12月10日。 山本七平「われわれが通常口にするのは論理的判断の基準だが、本当の決断の基準となっているのは、「空気が許さない」という空気的判断の基準である」

山本 七平(やまもと しちへい、1921年(大正10年)12月18日 - 1991年(平成3年)12月10日)は、聖書学専門の山本書店店主。

日本社会・日本文化・日本人の行動様式を「空気」「実体語・空体語」といった概念を用いて分析した。その独自の業績を総称して「山本学」と呼ばれる。

クリスチャンの両親は神の安息日(日曜)生まれから「七平」となずけた。青山学院で学んだ山本本人も10代で洗礼を受けた敬虔なプロテスタントだ。ルソン島で終戦を迎え、マニラの捕虜収容所に収容されるという惨烈な軍隊経験を持つ。

1947年復員。1958年翻訳書を中心に聖書関係の書籍を刊行する山本書店を設立する。1970年に出版し、山本が訳者であった『日本人とユダヤ人』は、私の大学生時代に話題になり、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞し単行本・文庫本の合計で300万部を超える大ベストセラーになった。同書で「日本人は水と安全はタダだと思っている」と喝破した。著者のイザヤ・ベンダサンの正体をめぐってマスコミが沸いたが、山本七平のペンネームであるようだ。当時、ベンダサンと本多勝一との論争を楽しんだことがある。また1979年頃ロンドン駐在していた時に、上司のJALロンドン支店長が「山本さんと会っていたよ」と語っていたことを思いだした。

山本七平の著作は60冊以上に及ぶ。『私の中の日本軍』などの「日本軍」もの。『「空気」の研究』などの「日本人論」。『勤勉の哲学』『日本資本主義の精神』『現人神の創作者たち』などの「日本思想史」。『昭和天皇の研究』など「歴史」もの。『聖書の旅』など「聖書」関係。『論語の読み方』などの「中国古典」。『静かなる細き声』など自伝。そしてイザヤ・ベンダサンの作品としても『日本人とユダヤ人』『日本教について』『日本教徒』などがある。いずれも名著である。何冊かは読んでいる。

山本七平賞は、PHP研究所が主催する学術賞。日本語で執筆され日本国内で出版された社会学、政治学、経済学、歴史学、哲学、宗教学、比較文化等の人文科学、社会科学の学術書、論文が対象となっているように、山本自身の守備範囲が広いことがわかる。

今回ユーチューブで山本七平のリーダーシップ論を聞いた。戦国から徳川時代への橋渡しをした家康、幕末から明治への橋渡しをした大久保。創業と守成、禄と位、人事と組織、リーダーは、耳学問でよく判定・決断・実行できればよい、、、。創業から守成への転換期についての講義だったが、論旨が明快で揺るぎがない。鋭い着眼、 本質をずばりと突く慧眼の持ち主であることを改めて確認した。

山本七平は、日本独特の「空気」を発見した。おかしなことと思いながらも、だれも異を挟めないままに進行し、やがてモラルが腐敗していく姿を「空気の前には道理が引っ込む」と分析した。空気が読めない人を「KY」といって揶揄するのも山本の指摘が正鵠を得ていることを証明している。空気論は今でも生きている。

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