未発売映画劇場「電撃フリント スマッシュ!作戦」
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世界中では、たくさんの映画が作られている。だから、日本劇場未公開の映画も数多くある。そのうえ、国内でビデオやレーザーディスクやDVDやブルーレイで発売されない映画も多い。というか、そうなった映画のほうが、多い。500円映画だって、じつは出てるだけマシなのだった……
前に書いたように、「電撃フリント」は、私の大好きなシリーズ。1966年の「電撃フリントGO!GO作戦」と、その翌年の「電撃フリントアタック!作戦」の2作品が作られ、「アタック!作戦」が不調に終わったことで、シリーズは打ち切られた。フリントを演じたジェームズ・コバーンは、その後も何度か第3作の製作にチャレンジしたが、実現せず。70年代の後半には「刑事スタスキー&ハッチ」のデビッド・ソウルとコバーンが手を組んで実現しかけたと映画雑誌などに出たこともあったが、けっきょく幻に終わっている。
……と、私なんかはずっとそう思っていたわけですよ。ところが、80年代になって海外の映画資料などが入ってくるようになってからわかったんだが、じつは「電撃フリント」の第3作は、非常にひっそりと実現していたのである。
その第3作「Our Man Flint: Dead on Target 」は、1976年に製作されている。私が知らなかったのも道理、なんとテレビ・シリーズ用のパイロットフィルムとして作られたのだ。つまり、この時期に「電撃フリント」をテレビ・シリーズで復活させようとするプロジェクトがあったのだ。知らなかったなぁ。
「Our Man Flint: Dead on Target 」は1976年の3月17日にTVムービーとしてアメリカのABCで放送されたと、資料にはあった。だが、シリーズ化は実現していない。たぶん、評判も視聴率も、よくなかったのだろう。残念ながらというか当然というか、日本にはまったく入ってこないまま、忘れ去られたようである。
で、当時は見るすべもなく、それっきりになっていたのだが、ありがたい時代になったもんだ、2006年に突然こいつがアメリカでDVD化された。シリーズ2作品のDVDボックスに、おまけとして収録されたのだ。
いやぁ喜んで、さっそく買いましたよ。映画2作のDVDボックスは国内版でもすでに持ってたんですがね。存在を知ってからン十年たって、ようやくご対面です。
ついに見ることができた「Our Man Flint: Dead on Target 」は……見なければよかった。
まあテレビ用映画ですから、しょぼいのは覚悟してたんですがね。
なにしろデレク・フリントが、スパイじゃない。私立探偵なんですよ。それ、ダメだろ。
おまけに、演じているのがレイ・ダントンというよく知らない地味な俳優。「史上最大の作戦」に出ていたそうだが、さっぱり印象がない。
探偵フリントが、秘密組織に誘拐された石油王を救う話らしいんだが、どうもノリが悪い。ハッキリ言って、何度見ても話の展開がよくわからないし、ピンとこない。演出とかもパッとしないし、全体になんか貧乏くさい。
根本的な問題として「これ、フリントである必要ないじゃん」ということ。
シリーズ化がなされなかったのも、ムベなるかな。かくして「電撃フリント」復活は、夢と消えたわけなのでした。そんなわけで、「Our Man Flint: Dead on Target 」は国内発売もされず(しなくていい)、幻の作品となりましたとさ。ちなみに表題のタイトルは、私が勝手につけたものです。
それにしても当時、この作品を知ったジェームズ・コバーンは、どう思ったんだろうか?
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