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9月30日。吉田直哉「新しい発想はどこから生れるか? きのうをなぞって安易に生きることを潔よしとしない姿勢、人と同じきを恥じる気概からであろう」

吉田 直哉(よしだ なおや、1931年4月1日 - 2008年9月30日)は日本の演出家、テレビディレクターである。

NHK入局。 『日本の素顔』と『現代の記録』シリーズは映像による日本人論であり、『NHK特集』などのドキュメンタリー番組を多く手がけた。そして大河ドラマ『太閤記』、『源義経』、『樅ノ木は残った』などのドラマ番組で、優れた作品を制作した。

NHKスペシャル「太郎の国の物語」などでつき合いの深かった司馬遼太郎は、吉田直哉という人物を愛情のこもった目で次のように評している。

「卒業制作をしなければならないんです」「今さらそんなことをする必要はないでしょう」と私あどけないほどの貌を持った創造的人間にいった。ついでながら、創造は人間の中の高度に少年的な部分がやるのである。音楽、絵画、詩、もちろんテレビ制作もそうだろうし、恋愛もつねにそうである。かれの中の「少年」は、テレビの勃興とともにすごしてきて、その新しい表現の場で思いきった主題を展開してきた。そのいちいちが卒業制作だったのではないか。

吉田直哉の座右の銘は「良い問いは、答えより重要だ」である。根源的に問うという意味だ。その精神で、テレビの創世記を突っ走った。またこの根っからの創造的人間は「ジョナリアの噂」で芥川賞候補にもなっている。「日本人とは何か」「現代とは何か」が、吉田直哉の問いだったのではないか。その答えを新しいメディアで負い続けたのだろう。安易に生きない、人と同じことはしない、という創造の精神に溢れた少年のまま人生を送った吉田直哉の大河ドラマはよく見たが、改めてドキュメンタリー作品を見ることにしたい。

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