3月15日。清水一行「なぜ、ぼくに声をかけてくれないのか。雑巾がけでもなんでもするから、仲間に入れてくれ」

清水 一行(しみず いっこう、1931年(昭和6年)1月12日 - 2010年(平成22年)3月15日)は、日本の小説家。

東京・向島生まれ。早稲田大学法学部を中退し労働運動に入る。熱心な共産主義者であったが、1952年の血のメーデー事件をきっかけに訣別し、物書きとして生きていく。「東洋経済新報」や「週刊現代」の記者を経て、1966年、証券界の内幕を描いた『小説兜町(しま)』でデビュー。 株を扱った『買占め』『東証第二部』などがヒットし、経済小説の草分けとして活躍した。 『動脈列島』で日本推理作家協会賞。『悪魔祓い』『頭取の権力』な企業小説と呼ばれる作品が多い。高杉良、城山三郎らと並ぶ経済小説のトップランナーとして知られている。

『小説 財界』を読んだ。1960年に大阪商工会議所会頭のポストをみぐる大商南北戦争と呼ばれた騒動を題材とした小説である。大阪商工会議所の次期会頭最有力候補の死によって風雲急を告げる会頭選。現会頭は、四期にわたる長期政権の間に会議所を私物化していく。五選を狙う現会頭と人事一新を画策する反対派の熾烈な選挙戦が繰り広げられる。権力闘争の実状を迫真の描写で描いた傑作だ。老人の最後の欲「名誉欲」をモチーフに財界トップの座に執着する執念の闘いの表と裏が生々しく描かれている。

清水は証券、銀行、自動車、鉄鋼、商社などの広範な企業社会を舞台に、地位、名誉、金銭、女などを巡る「業」に身を灼く人間ドラマを描いた。最盛期の1970年代は66冊、1980年代は54冊と厖大な作品を書き続けた。若い頃に共産主義者だったことからわかるように、世の中に対する義憤、正義感が小説を書く動機となっていることをうかがわせる作品群だ。

森村誠一によれば、角川事件の発生に際して、作家仲間、俳壇、ファッション業界、棋会、法曹界、出版業界などに広く呼びかけ、「角川書店を守る会」を結成したとき、清水一行氏に呼びかけなかった。冒頭の言葉は、清水一行からの電話であり、森村は感激している。角川から多くの書物を刊行している清水は、この会では受付を担当したそうだ。

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久恒 啓一

久恒啓一の「名言との対話」(平成命日編)

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