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1、トンカツ慕情

グルメ漫画で名高い「美味しんぼ」で、トンカツの話があります。

ネタバレになるので詳細は省きますが、作中にこんなセリフがあります。

「いいかい、トンカツをな、トンカツをいつでも食えるくらいになりなよ。それが、人間えら過ぎもしない貧乏過ぎもしない、ちょうどいいくらいってとこなんだ」

今回はトンカツの話です。

そもそもトンカツの語源は、フランス料理のコートレットから。これが英語ではカットレットになり、日本語で言いやすくカツレツとなります。それに豚の音読みトンを合わせてトンカツです。

最初は揚げものではなく、ポークカツレツ、すなわちポークソテーのようなものでした。それを銀座の名店「煉瓦亭」が、パン粉をつけて揚げてキャベツと一緒に出すと大人気に。

とは言え、明治時代はまだ牛鍋の人気もあって「牛肉全盛時代」。料理法が改善されて、今のような肉厚のトンカツになり、人気料理となるのは昭和時代です。

2、カツ丼・カツカレー・カツサンド

では、カツ丼はいつできたのか?

先述した通り、明治時代からトンカツの原型自体はできていたので、何とかこの料理をご飯と一緒に食べようと試みられていたそうですが…。

一説には浅草の「河金」という食堂が、トンカツとキャベツをご飯に乗せて、大正時代に「河金丼」として売り出したのが最初だそうです。

ではカツカレーは?

こちらは戦後、銀座のレストラン「銀座スイス」で、プロ野球選手の千葉茂さんが「カレーにトンカツ乗せて出してくれ!」と言ったのが由来だそうです。

カツサンドはどうでしょうか?

これは東京の下谷、「井泉」が発祥。海苔巻きのように手軽に食べられるよう、初代女将が昭和初期に開発したそうです。お手軽さが下谷の芸者さんたちに支持されて、名物料理になりました。二代、三代、四代と、柔らかいトンカツとカツサンドの味を大事に継いでいるとのこと。

このように、トンカツは形を変え品を変え、日本で広く愛されるようになりました。

3、シャレで勝つ

フランス生まれの料理が、アメリカを経て日本に入り、焼きから揚げに変わり、ひいては丼やカレーに乗り、パンに挟まれるようになる…。まさにトンカツは、料理界の「プロティアン」。変幻自在のキャリアを経て、皆さんの食卓に置かれています。

今ではカツ丼やカツカレー、カツサンドは、勝負飯として大人気です。

言わずもがな、「勝つ」と「カツ」が通じるからです。シャレが効いてますね。

まだまだ暑い夏、甲子園大会も大盛り上がり。ここは一発トンカツでも食べて、暑さに「勝つ」のはいかがでしょうか?

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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