見出し画像

佇む日本兵 (怪談)


 よく、過酷な子供時代を送った方は、霊感がある方が多いらしいと聞きます。
ユリ・ゲラーも過酷な子供時代を送り能力が目覚めたとの話です

 そんな話もありますが
 もし辛い人生を送ってきた人が霊が見える、なんて言ったら世間は何と思うでしょう。
辛い境遇で精神がおかしくなって幻覚が見える、つまり病気だと思われるでしょう。

 確かに、私も色々な人と話す機会があり、あぁこの人は……。
 と言う人もいます。

 かくいう私も不思議体験をするわけですから、これが霊感なのか、私の気が触れているのかは自分でも解りませんが...。
しかし複数で体験する事もあるので、そんな時は
「あぁ良かった大丈夫だわ」
 と少し安心したりします。


 環境が悪かったので、精神は不安定ではありましたが、不思議と家での心霊体験は少なく、外で見ることも一切ありませんでした。

 多分ですが、幽霊なんかより人間の方が怖いという意識があったからじゃないのかなと思ったりしています。

 その3Lkの家で体験した数少ない話を書きます。


 何時ものように自分の部屋で寝ていました。

 その部屋は窓に障子が付いていて夜は障子を閉めるのですが、月明かりが有る時は、部屋がとても明るいのです。
 布団に入って目を開けてボーッとしていると頭の上から気配がしました。

 音のした方には、以前書いた、真っ黒く塗りつぶしたゴミ箱がありました
 以前、部屋にカエルが入り込んで居たことがあって、虫がめっちゃ嫌いなのでパッと音のする方に頭を向けました。
 すると、部屋が月明かりで青く照らされていて、部屋の角に置いてあるゴミ箱が置いてある所に……。黒い影がありました。
「ん?」
 とジッと見ていると、それが段々と人の形になりました。
 それは、所謂、日本兵の格好をした人でした。
 浅めのキャップ? を被り、小さい襟付きのシャツ、少しだぼっとしたズボンに、多分すねの辺りはゲートルを巻いていたのかもしれません、すねに向かってズボンがシュッとした感じがあります。
 服の前には何かを斜めがけしていました。
 その立っている所は窓から見ると本棚の影の所で、上半身は見えるのですが、下に行くほど暗くなっていました。
 特に怖いとは感じずに、ぼーっとその兵隊さんを見ていました。
 多分2~3分ではないかと思います。

 その兵隊さんは何をするでも無く、黙って直立不動で立っていましたが。
 暫くすると、すーっと、画像ソフトの透明度を0にスライドさせたように消えていきました。

 その兵隊さんの話は誰にもしませんでした。
 話してもしょうがないと思っていましたから。

 その部屋ですね、前も書きましたが、お婆さんが孤独死した部屋で、特にその地域には兵隊さんに関する噂もなかったので、もしかすると、その兵隊さんはそのお婆さんに関係があったのかもしれないなと思っていました。

 しかし大人になってから、興味深い話をききました。

 その頃住んでいた家の目と鼻の先に、戦時中、飛行場があったのだそうです。
 今はその場所は一帯田んぼなのですが
 その話は、当時、飛行場の隣の家の人と偶然知り合いになり聞かせて頂きました
 私の親世代では当然すでにそこは飛行場としては使われてはいませんでしたが。
 現地で、
 「私の子供の頃は、ずーっと向こうの方まで平らな土地が続いててね~、子供の頃はそこで遊んでたんだよ」
 と教えていただきました。


 残念ながら、私が見た兵隊さんの服と、飛行兵の服が違うので、幽霊は陸軍の人なのかもなーと何となく思うのですが。

 そんな「日本兵を見たよ」という話でした。