日常の一コマ

 映画館には連日、至る所から電話が鳴る。最近では電話取材も増え、こちら側はお客様と同じものとして神経を集中して答えてはいるものの、これはもはや仕事なのではないか?というものもある。

今日も、コロナで映画館が大変そうだから話が聞きたいので、〇〇さん(著名人)と伺ってもいいですか?と電話がかかる。その著名人はテレビをほとんど見ないぼくでも知っている方で、応援してくれるなんて、なんて気持ちのある方なのだと、快諾した。すると『〇万円かかります』と言うではないか。

大変そうだから、数万円払って。とはどういうことなのだろう。。。

もちろん、丁重にお断りした。お金もないし、ぼくの昨年の年収が9万円。払えるどころか、映画館の存続のためにすべてを投げ打っているのでその方に払えるものすらないし、その義理もない。

きっと、こういう商売も増えてゆくのだろうという感覚だけが残る。この媒体に載せるのでいくら払う、という一昔前のスタイルはもう終わったはずだけど、こうやってまだあるというか、表面を変えて中身が変わらないのなら、田舎の方は特に気をつけて欲しいなぁと切に願うばかり。

もちろん、それ以外の多くのお電話は問い合わせや打ち合わせが中心なので、ご安心を。またいつもの日常へと戻るだけなのだが、一喜一憂とはこういうことだと腑に落ちたところで、また電話に来客だ。

いつも不意に訪れることに対応してばかりいる、映画館の日常の一コマ。

考えや言葉がとても大切な価値だという概念はなかなか浸透せず、悪気なく搾取されるばかりの経験を通して、そろそろ、相手のことをまず思う、把握することからだということを、お互いに必要とし・される関係作りの大切さを、教育に盛り込まねばならぬような気もしてきた。講師をしている大学の講義に盛り込もうと思う。

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