12月30日。宮尾登美子「書きたいことはいっぱいあり、全部書くには二百歳まで生きなくてはなりません」

宮尾 登美子(みやお とみこ、1926年4月13日 - 2014年12月30日)は、日本の小説家。高知県高知市生まれ。

宮尾登美子の作品の数は多くはないが、粒ぞろいだ。受賞歴を並べてみる。 女流新人賞(前田とみ子名義)(1962年)太宰治賞(1973年)女流文学賞(1977年)直木三十五賞(1978年)吉川英治文学賞(1982年)文藝春秋読者賞(1989年)紫綬褒章(1989年)菊池寛賞(2008年)文化功労者(2009年)。私はこの人の本を少し読んだだけだが、こういった受賞が当然だという気がする。

毎日書いている私のブログで「宮尾登美子」が登場するのは、4回である。以下、並べてみると、縁があった作家であると思った。

2005-09-25。「宮尾登美子の世界」(仙台文学館)。NHK「義経」の原本を書いた作家・宮尾登美子の人生と作品、秘蔵の品々を紹介する展示が仙台文学館で行われている。1926年(大正15年)生まれで、今なお健筆を振るう。2004年『宮尾版 平家物語』全4巻(青龍之巻・白虎野巻・朱雀之巻・玄武之巻)の完成を記念して行われた展示である。46歳の『櫂』が太宰治賞を受賞してから作家としての人生が花開くというから遅咲きだ。5月21日の日記には「第9回太宰治受賞の知らせ、泣く」とある。1978年には『一弦の琴』で3度目で直木賞を受賞する。『春燈』『朱夏』『仁淀川』『寒椿』『鬼龍院花子の生涯』『序の舞』『蔵』『伽羅の香』『天涯の花』『クレオパトラ』など女性の一生を描いた傑作が多い。作家を志して57年、作家としては32年、下積みの無名時代が長い。宮尾は生涯で三度、持ち物の全てを失っている。満州での難民せ生活、実家の戦災、故郷からの上京。波乱の人生でもある。整然とした字で書かれ、うづ高く積まれた原稿用紙の束に驚く。いまだに万年筆による手書き原稿。こよなく着物を愛する人である宮尾登美子は着物姿の写真が多い。同時代の女流作家や女優からの手紙、そして仲代達也からの達筆の手紙も見る事ができた。
2010-09-26。「天璋院篤姫」の原作者・宮尾登美子の展示会が狛江市で開かれていることを朝日新聞で知って出かけた。小田急狛江駅の近くの泉の森会館で開かれていた展示は、狛江市の市制施行40周年記念事業の一つだ。宮尾は狛江市の多摩川沿いに住んでで30年になる。最近、私は「錦」という小説を読んで、ファンにもなっている。初めて書いた歴史小説である1984年の発刊の『天璋院篤姫』の原稿。1983年に第17回吉川英治文学賞を受賞した『序の舞』。エランドール特別賞を受賞した1996年の『蔵』。1988年に第16回の女流文学賞を受賞した『寒椿』。第80回の直木賞受賞作『1げんの琴』。『仁淀側』の草稿。1973年に太宰治賞を受賞した『櫂』。原稿を見ると、ずいぶんとしっかりした力強い字を書く人だ。大きな字。万年筆でしっかりと文字を書く。自叙伝的四部作『櫂』『春燈』「『朱夏』「『仁淀川』は、主人公・綾子の生誕から26才までの物語である。綾子は芸鼓娼妓紹介業の父の不義の子である。そういった出生の秘密をあますところなく宮尾登美子は書いて吹っ切れた。宮尾作品は、自伝的作品四部作、琴、香道、歌舞伎、茶道、日本料理などの伝統芸や伝統美を対象とした作品群、『平家物語』などの歴史小説、架空の主人公を描いた作品に分類できる。ちょうど、抽選をやっていて引いたら思いがけず『平家物語』第二巻白虎の巻の初版の単行本ががあたった。この作品は、北海道の別荘にこもった5年間で3618枚の原稿用紙を埋めた作品である。宮尾は「無用のご来訪は固くお断りします」との葉書を播いていた。その作品である。縁があるということなので、読み始めることにしたい。

2013-06-16 。『林真理子の名作読本』」(文芸春秋)を読んだ。宮尾登美子『櫂』では「宮尾登美子氏の本を、「あなたがまだ読んでいないとしたら、それはとても不幸なことである」との対話」と紹介している。

2016-07-12。 「耳で聴く」という読書の可能性は高い。宮尾登美子「いま女はさまざまに生きる」を聴いた。

「私はいま、書きたい、書きたい、書きたい、書きたいばかり。しかし目の前には繕い物が山積みしている。あきらめるべきか?否、私は両方やる」(1947年7月4日の日記より)の言葉どおり、小説と家事との両立を必死に行った。広辞苑を読むのが趣味で、いつか使いたい言葉を書き留めたノートも膨大であった。一行を書くのに一冊の本を読むこともある宮尾は「彫心鏤骨、孜々営々」と励んだのである。21歳の決心から60年経った2007年時点の日経新聞のインタビューで、この「二百歳」発言が出てくる。宮尾登美子は執念の人だ。

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久恒 啓一

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