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10月19日。 連城三紀彦「人間関係というのは相手との距離さえ置けばうまくいく。もめるのはその距離を越えようとするからだ」

連城 三紀彦(れんじょう みきひこ、1948年1月11日 - 2013年10月19日)は、日本の小説家。
1977年に探偵小説誌「幻影城」の新人賞に入選しデビュー。1981年に「戻り川心中」で日本推理作家協会賞の短編賞を、1984年には『恋文』で直木賞を受けた。情感あふれる恋愛小説や緻密な構成をもつミステリーで知られ、映像化された作品も多い。
「連城三紀彦のミステリーを読んだことがない人に向けて」編まれた『連城三紀彦レジェンド』は、連城ファンのミステリー作家の綾辻行人、伊坂幸太郎、小野不由美、米澤穂信の編である。巻末の綾辻・伊坂の対談では、「どの作品もレベルが高い」「逆転の形をまず決めて、それを主軸にいろいろ要素を付け加えて話を組み立てている」「人間を描くことよりも、読者を騙すことに生きがいを感じる」などど説明している。

この本の最初の「依子の日記」と、同郷の小野不由美の勧める「桔梗の宿」、最後の「母の手紙」を読んでみた。どれも人間の心の闇の部分をえぐり出す、おどろおどろしている短編だ。

連城は生涯独身を通し、晩年は母の介護と自らの病いで時間に追われる日々だった。真宗大谷派の僧侶でもあった。享年65。

ミステリーと恋愛、そしてその融合が作風であるこの作家は、人間関係をテーマとしたということができるだろう。相手に応じた「距離感のマネジメント」が平穏な人生を送る秘訣だろうが、人間の心理を扱うミステリーや、揺れ動く心を描く恋愛小説というものは、登場人物同士の距離感覚の違いがもたらす悲喜劇ということだろう。これを機会に同業の後輩作家たちが絶賛するこの人の作品を読むことにしよう。

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