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1、中堅

6年ずつ分ける世代考察。今回は8回目。四十路(よそじ)のど真ん中、43歳から48歳について考えてみようと思います。前回はこちらから↓。

この世代のキーワードは、「中堅」です。ど真ん中です。

40歳代というのは、仕事上、誠に動きやすい世代です。前にも後ろにも、右にも左にも動ける。若い世代にも高齢者にもアプローチができる。「中間管理職」とは言い得て妙で、ペーペーではなく、さりとて偉すぎもない。30歳代だと少し若く、50歳代だと少しフットワークが重くなるイメージ。

家庭上も真ん中のポジションです。下には子ども、上には高齢者がいるケースが想定できます。「サンドイッチ世代」という言葉がありますが、「子育て」と「介護」に「挟まれる」、この世代を余すところなく表現した言葉ではないでしょうか。詳しくはこちらの動画をどうぞ↓。

さらに「トリレンマ世代」という言葉もあります。ジレンマではなくトリレンマ。トリとは3つ。つまり、「子育て(教育)」「介護」に加えて、「自分の退職にともなう老後の資金」という、3つの問題に直面するであろう世代ということです。子育てにはお金がかかる。介護にもお金がかかる。自分の老後にもお金がかかる。先立つものはお金です↓。

そう考えると、40歳代は動きやすい反面で、時間に追われ、お金にも追われて、未来を考えつつ過去も考えて、とにかくやることが多い世代ではないかと思います。記事のタイトルはずばり「時は金なり」。タイムイズマネーです。色んなニュアンスで使われる言葉ですが、こちらをご参考まで↓。

2、センターラインはチームの軸

野球では、外野手の真ん中のポジションを「センター」と言います。日本語に訳すと「中堅手」です。このポジションから、43歳~48歳について考えてみようと思います。

Yumaさんのnote記事がとてもまとまっていたので、参考としてリンクを貼りました。ぜひお読み頂ければと思います↓。

キャッチャー・ショートとセカンド・センターを結んだラインを、野球では「センターライン」と呼びます。まさに守備の要。このラインをしっかり良い選手で固められるかどうかが、強いチーム作りの鍵となります。

2018年の広島カープで言えば、キャッチャーに「打てる捕手」曾沢(ジョンソンが投げる場合は石原が多い)、ショートに「安定の守備」田中、セカンドに「リアル殿馬」菊池、そしてセンター(中堅手)には「MVP男」の丸。揃って大活躍して、セリーグ優勝で3連覇したのは記憶に新しい。

ところが2019年、センターの丸が読売ジャイアンツに移籍すると、広島カープのセンターラインは安定しなくなります。2019年7月13日現在、開幕では最下位スタート、交流戦前には首位に立ったのに、連敗を重ねて首位陥落という、ジェットコースター並みの成績をたどっているのです。ルーキー小園や西川、野間などの新戦力も頑張っていますが、まだまだ安定しているわけではない。いかにセンターラインが重要か、という話です。

…思わず具体的な話になってしまいましたが、話を戻すと、センター(中堅手)はフットワークが軽くないと成り立たないんですね。内野のバックアップ(カバー)に入る。レフトやライトのカバーも必要です。ピッチャーの真後ろにいるので、きちんと声を出して助けてあげることも大事。足の速い、フットワークの軽い選手がセンターを務めることが多いです。

それと同じで、仕事にしろ家庭にしろ、しっかりとした40歳代の中堅手が活躍している組織は強い。もちろん業界にもよりますが、若手ばかりでは軽すぎるし、ベテランばかりでは重すぎる。「大黒柱」でかつ「フッ軽」なこの世代が、しっかりと土台を支えていると、安心感があるのです。

3、チームの主役じゃなくていい

センターが重要なのは、野球だけではありません。

アイドルグループにもセンターがいますよね。ぱっと思い浮かぶのは、少し前の話ですが、AKB48の前田敦子さん。今は「卒業」していますが、なぜか彼女のイメージが強い。「私のことは嫌いでも、AKBのことは嫌いにならないでください」という名言が飛び出したのは、東日本大震災の年、2011年の6月のことです。「不動のセンター」などという言葉がありますが、まさにチームの象徴にして、チームに尽くすイメージでした↓。

秋元康さんは、なぜ前田敦子さんをセンターに据えたのか、その理由を述べています。この記事を参考にしました↓。

記事から部分的に引用してみます↓。

センターにいちばん向いてないな、と思ったからです。ファンはアイドルに「シンデレラ・ストーリー」を求めているんです。いじめられたり、ぼろを着て雑巾がけをさせられたりして不遇だった女の子が、お姫様として大成功する物語をね。AKBは、はじめはこんなにダメだったけど、やっと自分の応援でここまできた。それをファンは体験したい。だったら最初からすごい美人やお姫様ではダメじゃないですか。

このあたりが秋元さんの慧眼です。あえて、向いていないと思った人をセンターに据える。そのことで逆にファンがグループを応援する。前田敦子さんもそれを心得ていたからこそ、「私のことは嫌いでも…」の名言が出る。

センターは、完全無欠でなくてもいいんです。チーム全体を、全力で支援する。その姿勢こそが、逆に周囲の支援を生み出します。

もう少し引用してみます↓。

何も分からない無垢な14歳の前田敦子に「君がAKB48のセンターで歌うんだよ」と言ったら、彼女は大声を上げて泣きながら「嫌だ」と言った。ほかの子たちはみんなセンターになりたいし、ソロ曲がほしいんです。僕のプロデュースで、その子がセンターに立つかソロ・デビューして“にんまり”しちゃうと、そこからはもうドラマが生まれないんです。だから前田敦子しかいない、というのがありました。

ドラマが必要な、アイドルグループならではの話かもしれません。しかし、ここからは逆説的に、センターに求められるもの、周囲が求めていることが垣間見えると思います。

40歳代の方は、自分が中堅、センターには向いていない、そう思われる方も多いでしょう。内心、大声を上げて泣きながら「嫌だ」と言いたいかもしれません。しかし、「地位が人を作る」ということは確かにあるんです。ポジションについて四苦八苦していく中で、知らずに成長することもあります。

その時に大事なのは、前田敦子さんの事例でもあるように、努力はするものの、自分自身が完全無欠であることを目指さないことではないでしょうか。自分がすべてを背負い込むと、人間は弱いものですから、必ずどこかで押しつぶされます。そうではなく、周囲を見回すのです。他人の良いところを活かすのです。センターはそういうポジションです。野球で言うと、ピッチャーではないんです。声をかけて、後ろには私がいると安心させる。最前列なのに最後列の意識。その存在こそが、不安定な周囲を安心させ、安定したチームやグループを作り上げていきます。

ここまで書いてきて、名作バスケ漫画『スラムダンク』の、ワンシーンを思い出しました。こちらのサイトの第43位、魚住純のセリフです↓。

「うちには点を取れるやつがいる」

「オレが30点も40点も入れる必要はない」

「オレはチームの主役じゃなくていい」

魚住のポジションも、センターです。支援に徹する。これが、不動のセンターである、40歳代の心構えなのかもしれません。

4、孤独のヒーロー

さて、いかがでしたでしょうか? 中堅=センターから、話を進めてみました。…正直に言いますと、43歳まで来てしまうと、人生も千差万別なんですよね…。「配偶者」「子ども」「マイホーム」の3点セットを持っている人もいれば、部分的に持っている人、全く持たない人、それぞれです。

「部下・上司」「介護すべき親」「住んでいる地域の状況」など、その人をとりまく環境(要支援者の有無?)で、どのように動くのかは変わってくるかもしれません。そのため、ある程度の共通論として、「センター論」という根源的な話になってしまった感があります。ただし、どんな状況においても「先立つものはお金」ですので、「貯金」の重要性もいや増してくる世代ではないかと思います。

では、漫画の紹介を。ええ、今回も頑張って2つ紹介しますよ!

まずは、先ほどの3点セットを「持たざる者」の漫画。ドラマ版でも有名になりました、『孤独のグルメ』です↓。

原作は久住昌之さん、作画は谷口ジローさん。ユーモアに富んだ原作を、これでもかという緻密な描写の作画で仕上げる。谷口ジローさんは2017年に死去されましたが、海外でも評価の高い方です。彼の原稿は「重かった」そうですね。魂が込められているとかではなく、スクリーントーンなどが貼られて「物理的に」重い。1コマに数日かけることもあったそうです。

私はこの漫画が実写ドラマ化されると聞いて、初めは「原作のテイストが失われると嫌だなあ」と思ってたのですが、そんな心配は杞憂となり、シーズンを何回も重ねる大人気のドラマとなりました。私はドラマも大好きです。できるならば「寅さん越え」してほしいほど。しかし、ドラマが今後も作成されるかどうかは、主演の松重豊さんの胃袋次第かもしれません。

もう1つは、3点セットを「持っている者」の漫画。『マイホームヒーロー』です↓。

原作が山川直輝さん、作画が朝基まさしさん。朝基まさしさんは、『クニミツの政』や『サイコメトラー』を描いた方ですね。

…この作品、現在(2019年7月13日)週刊ヤングマガジンで連載中なんですが、私がいま最も続きが気になっている漫画です。ジェットコースター感がすごい! 家族を守るお父さんの話なのですが、これでもかという緊迫の連続。ネタバレをすると面白さ半減ですので、これはもう読んでいただくしか。というか、ぜひ読んで下さい! お願いします(笑)。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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