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史上最強の新大関

元号が変わって、令和最初の本場所である夏場所が始まります。

と書いていたら、いきなり先場所、平成最後の本場所となった春場所を全勝で制した横綱・白鵬が休場というニュースが飛び込んできてしまいました。まあしょうがないか。何場所か休んだ後で復活して、また全勝優勝でもするんでしょ。

ということで「絶対本命」が消えた優勝争いは、もつれること必至。誰が令和初の優勝をつかんで歴史に名を残すか、注目ですね。

で、それはともかくとして、場所前からの注目の的は、なんといっても令和初の新大関・貴景勝でしょう。

早期に横綱昇進を期待する向きが多いようですが、貴景勝はまだ若い。まあそう慌てずとも、まずは新大関場所を無難に乗り切ることですね。

で、余計なこととは思いますが、過去の新大関の、昇進最初の場所の成績を調べてみました。いろいろメンドクサイので、1場所15日制が定着したあとの大関昇進者、昭和25年夏場所の吉葉山から平成29年名古屋場所の高安までの67人が対象です(大関陥落直後の復活は除く) ただし、魁傑が2度昇進しているので昇進場所を迎えた新大関は全68人、貴景勝は69人目の新大関ですね。

これからちょくちょく言われることと思いますが、新大関場所で優勝を成し遂げたのは、このうちわずかに4人だけ。新大関優勝がいかに難関かがわかりますね。あまり過剰な期待はしないようにしましょう。

恐ろしいことに、この新大関優勝を成し遂げた4人のうち、3人はついに横綱昇進を逃がしています。あんがい不吉なのかもしれないので、やめといたほうがいいですかね。

では、新大関場所の成績はというと、これがまたじつにバラエティに富んでいます。

最高の成績は14勝1敗。さすがに15戦全勝した新大関はいないのです。この偉業を成し遂げたのは、もちろん「記録王」の白鵬です。もちろん優勝をつかんでいますので、彼が新大関で優勝しながら横綱に昇進した唯一の存在です。さすがですな。

それに次ぐ13勝を挙げたのは4人。若ノ花(初代)、佐田の山、若羽黒、栃東(2代目) このうち優勝したのが、横綱になれなかった若羽黒と栃東で、優勝を逃がした2人は横綱に昇進しただけでなく、引退後は相撲協会の理事長にまでなっているのです。なんか皮肉ですね。

残る1人の新大関優勝者である清國は12勝組。決定戦を制しての優勝ですからややラッキーだったのかも(実際その後は優勝なし) そのほかの12勝3敗組は柏戸、大乃国、北勝海、貴ノ浪で、全部で5人だけ

大関でも好成績と言われる12勝以上を挙げたのは合計10人。みなさん新大関場所では苦戦しているようですね。

では、新大関場所で負け越しの屈辱をあじわったのは?

こちらは全部で9人ですから、好成績組と数はあまり変わりません。まあそこまで心配せずともいいんでしょう。

9人のうち全休だったのが、前乃山、曙、武双山。途中休場が大受、増位山(2代)、千代大海。皆勤して負け越したのは、松登、豊山(初代)、雅山の3人だけです。貴景勝も、さすがにこれだけは避けたいですね。

負け越し組でのちに横綱に昇進したのは曙だけですから、その意味でも避けてほしいところです。

さて、大関昇進の際によく言われるのが、昇進直前3場所の成績。合計で33勝が目安だとかなんとかいわれますよね。ちなみに貴景勝は34勝11敗。

ついでにいえば、こちらで史上最高の37勝を挙げているのは、豊山、北天佑、若ノ花(3代)ですが、横綱昇進は若ノ花だけで、豊山は前記したように新大関場所では負け越しているのですから、これも好成績ならオッケイということではありません。あんまり当てにはなりませんねぇ。

で、あんまり言われたことがないようですが、昇進前3場所の成績が重要ならば、昇進後3場所のそれも重要なはず。これもよく言われるように、大関はゴールではなく、さらに横綱を目指すものですからね。どうして誰も問題にしないんだろう。

そこで、調べてみました、68人の大関昇進後3場所の成績(ヒマですねえ)

相変わらず見辛くてスミマセン。赤字は優勝、シャドウがかかっているのは負け越し場所です。

昇進後3場所の合計成績の最高は38勝7敗。直前3場所の最高記録である合計37勝を上回っています。さすがは大関。

その38勝を記録したのは4人だけ。栃錦、千代の富士、貴ノ花(2代)、朝青龍。全員が横綱に昇進していますし、全員が優勝回数10回以上。ね、新大関場所の成績よりも、こっちのほうが当てになるでしょう。

1場所15日制定着以降では、いまだ所要2場所で横綱昇進を果たした例はありません。では3場所通過はというと、前記38勝組のうちで千代の富士朝青龍が成し遂げています。いずれも大横綱ですからねえ。とくに朝青龍はただ一人、昇進後3場所で2回優勝しています。けっこうすごいぞ、朝青龍

上記の4人を含めて、合計で35勝以上を挙げた13人は、全員が横綱に昇進しています。貴景勝も、このへんまでの成績を挙げられれば、上々ということでしょうね。

大関の勝ち越しは10勝とかいわれますが、では昇進直後に30勝以上、つまりは平均10勝以上を挙げた計算になるのは、68人中で38人。このへんが大関としてのギリギリ合格点でしょう。まずはここを目指しましょう。

逆に、合計3場所での合計が負け越し、つまり24勝以下だったのは、13人います。前記した新大関場所負け越し組は全員がここ。まあそうだろうね。これはやっぱりイカンでしょうね。

とはいえ、そのうちで、は昇進後3場所目に優勝をつかんで巻き返し、横綱に昇進しました。また、合計成績が12勝21敗12休で史上最低だった三重ノ海も、のちに横綱昇進、さらには協会理事長までつとめましたから、リカバリーは充分可能です。

こんなことを想定するのは縁起でもないですが、貴景勝が万が一そうなっても、そう焦らないことですね。世間はいろいろ言うだろうけど。

ということで、いろいろ調べてみましたが、けっきょくのところ、長い目で見てやりましょうってことに落ち着きます。貴景勝はまだ若いんだからね。

さあ、令和初の新大関、いよいよ初陣です。

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スポーツ雑記帳 目次

【2019/5/16】 ということで注目していた貴景勝の新大関場所ですが、4日目の取り組みで負傷し、5日目から途中休場という最悪の事態となってしまいました。なによりも本人が残念でしょうが、こればかりは仕方ない。焦らず、きちんと治してもらいたいと思います。完治しないまま無理に出場して力士生命を縮めるような真似は禁物ですよ!

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