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しんどいときの音楽(76)〜『ザ・ポピュラー・デューク・エリントン』

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Duke Ellington / The Popular Duke Ellington

『The Popular Duke Ellington』(1967)を貫くトーンは、ずばり力強さとたくましさ。演奏されているのは1920〜40年代に初演されたデューク・エリントンの過去の人気ナンバーばかりですが、1960年代という時代に即応して新たな解釈をほどこされ蘇っています。

公民権運動の時代でしたし、黒人の人種意識がたかまっていたころ。さらにはロックやソウルといった新しい音楽の台頭を受けて、過去のオリジナル曲をもう一度違うふうにやってみようとしたのでしょう。

さらにデューク自身の垂直系なピアノ演奏がたくさんフィーチャーされているのも大きな特徴です。もともとむかしから力強い演奏を聴かせるピアニストではありましたが、本作での演奏ぶりは格別きわだっています。

それは「ムード・インディゴ」「ソフィスティケイティッド・レイディ」みたいな曲でもいえることで、デュークだけでなくメンバーのソロや伴奏、さらにオーケストラ・サウンド全体に時代にあわせた強靭さが聴きとれると思います。

演奏終盤でジャズ・ロックに変貌する曲もあるし、66年録音という当時の流行をデュークとしても無視できなかった、ばかりか積極的にとりいれたということでしょうね。

(written 2024.1.19)

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