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5月3日。長田弘「自分たちの目の前にあるもの 平凡なものが一番 本当は奇跡じゃないかと思われてならないですね」

長田 弘(おさだ ひろし、1939年11月10日 - 2015年5月3日)は、日本の詩人、児童文学作家、文芸評論家、翻訳家、随筆家。

早大在学中同人誌「鳥」を創刊,「地球」「現代詩」などにくわわる。1965、年に詩集『われら新鮮な旅人』、詩論集『抒情の変革』を発表。1982年に『私の二十世紀書店』で毎日出版文化賞、詩集『心の中にもっている問題』で1990年富田砕花賞、1991年に路傍の石文学賞。2009年『幸いなるかな本を読む人』で詩歌文学館賞。2010年に詩集「世界はうつくしいと」で三好達治賞。2014年に「奇跡―ミラクル―」で毎日芸術賞。

「じぶんを呼びとめる小さな声が、どこからか聴こえて、しばらくその声に耳を澄ますということが、いつのころからか頻繁に生じるようになった―」、「みえてはいるが誰れもみていないものをみえるようにするのが、詩だ」という長田は亡くなるまで、樹や森・移ろう季節など日常の何気ない風景から人間の心を解き明かした詩やエッセーを著し続けた。

2011年の東日本大震災、福島第一原発事故。故郷福島に大きな災害をもたらした現代のあり方に強い疑問を持つ。「いろいろな言葉を使って考えるよりも、人の気持ちや自然のありようを感じる力が必要。現代は、その感じる力が損なわれているのではないか」。震災直後、自身も九死に一生を得る大病を経験し、「当たり前のものごと、平凡なものごとが如何に奇跡か」と感じ取る力の重要性を痛感する。東日本大震災や自身の大病を経て書かれた詩集『奇跡―ミラクル―』で 2014年毎日芸術賞を受賞する。死の直前には『長田弘全詩集』を出した。

長田によれば、人はそれぞれ海、山、川という風景を背負いながら前進するが、いつしかその風景を忘れてしまう。しかし、自然と共生している眼の前の日常こそ奇跡なのだ。長田弘という詩人は、「後の人々の目印になるものを」を書こうと志した。それが人々の心を打つ詩として残った。







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