Takafumi Ito

◆ 文学修士(専門は英語学)◆ 英語オタクのたわごと、ざれごと、独りごとなどをつづって…

Takafumi Ito

◆ 文学修士(専門は英語学)◆ 英語オタクのたわごと、ざれごと、独りごとなどをつづっています ◆ 洋楽の和訳をあげる YouTube チャンネルやってます(https://youtube.com/@SkyCandle?si=JJcrN53UfOdCESw9

マガジン

  • 気に入った英語の曲を和訳する

    英語で歌われている曲のうち、個人的に気に入っているものを和訳します。日本語にする際は、できるだけ「曲に合わせて読んでいても自然に流れる日本語訳」を意識しています。

  • 根気より呑気でたのしむ外国語

    英語をはじめ、外国語のもつ “おかしさ”、“たのしさ”、“おもしろさ” について、のんびり気楽に書き留めていく。雑考。

  • ふと思い出してしまうこと

    これといって大事な場面ではないはずなのに、なぜかふとした瞬間に思い出してしまう小さな光景。ほかのどんなものとも繋がっていないただの断片的記憶。

  • 静夜思(Quiet Night Thought)

    感じたことや思ったこと。考えたことや言いたいこと。

最近の記事

  • 固定された記事

#0. いままでに書いた記事まとめ

どうもこんにちは、こんばんは、はじめまして。 言語オタクが、英語をはじめ、言葉に関して面白いなと感じたことを、ぽつぽつつぶやく note です。 このページでは、これまで掲載してきた記事を(下スクロール →「もっとみる」を押す、を繰り返さなくて済むように)1 つのページにまとめています。毎週 (月) (金) に新しい記事をアップしていますが、そのたびこちらも随時更新していきます。 ひとつひとつの記事はそれぞれ: ・発音 ・語彙 ・表現 ・方言 ・語源 ・文化  ・時事

    • #108. 和訳で大事にしていること

      チャンネルの登録者数が 1 万を超えた。元はこの note から始まった和訳も、YouTube という次の舞台で、ようやくひとつの大台を突破したような気がして嬉しい。 不定期更新なうえに、曲のジャンルやテイストにもさほど統一感のない、ある種気まぐれなチャンネルだが、それでもこんなに多くの人に「このチャンネルの動画なら、まあ観てやるか」と思ってもらえているというのは、素直に喜ばしいことである。 さて、開設から数年が経ち、動画の数もそこそこ増え、チャンネル自体いろんな意味で熟

      • #107. ぼくもみんなも、誤訳に用心

        こちらの note でかなり更新を怠っているわりに、YouTube ではいまのところコンスタントに動画を上げている。怠惰なぼくでも続いているのは、「洋楽の和訳」というテーマが一つ、しっかりあるからだと思う。 以前洋楽の和訳について記事を書いたときにはたしか 100 もなかった登録者数も、いまではこの note のそれをも追い越して、いつの間に 3,500 を超えていた。数が増えるのは素直にうれしいし、モチベーションにもつながっている。 ◆ ネットに誤訳が溢れる現状くどいよ

        • #106. あなたが英語ができない理由は

          年の初めは一念発起をする人が多く、書店にある英語学習系の書籍も売れ行きの上がるときだろう(たぶん)。 巷にある英語学習本や、YouTube にある英語系動画でよく見かけるのは、「あなたが(あるいは「日本人が」)英語ができないのはなぜか」とはじまり、「このやり方なら……」とするパターン。 いわゆる「おれの(わたしの)編み出した最強メソッド」で煽るものである。例のメンタリストが「科学的に正しい英語学習法」なるものを打ち出している本も見かけた(あの人って自分は英語できるのかな)

        • 固定された記事

        #0. いままでに書いた記事まとめ

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        • 気に入った英語の曲を和訳する
          7本
        • 根気より呑気でたのしむ外国語
          85本
        • ふと思い出してしまうこと
          4本
        • 静夜思(Quiet Night Thought)
          6本

        記事

          #105. ネットに出ている洋楽の和訳について

          何回か前からひっそり告知しているが、数週間前に、洋楽の和訳動画をあげる YouTube チャンネルを開設した。 この note でも、これまでブログ記事形式で歌詞の和訳をあげてきて、いちばん人気のものが、レディーガガ(Lady Gaga)とアリアナ・グランデ(Ariana Grande)の Rain On Me: これが、11 月 2 日の時点で閲覧数が 10 万ちょっと。 YouTube でも note でも、見られることによってぼくに入る収益は一銭もない。 それで

          #105. ネットに出ている洋楽の和訳について

          #102. 英語では、形容詞にも序列がある

          形容詞の序列について昨晩遅くに質問を受けた。 日本語では「青い大きな時計」と言っても「大きな青い時計」と言っても、とくべつ違和感を覚えないのだが、 これが英語だと “a big blue clock” と言わなければならず、“a blue big clock” は英語ネイティヴの耳にはしっくり来ないらしい。 ためしに Google Ngram で、“a big blue” と “a blue big” の生起頻度を比べてみたが、見事にこの通り、正統な “a big bl

          #102. 英語では、形容詞にも序列がある

          #101. ある雨の日の英語考

          雨の日のことも好きになれたら、きっと毎日が楽しいだろう。 数年前、フィンランドの首都ヘルシンキの街を歩いていたとき、強めの雨が降っているのに、街の人たちがいっこうに傘をささないことに驚いた。 その日の雨は土砂降りで、ぼくはすぐにでも屋内に入りたくなったのだけれど、そこらにいた現地人たちは、とくべつ雨を気にしていない様子だった。 そのとき一緒に歩いていたイタリア人のロレンツォにワケを尋ねてみたが、「まあたぶんここは湿度があまり高くないし、濡れたとしてもすぐに乾くからなんじ

          #101. ある雨の日の英語考

          #100. 『夜に駆ける (Into The Night) 』(by YOASOBI) 和訳

          7 月 2 日、YOASOBI のデビュー曲にして代表曲でもある『夜に駆ける』の、本人による英語カバー("Into The Night")がリリースされた。 歌っているのは原曲と同じくボーカルの ikura さんだが、英語の歌詞はコニー青木という方が書かれたそうだ。 (まずこちらが原曲) (そしてこちらが英語バージョン) 歌っている本人がこう言うとおり、原曲を聞いたことがある人ならば、聴いて 1 秒でわかる「言葉遊び」。その後も聴けば聴くほど、「ああ、この音も仕組まれ

          #100. 『夜に駆ける (Into The Night) 』(by YOASOBI) 和訳

          #99. それほど役に立たない英語をなぜやるか

          そんなつもりはなかったのに、英語をひとに教えている。 英語は好きだ。いや、大好きだ。英語で書かれた小説は読むし、ドラマや映画もたまに観る。LINE での会話は最近英語の方が多いくらいだし、彼らと会えば英語で話す。 間違いなく、英語を使って生きている。 それでもこういう仕事をしていると、こんなことをよく聞かれてしまう。 「英語ってなんで勉強しなくちゃいけないんですか?」 「英語っていらなくないですか?」 「日本人だから日本語ができれば十分で、わざわざ英語を勉強する必

          #99. それほど役に立たない英語をなぜやるか

          #98. どう考えても矛盾している英単語

          2020 年を振り返る人、2021 年の抱負を熱く語る人。後ろを見たり、前を向いたり、一月は忙しい時期だ。 ところで一月の January は、ローマ神話で物事の始まりを司る神「ヤヌス」(Janus) にちなんでその名がついた。 ヤヌスは前と後ろに顔が二つあり、一方で過去、他方で未来を見つめているとも言われている。 ◇ 二つの面を持つことで知られるヤヌスだが、その名が由来となっている言葉は、実は January だけではない。 英語で Janus word というと

          #98. どう考えても矛盾している英単語

          #97. 絶望の先に希望がある

          フランスでは、飼っている動物にどんな名前をつけても全く問題ないが、これにはひとつだけ例外があり、「ブタに『ナポレオン』と名づけること」だけは法律で禁止されているらしい。 かの有名なフランスの英雄、ナポレオン・ボナパルトに対する不敬罪にあたるという。 「わたしの辞書に『不可能』という文字はない」の言葉で有名なナポレオンだが、さすがに自分の名前でブタが呼ばれることだけは、「不可能」とせざるを得なかったようだ。 ◇ 名づけるとすれば「絶望的」、そんな 2020 年が明け、新

          #97. 絶望の先に希望がある

          #96. 2020 年に台頭してきた英語たち

          日本では、年末になると「今年の漢字」や「流行語大賞」が発表されるが、それと同様に、英語界隈では、世界的に権威のあるさまざまな辞書が、その年を最も象徴する英単語 "Word of the Year"(今年の一語)を決めるという慣習がある。 2020 年は、日本史や世界史、現代社会や政治・経済など、未来の子どもたちが使う社会科系の教科書において間違いなく太字で記されるであろう目まぐるしい年だったわけだが、 そんななか世界の英語辞書が選出した、今年を表す英単語は以下の通り:

          #96. 2020 年に台頭してきた英語たち

          #95. 年末年始にピッタリだけど、役には立たない英単語

          クリスマスには、不穏な話題がつきものである。 先日もこんなツイートが話題になった。目にした方も多いだろう。 若年層がターゲットであるカナル 4℃ のネックレスを 30 代の女性に贈るのは違う、という主旨のツイート。これを書いているいまの時点で 4.6 万件のいいねを集めている。 プレゼントというのは、往々にして難しい。 一年の中で唯一、世界中がいっせいにだれかに贈り物をするこの 2 日間。「ありがとう、うれしい!」という感謝の気持ちと同じくらい、「それはもらっても困る

          #95. 年末年始にピッタリだけど、役には立たない英単語

          #94. 最初から優しいなんて嘘じゃん

          高校時代に友だちから「なんかそれ、人殺しそうだね」と言われて以来、冬でも素手で過ごしてきたが、近ごろグッと冷えてきたので、たまらず手袋を買ってしまった。 道ばたで見る小学生は、こんな時期でもなぜか半ズボンだったりする。中学生のとき、体育の授業を半袖でやっていたのが信じられない。 ヒトは明らかに、年々寒さに弱くなっていく。「殺人を犯しそうだ」とかそんな見かけの問題はもうどうでもいい。ぼくはそんなことしない。そんなことより、かじかむ手をただ温めたかった。 ◇ 手袋に関する

          #94. 最初から優しいなんて嘘じゃん

          #93. 心はときに、血を流す

          「近しい人が亡くなった」とか、そういう類の不幸を話すと、英語ではだいたい “I’m sorry.” という応えが返ってくる。 “I’m sorry.” といえば、「ごめん」の意味で使うのがだいたいの相場だが、この意味だけしか知らないでいると、こう言われたとき「いや、あなたのせいじゃないんですけど」と心の中に「?」が浮かぶことになる。 ◇ 結論から言うと、相手の不幸を聞いたとき使う “I’m sorry.” は、日本語でいう「お気の毒に」と同じ意味である。 sorry

          #93. 心はときに、血を流す

          #91. 理不尽を理不尽と思わないネイティヴ

          大学時代、台湾から来た留学生と話しているとき「日本語はあまりとくくない」と言われ、一瞬困惑したことがある。 「 ...... と、とくく?(なんじゃそら)」 じつは、彼が言おうとしたのは「得意じゃない」で、外国人の日本語に慣れている人なら、彼がそう間違えた理由も、だいたい見当がつくと思う。 たぶん、日本語を勉強している多くの外国人は、「とくい」を形容詞だと考えている。 ・たかい ⇒ たかくない ・ひくい ⇒ ひくくない なるほど、法則が見えてきたぞ。 それなら「と

          #91. 理不尽を理不尽と思わないネイティヴ