年長者に学べない若者がダメな理由

先日上記のような投稿をしたら、割と大きな反響を頂いたので、本日の記事ではもうちょっとこのテーマについて書いてみたいと思います。「おっさん」というと言葉が悪すぎるので、「年長者」と言い換えます笑

ナイルでは現在、顧問や社外取締役などといった形で5人ほどの方に深く関わっていただいています。そして、全員が私よりも年齢が上の「年長者」です。

起業家にせよ会社員の方にせよ、世の中には同世代間のつながりを大事にする方が多いと思うのですが、私は同世代から得られる情報だけに頼っていては成長にキャップがかかると考えています。

もちろん、同じ時代に生まれた同世代との交流は様々な課題感やノウハウを共有することができ、非常に有意義です。ただ、それだけだと見落としてしまう考え方が世の中には沢山ある、ということです。

年長者は、自分がこれから歩もうとしている道を10年も20年も前に既に歩んでいる。その中で、今の自分たちがぶつかっている壁と類似した壁にぶつかり、乗り越え、今があるんですね。

そういう方たちに水先案内人になってもらうと、「今目の前にある壁の突破方法」は教えてくれなくても「彼らが過去に突破したことのある壁の突破方法」を教わることができます。そして、その考え方は「今自分の前にある壁の突破」をしていくにあたりアナロジーとして活用できます。

彼らも暇ではないので、まずは「こいつは付き合うに足るな」「こいつは見所がある」と気に入ってもらい、話を聞いてもらえるようにする。どうしたらこの人に「教えるに足る人物」と思ってもらえるのか?という思考を持って、言葉を悪く言えば積極的に取り入っていく。こういう関係性を築くのがすごく大事です。

よく「勿体無いなー」と思うんですが、多くの方は飲み会などの場で年上の偉い方の隣に座らないことが多い。要は、コンフォートゾーンから脱しないようにしているんです。同世代の気を遣わずに済む、話の合う人とばかり話している。それではせっかくの成長機会を逃してしまっています。

「すげぇ上から目線だし怖い…」という人と話してるほうがいろいろ発見があるので、積極的にそうしたほうがいいと思うし、自分もそうしています。

どうしても躊躇してしまう時は、彼らも同じ人間だ、と思うこと。どれだけ権威のある年長者も家に帰ればただの人ですよ。奥さんに叱られるとか娘に嫌われるとか、そういう当たり前の悩みがあったり、何かの理由で孤独感を抱えていたりする、普通の人間なんですよね。

「若い奴はもっとこうすればいいのに」とか「もっと世の中に自分の経験を還元したい」と絶対思っているので、そこを理解していくと同じ土俵の延長にいる人だなっていうのがわかる。そういう人間同士の会話をしていくことを意識するといいと思います。

私の周りには尊敬できる年長者がたくさんいます。C Channelの森川さんからはいろいろ勉強させていただいていますし、元クックパッドCFOの成松さんには会社を大きくして行く上での心構えや落とし穴になるポイントをよく教わります。「自分は分かっている」と思っていることでも、しっかりと話を聞くようにしていると「確かに」と唸るポイントが出てきて、ものすごく参考になっています。

モビリティサービス事業にアドバイザーとして関わっていただいているカーセンサー元編集長の馬弓さんは、「自動車評論家の間ではこう言われている」とか、「この車はこう評価されている」、「各メーカーはこう考えている」など業界に関する知識の網羅性が広く深いので、話す度に新しい発見があります。

今、「現代の日本をダメにしたのは団塊の世代だ」とか「若者に学べないおっさんはだめだ」という風潮が少なからずありますが、高度経済成長期は人口ボーナス真っ只中だったので市場はどんどん伸びていった。最近伸びていないのは、単に人口が減っているからなので、「おっさんのせいだ」と言うのは非常に短絡的です。

「年長者と若者」というように、彼岸と此岸に世代を分ける考え方はやめたほうがいいと思います。組織でもそうですが、このように分断してしまうと敵同士になってしまいます。同じ職場で働く仲間で、同じ社会に良いものを作っていこうとしている人たちと考えたら、年齢は関係ありません。

だから「若者に学べないおっさんはダメだ」と言われることも多いですが、同じくらい「年長者に学べない若者はダメだ」と思うんです。

世代の違いなど飛び越えて、関わるすべての人から学ぶべきことを見つけることができると良いですね。