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プロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーの違いと必要な素養

PMという職種は「プロダクトマネージャー」と「プロジェクトマネージャー」という2つのうちどちらかで略されることが多い。

両者を混同する例は多く、はずかしながら?自分のまわりも混同する例が散見されたので、改めてプロダクトマネージャーとプロダクトマネージャーの違いについて書いてみたいと思う。この2つの違いをきちんと整理できているだろうか?

両方の言葉は、「PM」と略されることが多い。混同を避けるために、プロダクトマネージャーを「PdM」、プロジェクトマネージャーを「PjM」と呼びたい。

この記事では、両者の違いと、その違いによって発生する求められる素養/requirementの違いについて書いてみたいと思う。


「PdM」と「PjM」の違い

まずは両者の違いを2つの側面から書いてみたいと思う。

両者に共通する言葉は「マネージャー」である。「マネージャー」ということはなにかをマネジメントしている人のことであるから、それぞれ「プロダクト」「プロジェクト」をマネジメントしているということである。

では、「プロダクト」と「プロジェクト」の違いはなにか?を考えると、PdMとPjMの違いが整理できそうだ。そこで、両者の違いを2つ書いてみたいと思う。


1: プロジェクトは有限、プロダクトは無限

1つ目の違いは、有限か無限かである。

プロジェクトは期限があり、プロダクトは期限がない。

プロジェクトは、ゴールがあり限られた予算・リソースの中でアウトプットを作って出すことが求められる。その性質上期限がある。

しかし、プロダクトには期限があるわけではない。とくにサブスクの世界においては、ユーザが継続的に使い続けてもらうことが前提のサービスになる。このため、プロダクトの進化には終わりがない。

このように期限がある・ないがプロダクトとプロジェクトの違いである。


2: プロジェクトは誰かの要請によって行われる。プロダクトとプロジェクトは「受発注関係」になる場合がある

プロジェクトが行われる理由は様々である。会社でいえば、定常の運用として行われるもの以外はすべてプロジェクトと言っても過言ではない。プロジェクトは誰かの要請によって行われるものである。

プロダクトを改善させるために、プロジェクトが招集されることがある。つまり、プロダクトがプロジェクトを必要とすることで、プロダクトとプロジェクトが受発注のような関係になることがある。しかし、逆はない。

よって、「PdM」はプロジェクトのオーナー(発注者)になり、「PjM」はプロジェクトの受注者になるようなイメージである。もちろん、社内で受発注をやるわけではないが、関係性としてそれに似ていると思っていただければ良いと思う。


3: PdMは「プロダクトの価値最大化」、PjMは「プロジェクトを生産性を高く進め、プロジェクトを完結すること」ことがミッション

1と2は「プロダクト」と「プロジェクト」の差だった。ここでは、「プロダクトマネジメント」と「プロジェクトマネジメント」の差を書いてみたいと思う。

結論からいうと「ミッション」が大きく違う。

PdMのミッションは、「プロダクトの価値最大化」である。どういうサービスを提供すれば価値が増大し、そのために必要なプロジェクトはなにかを定め、優先順位をつけられることが必要である。

一方、PjMのミッションは「プロジェクトを生産性を高く進め、プロジェクトを完結すること」である。PdMが求めるプロジェクトを当初予定通り進め、必要なアウトプットを出すことが求められている。


以上で「プロダクトマネジメント」と「プロジェクトマネジメント」の違いがおわかりいただけたかと思う。この先は、PdMとPjMに求められるrequirementについて書いてみたいと思う。


PdMとPjMに求められる要素とは?

それでは、PdMとPjMにそれぞれ求められるものを見ていきたいと思う。

が、その前に、インサイドセールスシステムでおなじみ、ベルフェイス株式会社の社内資料に自分が書きたいことがほぼ書かれていたので、こちらも見ていただきたい。PdMが上・真ん中。PjMが下・左である。


PdMの素養

1:ビジネス/技術/デザイン/他要素についての理解

PdMはドラクエで言う「勇者」みたいな存在だと考えている。そのため、事業についての理解、エンジニアリングについての理解、デザインについての理解は必須だと考える。

ドラクエでいうと、戦士や魔法使いほど熟練する必要はないが、最低限わかっている、なんなら自分でできるという存在になっているのが望ましい。

また、「他要素」と書いた。プロダクトをグロースするために必要な知識すべてと言える。たとえば、会計・法務・セキュリティ・特許などが挙げられる。

2:数字で考えられる力・ロジカルさ

数字で考えられる力も重要な要素である。単にロジカルなだけでなく、数字を分析すること、KGIを設定すること、数字でステークホルダーを説得することなど、様々な場面で数字で考える事が必要になる。

3: 修正力/精神的タフさ

最後は精神的タフさである。すべてのことがうまくいくわけではないので、うまくいかなかったことを受け入れ、必要に応じて修正することが大事である。また、それができる精神的タフさが求められる。


PjMの素養

1:開発への理解

PdMでは技術と書いたが、こちらでは開発である。違いは、PjMでは自社の開発状況にフォーカスしている。自社が採用している技術やエンジニアの技術レベル、自サービスの技術的負債など、地雷が埋まっていそうなところに勘所が働いて、地雷を踏まないようにできるか、が重要な点である。

*開発と書いたが、厳密にはデザインにも同じことが言える。

2:調整力(課題を整理する力/説明する力)

PjMの重要な力 は物事を前にすすめることである。このためには、いわゆる「調整力」が求められる。調整力には、「課題を整理する力」と「説明する力」の2つが重要である。

PJで何か問題が起きたときに必要なのは、「状況を正しく理解すること」、「そこから解決策を導き、それを説明してステークホルダーの同意を得ること」である。

これをまとめると、「調整力」ということになる。

3: 人間関係構築能力/精神的タフさ

3つ目は少し意外かもしれないが、人間関係構築能力と精神的タフさという「人間力」的な要素である。

プロジェクトはチームで進めるものである。そのため、人間関係構築能力は重要である。とくに明るい人のほうがよいと思う。「この人なら何でも言える」というキャラを作ることがメンバーの精神的安全性を底上げしてくれる。

また、どうしてもプロジェクトをすすめる上でタフな場面が訪れることがある。これを乗り切れるか、できれば笑顔で乗り切れる人が望ましい。


まとめ

1:PdMとPjMはミッションが違う。

PdMは「プロダクトの価値最大化」、PjMは「プロジェクトを生産性を高く進め、プロジェクトを完結すること」ことがミッション

2: PdMとPjMに求められる素養は以下の通り

PdM : ビジネス/技術/デザイン/他要素についての理解、数字で考えられる力・ロジカルさ、修正力/精神的タフさ

PjM : 開発への理解、調整力(課題を整理する力/説明する力)、人間関係構築能力/精神的タフさ

以上である。個人的な理解としては、どちらが偉いというものではなく、どちらにもそれぞれのプロフェッショナル度合いや素養が求められることを理解いただければ幸いである。

もちろん、これが100%正しいとは思わないので、間違っていたら指摘をいただけると大変助かる。 (と、言う発言で修正力を発揮してみて終わりたいと思う)

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