酪楽のオミタマ_完成イラスト

1、難読地名の快

人名と同じくらい、地名というものは歴史を背負っているものです。

佐藤さんの「藤」が、藤原氏からきていることは、だいぶ有名になりました。加藤さん、斎藤さん、伊藤さん…。いずれも藤原氏にルーツがあるとのこと。どんだけ日本中に広がったんだ、藤原氏。

地名もそうです。例えば北海道の札幌(さっぽろ)。札束の幌? バブリーな商人が一攫千金に成功してテントにお金を積み上げたのか? と思いきや、これはアイヌ民族の「サッ・ポロ・ぺッ」という言葉に漢字を当てた地名だそうですね。「乾燥した大きな川」という意味で、今では大都市なのに、昔は水の少ない川があっただけだったんでしょうか…。

今回は地名のお話を一席。

突然ですが、ここでクイズです。次の地名は、なんて読むでしょうか?

「特牛」

1:とくぎゅう 2:とくうし 3:こっとい

↓(シンキングタイム!)

↓(もう)

↓(わかりましたね?)

…1や2だったら、クイズになりませんよね(笑)。正解は3の「こっとい」。難読地名や駅名の世界では、よく見かける名前です。

2、なぜ「こっとい」?

どうして「こっとい」と読むのか? 少し調べてみましょう。

特牛駅は、山口県の下関市(旧豊北町)にあります。

hikoimasaさんのブログがヒットしました↓。

このブログによると、特牛を「こっとい」と読む読み方は、古語辞典にも載っていて、万葉集にも牡牛を「ことひうし」などと読んだりするとのこと。ことひうし=コトイウシとは、力強い牛。それが、こっとい、という読み方に変化したのではないか。

この土地には、農作業などに使われた荷物運びの牛、あるいはその牛を管理する「牛値(こといのあたい)」という官職の人がいて、そこから「特牛=こっとい」という地名がついたのではないか…とのことです。

goo国語辞書でも、確かにこの読み方、出てきます↓。

なお、この土地の特産としては、「下関北浦 特牛イカ」があります。牛のようなイカではなくて、「特牛の近くで採れたイカ」とのこと。高級ブランドイカだそうです。特牛駅に行かれた方は、ぜひご賞味を…↓。

新鮮なイカのお刺身、美味しいですよね!(←食べたい…)

3、山と大空

もう1問行きましょう。海の次は山へ!

「及位」

さて、何と読む!?

1、きゅうい 2、およびくらい 3、のぞき

↓(シンキングタイム!)

↓(たぶん)

↓(これですよね?)

正解は、3の「のぞき」です!

…これ、知らないと絶対「のぞき」とは読めないですよね。

山形県や秋田県に見られる地名です。

山形県のほうの地名の由来は、こちらの壁紙自然派さんのブログを↓。

このブログによると、山形県の甑山(こしきやま)における山岳信仰、山岳修行に由来があるとのこと。命綱で逆さになって穴を覗く「覗きの行」というものがあり、この行を達成(合格・及第)した修験者は、「位」を得ることができたそうです。ここから、「及第した位」=「及位」=「のぞき」という読みができたと言います。綱にぶら下がる命がけの「覗き修行」から、難しい読みの地名が生まれる。歴史を感じて面白いですね。

ちなみに、NHKの朝ドラ「雲のじゅうたん」のモデルのひとり、女性飛行士の「及位ヤヱ」さんは、秋田県出身です。

4、日本の車窓より

いかがでしたでしょうか? この記事では、難読地名(駅名)を取り上げてみました。地理と歴史、密接にからみあう2つ、その結節点が難読地名、と言ったら言い過ぎでしょうか。気になる地名、調べてみると、意外な歴史があったりして面白いですよ!

最後に1つ漫画をご紹介します。永松潔さん、高橋遠州さんの、鉄オタの国会議員が大活躍する漫画「テツぼん」です。マニアックな鉄道や駅の話がてんこ盛りで、とても興味深く読めます↓。

次の休日にはぶらり、鉄道の旅はいかがでしょうか?(←行きたい…)

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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