2月1日。佐伯旭「真理は平凡な中に在る。一朝一夕にことがなるものではない。一日一日が大事なのだ」

佐伯 旭(さえき あきら、1917年(大正6年)3月8日 - 2010年(平成22年)2月1日 )は実業家。シャープ二代目社長。中興の祖。

シャープペンシルの発明者でシャープの創業者・早川徳次は、関東大震災で2人の子どもを失い、天涯孤独の少年をわが子のように育てた。その佐伯旭は早川に仕え、町工場に過ぎなかった早川金属工業研究所を日本を代表する総合エレクトロニクスメーカーに育てた。

液晶・半導体の研究者による全社横断の開発チームである回路研究室、半導体研究室を発足させた。国産初の電子レンジ、シリコン太陽電池の量産、世界初のトランジスタ式電卓開発、世界初の液晶実用化、CMOS型電卓開発、日本語ワードプロセッサーなどを生み出した。「100年の計」として半導体工場の建設、世界展開を見据えての「シャープ」への社名変更なども指導した。創業者早川以上の企業家精神を発揮し、技術開発力、賞品開発力、販売戦略、経営戦略などが奏功し大阪の家電メーカーから世界のシャープへと発展させていった。1986年、年商1兆円超えを花道に社長を退任し会長。佐伯は生涯を通じて財界活動に関わらなかった。

佐伯社長時代のシャープはイノベーションの連続だった。その秘密は日々の地味な技術開発の努力にあった。一日一日を尺取り虫のように、1ミリずつ進んでいったのだ。リーダーの持つ平凡な真理を信奉する姿勢が一介のアッセンブリー(組み立て)工場を世界的メーカーに押し上げたのである。シャープはその後、曖昧なトップ人事に端を発する内紛に伴う経営戦略の失敗によって破綻し、台湾の鴻海(ホンハイ)傘下に入り、現在経営再建中である。企業を永続的にさせることは実に難しい。


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