見出し画像

アフロビート祭り囃子 〜 アジャテ

(3 min read)

Ajate / Alo

このアジャテ(Ajate)っていうのは日本のバンドみたいですね。なんでも2013年に東秩父で結成され東京都内を中心に活動しているらしく、メンバーが日本人かどうかは知りませんが(たぶん日本人かな)、ヨーロッパ、特にフランスでライヴをやれば熱狂的に支持されるんだそう。そんなアジャテの三作目らしいアルバム『Alo』(2020)を聴きました。

こういったちょっと目先の変わったというか珍奇なワールド系ミクスチャーにわりと弱いという傾向があるぼくですから、アジャテのこの日本の祭り囃子とアフロビートの合体みたいな音楽も悪い気がしません。1曲目出だしのバラフォン(竹製シロフォン?)のサウンドに続いて篠笛の音が来て、それが強烈に日本くささをかもしだしているんですけど、直後から入るビートはアフロ・グルーヴなんですね。

このアルバムで前面に出ているのはヴォーカル、エレキ・ギター、笛の三種類だと思いますが、その背後というかボトムスを支えるリズムはどの曲でもアフロビート系の、あるいはフェラ・クティ直系のそれだと言えないばあいでも鮮明にアフリカンな、グルーヴを形成しているなと思うんです。そこに日本の祭り囃子のあの音階でメロやインプロが乗りますから、ちょっと特異ですね。

それでヴォーカルはどれもぜんぶたぶん日本語です。「たぶん」っていうのは聴きとれない部分があるからなんですが、はっきり日本語だとわかる部分でも発音をリズミカルに曲げてあって、それはこの(アフロな)グルーヴにフィットするようにフェイクしてあるということでしょう。そんなような部分から推し量って、聴きとれない部分も日本語なんだろうと推測できます。

エレキ・ギター、エレベ、ドラムス、パーカッションで形成されるこのバンドのサウンドの中核はたしかにアフロビートでありながらそこにあの音階で乗る歌や笛の即興はぼくにはなかなか新鮮で、楽しいです。たぶんフランスで人気があるというのとちょっと似通ったメンタリティですよね。ある種のオリエンタリズムっていうか、風変わりでエキゾティックで東洋的な、それでいてアフリカンでもあるっていう、フランス人ってそういうの好きみたいですからね。ぼくもそうかも。

なんだかやっぱりイロモノかもなとは思いますが、それでも踊れる、ダンス・ミュージックとして楽しいというのは間違いないことです。1970年代もので90年代に発掘された的なダンス・フロアなレア・グルーヴ的ノリもある(特にエレキ・ギター・リフに)5曲目がいちばんいいかもしれません。

(written 2020.4.15)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?