィントンのバンドから。
ジャケットにも2ショットが大きく写っているし、父エリスの起用は本作ならではの目玉だったはず。じっさいエリスの抑制のきいたおだやかなピアノがアルバムのムードを決定づけていて、ウィントンもそれにあわせるように淡々ときれいなメロディを吹いているのがいいですよね。
アド・リブ・ソロ・パートが少なくて、あるいはまったくなかったりなど、あくまで原曲の美しいメロディをきわだたせようとしているのが聴いているとよくわかり、決して過剰に演奏しない、徹底的に抑え込まれた均整がとれています。
バンドで演奏していない曲もけっこうあって、ピアノとトランペットのデュオとか、あるいはエリスのピアノ独奏の曲だって数個まじっていますが、それがまたすばらしい雰囲気ですよ。聴かせるリリカルさを持っているし、どこまでも美しく、徹底的に音楽のつかいとなって演奏しています。
ウィントンはいつもこういう音楽をやってくれたら応援できると思います。
(written 2023.9.1)
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