大祭のイシオカ修正

1、協力隊の支援組織

こんなニュースがありました↓。

地域おこし協力隊の「支援組織」が、鹿児島県内で発足したそうです。

その名も「地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島」

地域おこし協力隊については、以前のnote記事でも取り上げております。よろしければこちらをご覧ください↓。

今回は、地域おこし協力隊への支援について考えてみます。

2、課題から考える

「地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島」では何をするのでしょう?

◆メンバー:地域おこし協力隊OB・現役隊員・行政職員など8人
◆協力隊の課題:任期途中で辞める、任期後の仕事が見つからない
◆課題解決支援:協力隊や市町村の担当者からの相談に乗る、任期後の定住につながる新規事業立ち上げの支援

…裏を返せば、これまで支援してくれる組織が無かったのでしょうか

地域おこし協力隊は、国(総務省)のバックアップの下、各市町村が独自に採用を行っています。例えば、国が一括で採用を行い、各市町村に振り分けるわけではないのです。そのため、構造的に、孤立無援になりがちです。もちろん各市町村の中で支援は行われるでしょうが、他の市町村が、他の市町村の協力隊に対して支援するかというと、それは考えにくい。では、都道府県から横断的に支援するかというと、「内政干渉」的なイメージもあるので、それもやりにくい。国ではスケールが大きすぎる。

ということで、このような組織の立ち上げに至ったと思われます。

…でも、協力隊は、地域再生に協力、つまり「支援」する人たちですよね。その支援する人を、なぜさらに支援しなければいけないの?

そう考える人もいると思いますが、例えば「看護師」を考えてみて下さい。看護師の仕事は患者さんの治療などを「支援」すること。では看護師は孤立無援なのか? 一人親方の個人事業主なのか? そうではないですよね。雇われている病院だけではなく、横断的な組織の支援もある。「日本看護協会」などの組織があるわけです↓。

協力隊の支援組織ができた背景には、先ほど書きました「協力隊の課題」が、ますます深刻になってきているのではないか、と推測できます。

◆協力隊の課題:任期途中で辞める、任期後の仕事が見つからない

よく例に挙げられるのが、長崎市の小島健一さんの事例です。この方はきちんと「モノ申す」方で、Twitterなどでも以下のように情報公開されているので、外部にもこのような課題があることがわかるわけです。もちろん、今から5年前の2014年の投稿ですので、改善は進んでいると思いますが…↓。

一言で言うと「飼い殺し」です。情熱を持って地域おこし協力隊になったのに、それを活かしきれなかった現状があったそうです。「地域おこし協力隊も人間である」。これほど悲痛な言葉はあるでしょうか。

協力隊は、最長3年の任期があります。その間、有期雇用の公務員(市町村により形態は様々かもしれません)扱いで、働くことができます。その間に任期後の仕事を見つける必要がある。しかし、充実した協力隊ライフを行えるのならともかく、上記のような「飼い殺し」状態では、それもままなりません。しかも、小島さんのように情報公開する例は、任期中に行うといわば「内部告発」のようにとらえられてしまいがちなので、実際には課題が「闇に葬られる」ケースも、多々あるのでは。「黙って去る」任期途中でやめていく方も、多いのではないでしょうか。

そもそも、「地域おこし」を行う必要のある小さな「町役場」「村役場」に、完璧に地域おこし協力隊を使いこなすことができる人材がいるのかというと、少し不安ですよね…。人手が足りないから協力隊を導入したわけで、役場からすると「丸投げ」にしたくなる気持ちもあるでしょう。役場の方は行政に関する仕事が主たる業務であり、協力隊人材マネジメントのプロではないのです(そのような人がいる市町村もあるかもしれませんが)。

となると、私の先日のnote記事でも書いたように、とにかく「事前の情報収集」が欠かせない。しかし、いくら事前に情報を集めても、首長が変わって方針も変わるかもしれませんし、そもそも現場で仕事をしてみないとわからない部分は多々あります。人間同士、相性もありますし。

最近ではさすがに国(総務省)も動いてきておりまして、以下のような「地域おこし協力隊サポートデスク」も開設されています↓。

平成21年度には、89人の隊員・30市町村しかいなかった協力隊。
平成30年度には、5,259人の隊員・1,050市町村に増えています。
10年で約60倍の隊員数、約35倍の市町村数に増えているということです。

そう考えると、課題も約60倍に膨れ上がっていると言えないでしょうか?

3、ゴールから考える

この記事ではすべてに触れることはできませんが、このような現状と課題を受けて、さまざま支援の輪が広がりつつります。鹿児島のサポーターズの事例はその一つです。ただ、明確な全県レベルで支援を目的とする組織ができたことは、大きな一つの前進だと思われます。

なお、任期後の「起業」については、このようなメディアもあります↓。

「農山漁村の地域経済循環を促進し、その人口動態を改善すること」を事業目的として、2015年に設立された株式会社エーゼロが運営しています。

代表取締役の牧大介さんは、七転八倒しながら、人口約1,500人の岡山県西粟倉村で事業に挑戦してきた方。こちらの記事もどうぞ↓。

このような記事を見ますと、「協力隊をしながら起業を含めて任期後の仕事を探す」のも1つの方法ですが、逆の発想でゴールから考えて、「このような形で起業したいので、その準備の間だけ、協力隊として勤める」というスタイルのほうが、逆にいいのかもしれませんね。

4、映画で闇にも光が当たる

しかしそもそも、「闇に葬られる」地域おこし協力隊の赤裸々な情報が、もっと世間によく知られないと、様々な施策や試みも進まないのではないか? メリット・デメリット、良かったこと悪かったこと、もっと情報公開は進まないのか?

その有力なツールの1つが、「映画化」です。

Twitterやnote記事で何回か紹介しております、山下大裕さん(ヤマダイ監督さん)の「地域おこし協力隊」の映画制作事業が、いよいよ本格的になりそうです。現在、クラウドファンディングで資金調達中で、7/31(水)までに500万円集めるチャレンジ中です↓。

私も些少ながら「支援」してみました。

クラウドファンディングでの支援って、登録とかしなければいけないから面倒なんでしょ? 住所とか個人情報がバレたりするんでしょ? と二の足を踏んでいる方は、匿名でもヤマダイ監督さんに直接支援する形式もとれるようです(監督さんが代理購入する形になります)。実際に、そのような形でたくさんの人が支援しているようですので、一度覗いてみてはいかがでしょうか? コメント欄で、どんな方が支援しているのかも見ることができます。

7/27(土)→7/31(水)の期限まで、あと5日弱。ラストスパートですね! 達成額を越えても、資金はいくらあっても足りなくなると思いますので、良ければご検討してみてはいかがでしょうか?

…映画化があるのならば、「小説化」「漫画化」「アニメ化」「海外進出」もあり得ますよね。海外では、このような「地域おこし協力隊」的な制度はあるのでしょうか? もちろん「青年海外協力隊」はありますが、そうではなくて、その国の中でその国の人が地域おこしに協力するような制度。また改めて調べてみたいと思います。

今回の記事では、地域おこし協力隊への「支援」について考えてみました。太鼓を叩く人がいないと、祭りで踊ることはできません。踊り手だけでなく、太鼓を叩く人も必要だと思います。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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