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11月2日。 杉本文雄「ええ音やないか!」

橋本 文雄(はしもと ふみお、1928年3月14日 - 2012年11月2日)は、日本の録音技師である。

マキノ雅弘、川島雄三、井上梅次、中平康、今村昌平、舛田利雄、蔵原惟繕らの監督映画作品を次々に手がけ、「日活の音」の礎をつくったとされる人 。 西河克己監督の『生きとし生けるもの』がデビュー作となった。日活アクション、日活ロマンポルノなど、 映画録音担当作品は計274本。私が見た作品は、『にゃんちゃん』『太平洋ひとりぼっち』『敦煌』など。

日本映画の半世紀の「音」を支えつづけた録音技師の第一人者であり、音の魔法使いだった。橋本は、旅と日常生活でこつこつ集めた膨大な音のサンプルを蓄積していた。その技術の高さは、 毎日映画コンクール録音賞を5回受賞、日本アカデミー最優秀録音賞3回、優秀録音賞9回、日本映画・テレビ技術協会日本映画技術賞3回。文化庁映画賞受賞などにあらわれている。

「録音の仕事はセリフ、音楽、効果音、アクションイズが合わさったすべての「音を設計する」事や」「映画の録音は「画にあった音を録る」というのが基本なんだ」「生きた音を録れ」「音の山場はその映画の山場」「台本の読める録音技師になれ」、、。

「画」にかかわる撮・照・美スタッフの後陣に構えるスタイルであり、現場で新人俳優に活を入れるなど、監督たちからも一目置かれていた。育てた錚々たる録音技師たちは、「橋本一家」と呼ばれる。「皆が育ってくれて、映画界の第一線で活躍している事が一番嬉しい事やな」と語っているように、映画界には人材育成面でも大きく貢献している。

俳優の科白と生活音、自然音が渾然一体となった「音宇宙」の創造者であった橋本文雄は、 1996年(平成8年)、映画批評家の上野昂志との共著『ええ音やないか - 橋本文雄・録音技師一代』を上梓している。「やたらめったら面白くて、結局最初から最後まで読みとおしてしまった」とブログ書いている人もいた。名著なのだろう。

映画における「音」というジャンルを突きつめた人生がここにある。今後は、映画やテレビドラマなどをみるときには、「画」だけでなく、「音」にも注目しよう。

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