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負けたくない闘いが、そこにはある

闘いが始まる

2019年7月17日。神宮。
その日の自分は、いつもよりずっと闘っていた(当社比)。
絶対負けられない試合が、というより絶対負けたくない試合がそこにはあった。

滅多に座らないネット裏2列目。
試合前に席に着こうとしたら、既に隣がオレンジ色の酒盛り状態だった。
右隣が酒盛り。左は大人しそうな、でもまるきりGなカメラ女子。周囲もGが多かった。ちょっとこれは展開によってはキツイなぁ…と思い。
試合が始まったらとにかくげんなりした。
こちらはネット裏だし一人だから、特に声を出したり歌ったりはしていない。あちらは思いっきり歌うし野次るし立つし。表も裏もとにかくうるさい。

ただそのマナーの悪さを逐一列挙してツイートしたりするのは躊躇われた。Gファンだから多分こんなに上から目線なのだろう、偉そうなのだろうとは思うけれども、マナーの悪いファンはどこのチームにもいる。
殊更に取り上げても、気分を害する人を増やすだけかもしれない。

ここは東京ドームなのかレフスタか、と思うほどの騒音に辟易し、ちょっと離れて階段を上った。知人がいるあたりのところに、しばし避難した。
上から見る神宮は、いつもの神宮だ。いつも聞こえるライスタからの応援。
ここにいた方が平穏なのでは、という考えと、いやせっかく来ているのに何で逃げなきゃいけないのか、という思いが交錯する。
右隣の団体さんは、私がいないからはみ出ている。もう戻ってくるなと思ってんだろうなぁーーー

意を決して戻る。
同点だ。でもここからは、とにかく闘いだ。勝たねばならない。勝ちたい。
いつになく、闘う覚悟をした。
口に出して何か言うわけではない。相手と表立って闘争するわけではない。
でも、心の中では闘う。負けない。そこに留まり続け、マナーを守った応援をして、そして勝つという闘いだ。

もう一つの闘い

さて、自分にはもう一つ、闘う理由があった。
この日の先発は山田大樹。去年から推しているので、ここに来て先発ローテに食い込んできているのがとても嬉しい。
スワローズファンの反応も概ね好意的。
この後勝利を重ねられれば、準生え抜きぐらいの扱いにはなってくれるものと思う。

で、闘う相手なのだが。
前回登板の後、一つの記事を読んだ。
あえてリンクも貼らないし、リツイもしなかった。
ひろきさんのピッチングが今後通用するかについて、「賞味期限」と表現した記事だ。
読んで一瞬頷きかけたけれども、いやそうか!?と疑問に思った。

曰く、山田大樹の最大の武器は、長身&豪快なフォームと遅い球とのギャップ。そのギャップに慣れられたら勝てなくなると。

…えっと、プロってその程度のギャップで凡打を繰り返すもんなんですか?打者一巡したらもう大体慣れるんじゃない?
っていうか、この人ひろきさんのフォーム見たことあるかな?豪快なフォームでもないですよ。力感ないですよ…。
あと、それを言うならとっくにギャップどころか相当慣れられてるはずのウェスタンリーグで、2017年に最多勝取ってるんですけど?それはどうしてですかね?

私は素人なので、ピッチングについては何も分析できない。
もしかしたらギャップで打ち取れてる部分は大きいのかもしれない。でも、それに頼るわけはないだろう。持ち味は動く球だし、打ち気を逸らし、芯を外す投球だ。打てそうだから手を出す。でも打ち損ねて凡打になる球。今年のイースタンでは三振も多かった。
今は初顔合わせの打者がほとんどだ。慣れられたら、それは打たれやすくもなるだろう。
でもそれはどの投手でもそうじゃないか?
今はどんな投手のどんな球でも分析されて丸裸にされる。
そうして、それでも打たれないように投手は努力を重ねる。野手はさらに努力をして打とうとする。投手はさらにその上を行こうとする。
だからこそ、面白いんだろう。

まぁそんなわけで、一方的に闘いの火ぶたは切られた。
そしてこの日のひろきさんは、やはり粘りのピッチングだった。
球数も多くなく、足がつらなければもっと回は重ねられただろう。
勝利投手の権利は勝ち取った。
すごいスピードボールや分かっていても打てない決め球があるわけじゃない。球威で押し切れるわけでもない。
丁寧に球種とコースを投げ分け、芯を外して打たせて取る。「リードで生きる」投手だろうし、「リードが生きる」投手でもある。お立ち台でむーちょむーちょ言ってたのもそういうことだろう。

これからも勝てるとは限らない。打たれることも負けることもあるだろう。
でも、それはどんな投手だってそうだ。
打たれて、次は打たれまいとする。

まだまだ30歳。今後だって成長していける。
何しろ進化する39歳が身近にいる。投手はスピードじゃない、と身をもって示してくれる人がいる。同じ左腕として。投手として。人間として。
勉強にならないわけはないだろう。
軟投派の生き残れる地盤が、スワローズにはあると言えるんじゃないかと思う。

ひとまずの勝利

この日、ひろきさんが勝ち、スワローズは勝った。
私の闘いも報われた。
勝つことが、全てを救ってくれる。
しかし、闘いはまだまだ終わらないのであった。
これからもともに闘い、応援するのみである。頑張るぞ。

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