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ダンス・ミュージックとしてのティナリウェン新作『Amatssou』

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Tinariwen / Amatssou

ティナリウェンの新作『Amatssou』(2023)については、日本語でもすでにたくさんのテキストが読めますから、ご興味おありのかたはぜひ検索してみてください。ぼくは個人的な感想だけぱぱっと手短に記しておきます。

ティナリウェンにかぎらずこの手のトゥアレグ・ギター・バンド(いはゆる砂漠のブルーズ)にぼくが感じてきた魅力とは、端的にいってライヴ・ダンス・バンドとして。延々と続くヒプノティックなグルーヴが快感で、それに酔って身を任せていれば気持ちいいっていう。

それは21世紀はじめにティナリウェンに初遭遇したころからずっとそうで、2019年秋にはタミクレストの東京公演に参加して、どこまでも熱く観客を踊らせまくるパワーに圧倒されました。なにを歌っているかことばがわからなくとも、ああいったグルーヴこそ音楽の持つ根源的な説得力だと確信できるものを体感しました。

ティナリウェンの新作でもそうしたチャームは不変。ヘビのようにうねりからみつくギター・ラインも健在ですし、なによりこの催眠術にかけるようなミニマルなビート感ですよね。たとえば1「Kek Alghalm」の疾走感とか、3「Arajghiyine」のじわじわ暑くなってくる感じ。

5「Tidjit」のほぼギターとハンド・クラップだけという初期に立ちかえったようなサウンドもいいし、9「Anemouhagh」もノスタルジックだけど圧倒的なダンス・グルーヴに満ちています。アルバム全体でサイケな展開は消え、シンプルにビートを組み立てようとしたように思えます。

(written 2023.6.10)

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